風立ちぬのレビュー・感想・評価
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夢は果てなく、美は儚く
一度観た事がありますが、何となくモヤモヤして好きになれない作品でした。
戦争の事とか、病に伏した妻の事とか色々素っ飛ばしてマイペースに夢を見続ける主人公に感情移入出来なかったのだと思います。
初鑑賞から数年経ったので、感じ方も変わっているのでは?と思い、先日金曜ロードショーでやっていたのを観たのですが、あまり印象は変わりませんでした。
あの時代に、飛行機に情熱を注ぐ事に対する悩みや葛藤が伝わってこなくて、彼の心理が読めず、まるで彼自身がファンタジーのようで、何を伝えようとしているのかわかりづらかったです。
彼が夢を見ている影で必死に生きようとする菜穂子の切なさは伝わってきました。
想いを寄せていた人と再会し、恋に落ちて、病と闘う決心をするけれど、自分はもう長くないのだと悟る。残りわずかな命を好きな人のそばで生きたいけれど、衰えていく姿は見せたくなくて...儚くも美しい彼女の覚悟や愛情、強さが心に残りました。
◆追記
他の方のレビューを読ませて頂くと、様々な感想があり面白かったです。監督の想いとか、時代背景とか、モデルとなった人物や小説の事とか、私は何の知識も無く観たので大変勉強になりました。この映画に限った事ではありませんが、自分の心や知識の中に何があるかによって見方が変わってくるのだなと改めて思いました。
ちょっとちぐはぐ?
一番印象に残っているのは、菜穂子が亡くなった時、次郎がぼろぼろと泣いているシーンなんだけど、全編通じて淡々としていたので、なんかわざとらしく感じていまいちのめり込めなかった。すべてを捨てて、飛行機にかける人生を深く描くわけでもなく、戦史に残る零戦にまつわるドラマを深く描くわけでもなく、なんなんだろう、このとってつけた感は。誰かが書いていたように、予告編は素晴らしかったし、ユーミンのひこうき雲は涙が出るほど美しい。この曲を体現する映画を作ってくれていたら、きっと素晴らしい映画になっていたと思うのに。
思うに宮崎監督は、観客におもねるのがいやだったんだろう。だから、二郎というどこか非人間的な主人公を正直に描くことに執着し、観客が感情移入できなくても気にしなかった。戦闘機大好きなくせに、「戦争アカン」という、左翼思想にひきずられて、零戦の栄光と滅亡のドラマを描くこともしなかった。
美しいものは美しく、好きなものは好きと開き直って、もっと素直に監督の世界を展開してくれていたら、もっと良かったのにと思う。作品がすべてとするならば、これが宮崎監督の限界だったのかもしれない。残念。
夢と現実が交錯する興味深い構成でした。
注意してみていなければ、それぞれのシーンが現実なのか夢なのか、区別が付かなくなるところでした。そんな中、当時の時代背景が事細かく描かれ、そこで展開される恋愛模様もまた、この時代独特の純真さが溢れていて、切なくなるほど羨ましい限りでした。ちょっと評判の良くない意見も聞いたのですが、庵野秀明氏のアフレコは嫌味の無いとても純朴な演技で、なかなかどうして悪くなかったと思います。聞いた話、特撮好きで自らウルトラマンを演じた同氏のことですから、大空に憧れる青年役にやり甲斐を感じられたのではないでしょうか。
あと、「オネアミスの翼」と内容的に共通する話だったと思います。「開発費の何分の1かを減らすだけで貧しい人々に温かい食事を」などというセリフを思い出しました。あの映画と同じく、やはり軍事費で無ければお金を出して貰えない、やる気が出ないということなのか。やれやれ、人間というのは困った生き物ですねw
零戦はちょっとしか出てこない
ずっと以前に録画しておいたのを視聴。意外にも全編通して観るのは初めてであった。
堀越二郎が零戦を完成させるまでのプロジェクトX的なストーリーがメインかと思いきや、そうではなかった。(作品の最後で彼が完成させる試作機は、翼形状から、九式単座戦闘機の試作一号機ではないかと思われる。零戦の前である。)むしろこれは恋愛劇であろうと思う。宮崎監督は、ある時代のある恋物語を描きたかったのではないかと思う。主人公の仕事がたまたま飛行機の設計技師だっただけで。
作品の発表とほぼ同時に出版された、宮崎監督と半藤一利さんの対談録『腰抜け愛国談義』を読むと、堀越と本庄は本当はあまり仲良くなかったという裏話が出ている。また、宮崎監督の祖父は戦時中、鹿沼で中島飛行機の下請け工場を営んでいたとも。終戦時、監督は4歳くらいだから、当時の記憶が作品に反映されていなくもないのではなかろうか。
一周回って主人公の声が良い
「あの当時の普通の理系きおっさん」っぽい声でありだともう。
少なくとも声優がまともになったとしてもこの映画の魅力はそんなに変わらないと思う。
あの素人棒読みをあえて映画に使ったのは英断。
答えは自分で
宮崎さんがいうとおり、これまでの作品とは方向性が全然違う。
けど、ハウルとはちょっとかぶる気がした。
零戦の設計者、堀越二郎の人生をベースにしたお話。
技術者としての高みを目指したお話でもあり、ラブストーリーでもあり、戦争という理不尽をあぶり出した話でもある。
何の答えも提示しないし、見ている人を突き放すような終わり方でもあるけど、あとは、見た側が考えればいいんだろうね。
どんな場所でも、どんな時代でも、泣いたり笑ったり悩んだりしながら人は必死に生きてる、ってことなのかな。
いちばんの映像シーンは……
「風立ちぬ」の劇場予告編は、4分間もの作品で、ユーミンの歌がまるまる一曲流れる、内容も感動の作品でした。
非常に良く出来た予告編だったと思います。
予告編を観て思ったこと。
日本の立場を世界中に映像芸術によって伝えられる人は、日本には宮崎駿しか適任者がいないのかも知れぬということです。
そして宮崎駿はその予告編の中で、「貧しかった日本」をキーワードとして、宮崎駿から見た歴史観を世界に伝えようと映画を作った……のだ、と私は予想していました。
関東大震災。相次ぐ銀行破綻。そして第二次世界大戦。
あるいは不治の病だった結核。高原のサナトリウム。
これらの要素が、予告編には一つのストーリーを構成するように散りばめられ、それもあって、私はこの作品を見たいと心から待ち望んでいたのでした。
作品を見る前に堀辰雄の「風立ちぬ」も読み、いっそうその思いを強くしていました。
で、現物を観て思ったこと。
こりゃ、予告編の方が、ずっと良かったな、ってことでした。
というよりもあの予告編こそが「珠玉の名作」だったのだ、と今は感じます。
堀辰雄の「風立ちぬ」は、愛する病人のために何年もサナトリウムに籠もるという、無職の(高等遊人の)主人公のお話です。
一方、堀越二郎は俊英中の俊英で、ゼロ戦の開発者でもあります。多忙を極めている人です。
この、まったく正反対のキャラクター、ありえない設定をどう力業で納めてしまうのか、私はほんとうに宮崎駿の腕前に期待していました。
そう。
たしかに予告編は素晴らしい作品だったと思います。
しかし、それに尽きていると思います。
2020年にして初鑑賞
3日程前に初めて鑑賞しました。
それからレビューや堀越二郎氏を調べ、監督のインタビューをお聞きしてから2回、3回と観ました。
初めて観終わった時は、理解し辛いと感じた部分と
そのまま受け入れ「あぁ〜、良かったなぁ」
と感じる部分があり、同じ作品の中でも感じ方に違いが生まれてしまいました。
それが知識によって埋められるものもあれば、感受性が
足りていないのだと感じるものもあります。
ジブリでは「もののけ姫」が特に思いましたが
観るタイミング、誰と観たか、どのような心境の時に観たのかでまったく感じ方が変わってきます。
他のレビューで酷評されている方も絶賛されている方も
今はそうかもしれないが明日はまた違う評価を下すかもしれません。
僕が映画を観る際に大切だと思うのは
やはり監督の考えや思いです。
それを知るにはまず生い立ちから知り、誰と関わり何をしてきたかを知らないと到底理解出来ません。
ここまで言っときながら僕は宮崎監督の事を全然知りません。しかしご本人が答えていらっしゃる範囲では宮崎監督の事を知っていますし様々な方と対談されている話なども聞きました。
今回のこの「風立ちぬ」という作品は映画の最後でも書かれていますが「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」と書かれている様に別に堀越二郎氏のドキュメンタリーや堀辰雄氏を描いた作品ではない訳です。
あくまであの時代を生きた方々の考えやイメージを宮崎ジブリがアニメとして形にしただけの事です。
私は今回の作品がお二人のイメージ、戦争のイメージ、零戦や昭和の方達のイメージを崩す物だとは到底思いません。
これが宮崎駿監督の堀越二郎・堀辰雄であり戦争・零戦なのだと思いました。
菜穂子さんとの恋愛物語も悲しくも美しく素晴らしいと感動しました。しかし「この映画の堀越二郎」は本当にとんだ薄情者だと感じました笑
やっぱりジブリ映画最高ー!宮崎駿最高ー!
紅の豚2
宮崎作品の中で「紅の豚」が好きな自分としては、観終わったあと、「これは、紅の豚2」だな、って感じた。
宮崎駿監督の飛行機好きは有名だけど、ホント作品全編に飛行機への愛が感じられた。
もちろん、主人公二郎と菜穂子の関係性もメインストーリーに含まれているんだけど、それよりも、零戦を作った技術者(職人)としての二郎に、相当肩入れをして描かれている作品だと思う。
自分も技術者としての自負を持って仕事をしているので、そういう意味ですごく共感できて楽しめた。
宮崎監督はこの作品を最後に引退を表明されたが、ぜひ発言を覆して(笑)、これからも作品を作り続けていただきたい(長編じゃなくて良いので。。)
飛行機は美しい夢(名言)
13年9月18日フォーラム仙台で観て以来2度目の鑑賞
この作品で宮崎駿はプロペラ機が大好きなんだなと確信に至った
手を抜かず群衆をこまめに描いているのが好きだ
庵野秀明の声は最初は違和感を感じるが次第に慣れてくる
アニメオタクには声オタという種類がいて声優専門以外の人が声当ての仕事をやることに強い拒否反応を示す
そんな連中の誹謗中傷から役者さんたちを守るためにも庵野秀明は良い風除けになったかもしれない
俳優陣はみんな違和感なく良かったと思う
特に野村萬斎と西村雅彦が良かった
この映画は右翼だ左翼だと一部批判があったがあくまで一部である
その一部を世間一般多数派かのように報道する歪んだイデオロギーの塊であるマスコミという媒体はクソである
僕は煙草は吸わないが嫌煙ファシズムは大嫌いだ
パヨクも嫌韓厨も嫌煙家も映画をネットで語ってほしくない
なるべくならそんな連中の評価は読みたくない
子供向けかどうかは一部大人の主観だ
子供が見て面白いかどうかは観た子供が決めることだ
たとえ残虐な内容を観たからといって殺人鬼になるわけではないし猥褻な内容を観たからといってレイプ魔になるわけではない
反戦映画ではない
そもそも今さら日本で反戦映画なんて作る意味がない
困難を乗り越え生きぬく人間を淡々と描いている
映画に限らず海外に作品を売り込むということはとても大変なことだ
声がやたら大きく頭がおかしいほんの一部しかいない連中にも配慮しなければいけないからだ
その結果作り手側としては本意じゃない残念な歪められ方をされることもある
韓国にはラブストーリーとして売り込んだらしいが公開前に抗議した特高紛いの偏狭な怪物たちにはうまく理解できただろうか
風があなたを運んで来ました(名言)
エンディングテーマが最高
ジワジワくる
涙が溢れる
なり損ねた遺作?
本当に気持ち悪かった
宮崎駿のあられもない本音なんだろうな、これ…
個人的には死者を美化してセンチメンタルに消費する感覚には1mmも共感できないし、ただただ不快としか言いようがない
そこを百も承知で、それでもやらずに死ねるか! とばかりにパンツをズルっと下ろしてしまった誠実さが光る
おかげさまで最高に気持ち悪いです、はい…
ただ齢とともにどんどん表現がクドくなってきた近年の宮崎作品の中でも、震災の場面は出色だと思った。
画面は生々しいし、効果音を人の声でやるとか悪趣味すぎて最高
私はいつも、この世には「出来のいい映画」かそうでないか、とかいう以外に「私に関係ある映画」という評価軸があると思っている
この作品はまさしくそれで、個人的な思い入れいかんで評価が180度変わるので、私のようなモンにはアレな一方、刺さる人には一生抜けない棘となってしまうこともあり得ると思う
キャリアのほとんどで、あれだけ大衆に愛されるべく娯楽の王道を歩んできた作家が、ここでようやくそれを断ち切れたという意味でも画期的というか、きわめて重要な作品ではあると思う
当時それだけ死を意識していたんだろうな、きっと
「君たちはどう生きるか」が完成すれば遺作にはなり損ねたわけだけど
【宮崎監督が、現代日本への危惧を今作にて大いなる”警句”として描いた作品。】
私も含め、多くの観客は、宮崎駿監督の新作を”新たなるファンタジー作品”として待ち望んでいた記憶がある。
だが、監督が描いたのは1920年代の”大正”から”昭和”へ元号が変わり、平和だった”大正時代”から
・不景気
・大震災
・そして、暗雲立ち込めるきな臭い戦争の影
が、匂う”昭和初期”の時代であった。
主人公は、零戦設計者、堀越二郎。(声:庵野秀明、今では慣れたが当時は何故この人?と思ったものだ・・。素人然とした訥々とした声である。)
と二郎が尊敬するイタリアの設計士ジャンニ・カブローニ(声:野村萬斎、安定である)との時空を超えた尊敬と友情を軸に描かれる。
だが、今作はファンタジー要素よりも、
立花隆が資料に残しているように、
「これは、明治以来西洋に追いつき追い越せで、急ごしらえに作った富国強兵国家日本が、富国にも強兵にも失敗し、大破綻をきたした物語だ。」
と喝破した当時の日本の様を描いた作品である。
当然、宮崎ファンタジーを期待した多くの人々からの評判は芳しくなかったが(だって、幼子が今作を観ても面白くないでしょう・・)、宮崎監督の矜持を感じた作品でもあった。
ー今作公開直前の参議院選挙で現政権が大躍進。ねじれ状況を打破し、現在の体制を築いたが、当時の新聞に掲載された、安倍政権を揶揄したヒトコマ漫画
”第23回参院選 ー風立たぬ やらねばー 今のところ左うちわ”
で墜落する零戦に乗る当時の民主党のうなだれた顔
に大笑いしながらも一抹の不安を覚えた記憶がある・・。ー
そしてそれは2020年現在、現実的な問題として私たちの眼前に厳として存在する・・。
<2013年7月30日 劇場にて鑑賞>
賛否両論あるのも頷けます。
最初は庵野さんの声にとても違和感を覚えたり(途中で慣れましたが、上手い下手ではなく、庵野さんの声は若者の声ではないですよね)“宮崎駿監督にとって最後の作品なのに、ファンタジー系の愛や希望、勇気を与える作品ではなく、何故、堀越二郎という方の半生を描く事を選んだのか?”等を考えながら観ていたのですが、実は夢だけではなく愛や希望のある映画でしたし、そもそも実在の人物である堀越二郎の半生という訳ではなく、堀辰雄さんの小説“風立ちぬ”を元にした創作だったのですね。自分の思い違いでした(;^_^A
アニメーションという手法を用いていますが、完全に大人向け、そしてジワジワと胸に沁みてくる作品でした。
今更僕が書く事でもありませんが、自然の景観や風の動き、人々の何気無い挙動まで、本当に巧く描かれていますよね。
宮崎駿さんのプライベートを知らないので全く見当違いかもしれませんが、この作品には宮崎駿さん自身の半生が投影されているように僕には思えました。
他の人には分からない
アニメって劇場で観る事が少ないので、その印象は実写の倍はある。
この映画の内容はさらに印象が深い。
話そのものにはインパクトは少なく、クライマックスらしい所も無い。
二郎と菜穂子のロマンスも多くないが、たまに出てくるとホッとする。
多分「堀越二郎」という名は日本より世界の方が有名なのではないか。
それ故彼の半生にクローズアップし、
クリエーターとしての喜びと虚しさを引き立たせ、
更には、同様に有名な監督自身の思いもダブらせ、
日本国内プラス世界に向けた作品になっている。
あまり説明臭く無いので、評価は良さそうな感じがする。
このくらい台詞とかテロップもないと、
観る人によって評価が割れるのは当然。
しかも戦中の日本が故の男女関係は、
現代の女性には不愉快この上ないかも知れない。
結婚のシーンは濡れた。
話題の声優陣は、
何で庵野秀明を抜擢したのかという深読みを、方々で聞いたが、
結果として自分には気になって仕方なかったからダメかな。
それより瀧本美織はジャストフィットな気がする。惚れそうだった。
結婚シーンで濡れたのも、彼女の台詞あってこそ。
この「俳優声優」も多くなってきたので、みんな上手くなったのかな。
脇の声優陣はみんな良かった。特に國村隼が。
「他の人には分からない」
結論は一つじゃない。観る人それぞれの思いで良い。
映画ってそもそもそーゆーモノ。
自分には良かった作品でした。
せ、声優が!
個人的にはジブリ映画のトップ5にはいりますが、主人公二郎の声があれではテンションがあがりません!ヒロインが二郎を好きになる説得力かなくて!内容がいいだけにあの声では、女性の立場から言わせて貰うとテンション下がりっぱな
し!残念すぎます!誰か制作の時点で女性はいなかったんですかね!
呪われてたんだな・・・
ドイツも日本も破裂。飛行機を飛ばす夢を追い続けながらも、実際には機関銃を搭載した戦闘機作りという矛盾。だが純粋さゆえに戦争への嫌悪感を持ちながら戦争へ加担していた堀越二郎という設定だ。軽井沢での休養から帰ってきたら、特高から狙われてることが判明するが、戦争反対を唱えてもいないのに何故?と、当時の日本が狂いだしたことを揶揄していたのだろうか。意味深な部分でもあります。
菜緒子とのロマンス部分は堀辰雄の『風立ちぬ』から。飛行機設計のパートよりも印象に残る薄幸の女性だった。結核が不治の病であった戦前の時代だから、その儚い命には純愛を感じさせてはくれる。
どことなく兵器や戦闘シーンなどが多い宮崎作品であるが、宮崎駿自身は憲法改正反対論者で反戦主義。実話として戦争に加担した形となった堀越二郎ではあったが、ゼロ戦が一機も帰って来なかったことを自虐的に皮肉を込めて語っている。宮崎自身の作品をも投影したかのような嫌戦感を思わせる台詞だった。言ってみれば、“反戦映画”という単純なレッテルを嫌った作者が、「反戦のつもりでも戦争に加担してしまうことがあるんだよ」というメッセージを送ってるんじゃないかという気もする。その点ではちょっと不思議な作品。
宮崎駿監督、ありがとうございます。
私の心の中の、今まで意識していなかったところに触れてきて、涙をあふれさせます。
ジブリ作品は大好きでどの作品も何度も観てきました。しかし、嗚咽するほど涙を流して観たのは「風立ちぬ」がはじめてです。
なぜそんなに涙がこぼれてしまうのか。
それは、この物語が他人事ではないからです。
といっても、私はエンジニアでもなく、戦争経験者でもなく、病気でもありません。戦争のない平和な時代に生まれ、小学生のときから自分専用の携帯電話でインターネットをしている世代です。「風立ちぬ」に出てくる人々とは、自分を取り巻く環境が全くと言っていいほど異なっています。
しかし、この物語が描いていることは他人事とは思えないのです。
どの時代にも、夢をもち、何かに没頭して想いをかたちにし、大切な人を時間の許す限り愛し、涙を流し、懸命に生きる人々がいたんだと。そして自分も、そのように生きたい。
健康でも病気でも、どんな性別でも、
どんな仕事をしていても、誰を愛していても、
時間は有限で、みんな日々を懸命に生きねばならない。
そして懸命に生きても、すべて美しくおさまることもない。心血を注いで、光を当てた部分があれば、その影となる部分もある。光とも影ともとれない部分もある。ときには、そういった光りではない部分に苦しむ、しかしそれでも生きなければいけない。
そうやって生きなければならないのは、二郎だけではなく、この世界中の人すべてであり、私もしかり。他人事ではない。
このようなことを私は感じました。
私はふつうに生活しているだけでは
このようなことに気づけませんでした。
このようなことを考えさせてくれた宮崎駿監督に感謝します。
あくまで私見です。
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