エリオット・ペイジ : ウィキペディア(Wikipedia)
エリオット・ペイジ(Elliot Page、以前はエレン・ペイジ/Ellen Pageとして活動、1987年2月21日 - )は、カナダの俳優。
テレビシリーズ『Pit Pony』でキャリアが始まり、その後『トレーラーパークボーイズ』、『リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班』に出演する。活動を映画に移すと『ハードキャンディ』(2005年)への出演を経て『JUNO/ジュノ』(2007年)でブレイクする。他の主な出演映画には『』(2006年)、『』(2008年)、『ローラーガールズ・ダイアリー』(2009年)、『インセプション』(2010年)などがある。
『JUNO/ジュノ』での演技によりアカデミー主演女優賞などにノミネートされた。
2020年12月にトランスジェンダーであることを公表。2021年にはオープンなトランス男性としては史上初めてタイム誌の表紙を飾った。
生い立ち
ノバスコシア州ハリファックスで生まれ育つ。グラフィックデザイナーの父デニスと教師の母マルタの間に生まれる。に10学年まで通い、、2005年にを卒業した。またオンタリオ州トロントでのインターアクト・プログラムに2年間参加し、その当時、後に俳優となると友人になった。
幼少時代はアクションフィギュアで遊んだり、木登りをしたりしていた。
経歴
4歳の頃に学校の舞台で演技デビューした。初めてカメラの前で演じたのはカナダのテレビ映画『Pit Pony』(1997年)である(後にテレビシリーズ化)。その後も国内のテレビ映画やドラマシリーズに出演、『トレーラーパークボーイズ』の第2シーズンに出た(2001年)。16歳で『Mouth to Mouth』にキャスティングされ、ヨーロッパで撮影した。
2005年に映画『ハードキャンディ』に出演し、「今年最も複雑な、不穏な、忘れられない演技の一つ」と賞賛された。また2006年には『』で少女キティ・プライド(シャドウキャット)を演じ壁を通り抜けられる能力を演じた。
2007年の映画『JUNO/ジュノ』のジュノ役の演技に賞賛が集まり、映画評論家のA・O・スコット(『ニューヨーク・タイムズ』)に「驚くほどの才能」と評されScott, A.O.. "Seeking Mr. and Mrs. Right for a Baby on the Way", The New York Times, December 5, 2007.、またロジャー・イーバートは「エレン・ペイジのジュノよりも優れた演技は今年あっただろうか? 私はそうは思わない」と述べたEbert, Roger."Juno", Chicago Sun-Times, December 14, 2007.。ペイジはこれにより20以上の賞にノミネートされ、、インディペンデント・スピリット賞、サテライト賞などを受賞した。またアカデミー主演女優賞にもノミネートされ『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』のマリオン・コティヤールに敗れた。
また2008年には出演映画『』がサンダンス映画祭でプレミア上映された。これは『JUNO/ジュノ』よりも前に撮影されながら、公開は遅れた作品で、デニス・クエイド演じる大学教授の娘役である。
2008年3月1日に『サタデー・ナイト・ライブ』に出演した。またドリュー・バリモアの監督デビュー作『ローラーガールズ・ダイアリー』に主演し、ジュリエット・ルイス、マーシャ・ゲイ・ハーデン、バリモア、クリステン・ウィグらと共演した。
マイケル・ランダー監督の映画『』ではキリアン・マーフィー、スーザン・サランドン、ビル・プルマン、ジョシュ・ルーカスと共演した。2009年8月、クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』の撮影が始まった。この作品ではレオナルド・ディカプリオ、マリオン・コティヤール、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、渡辺謙らと共演し、2010年7月16日に公開された。また同年公開作には『スーパー!』もある。
2012年4月イタリア公開(アメリカ公開同年7月)のウディ・アレン監督作品『ローマでアモーレ』に出演する。
2013年1月、ブライアン・シンガーは『』でペイジが再びキティ・プライドを演じると発表した。
声の出演
2009年5月3日、テレビアニメ『ザ・シンプソンズ』第20シーズン「第19話 Waverly Hills 9-0-2-1-D'oh」でアラスカ・ネブラスカの声優を務め、このキャラクターはハンナ・モンタナのパロディである。
2012年6月、クアンティック・ドリームはテレビゲーム『』で主人公の声優としてペイジとウィレム・デフォーの配役が発表され、2013年10月に発売された。
監督として
2013年2月、ペイジは『Miss Stevens』で監督デビューし、アンナ・ファリスが出演を受諾した。脚本はジュリア・ハートが執筆し、製作陣はゲイリー・ギルバート、ジョーダン・ホロウィッツ、ダグ・ワルドである。
私生活
フェミニストとして妊娠中絶に賛成の立場を表明している。2008年にはミャンマーの軍事政権に反対する30人のセレブリティの1人としてオンライン広告に登場した。2014年2月14日、全米最大のLGBT人権団体ヒューマン・ライツ・キャンペーンがラスベガスで開催したカンファレンス「Time to Thrive」に登壇し、自身が(そのときは女性として)ゲイであることをカミングアウトしたActress Ellen Page comes out in speech to Human Rights Campaign event The Guardian 2014年2月15日。2018年にはダンサーで振付師のエマ・ポートナーと結婚。2020年半ばに二人は別れ、2021年に正式に離婚した。
2020年12月1日、自身のSNSでトランスジェンダーであるとカムアウトし、今後はエリオット・ペイジの名前で活動することを発表。当時の配偶者であったエマ・ポートナーは同日、エリオットを「とても誇りに思う」と自身のインスタグラムでコメントした。Netflixは「彼は私たちのヒーローだ! エリオット、大好き!」とツイート。カナダのジャスティン・トルドー首相をはじめ、数多くの有名人がペイジの発表に好意的なコメントを寄せた。Netflixは同日、ペイジの出演する全作品のクレジットおよびメタデータを書き換えて新しい名前を反映すると発表し、12月8日に作業を完了した。
2021年初頭に『タイム』誌の表紙に登場、トランス男性と自ら公表した人がこの雑誌の表紙を飾った第1号である。同号の特集記事のなかでペイジは自身をクィアでノンバイナリーでもあると語り、カムアウトした時点に乳房切除術の回復期であったとも明かした。手術は「命が救われるような」体験だったという。また9歳の頃から「男の子だと感じていた、男の子になりたかった。いつか男の子になれるかと母親に尋ねていた」と語っている。
フィルモグラフィ
映画
年 | 題名 | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1997 | Pit Pony | マギー・マクレーン | テレビ映画 |
2002 | The Wet Season | ジョセリン | 短編映画 |
Marion Bridge | ジョアニー | ||
2003 | Ghost Cat | ナタリー・メリット | テレビ映画 |
Touch & Go | トリッシュ | ||
[[:en:Homeless to Harvard: The Liz Murray Story>Homeless to Harvard]] | 少女時代のリサ | テレビ映画 | |
落ちていく女Going for Broke | ジェニファー | ||
Love That Boy | スザンナ | ||
2004 | I Downloaded a Ghost | ステラ・ブラックストーン | テレビ映画 |
Wilby Wonderful | エミリー・アンダーソン | ||
2005 | ハードキャンディHard Candy | ヘイリー・スターク | |
Mouth to Mouth | シェリー | ||
2006 | X-Men: The Last Stand | キティ・プライド/シャドウキャット | |
2007 | アメリカン・クライムAn American Crime | シルヴィア・ライケンズ | |
The Tracey Fragments | トレイシー・バーコウィッツ | ||
JUNO/ジュノJuno | ジュノ・マクグフ | アカデミー主演女優賞ノミネートゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)ノミネート英国アカデミー賞 主演女優賞ノミネート | |
The Stone Angel | アーリーン | ||
2008 | Smart People | ヴァネッサ・ウェザーホールド | |
2009 | ローラーガールズ・ダイアリーWhip It | ブリス・キャヴェンダー | |
2009 | Vanishing of the Bees | ナレーター | 環境ドキュメンタリー |
2010 | Peacock | マギー | |
インセプションInception | アリアドネ | ピープルズ・チョイス・アワード スクリーン・チーム賞ノミネートスクリーム賞 SF女優賞ノミネートワシントンD.C.映画批評家協会 WAFCA賞 アンサンブル演技賞ノミネート | |
スーパー!Super | リビー/ボルティー | ||
2012 | ローマでアモーレTo Rome with Love | モニカ | |
2013 | ザ・イーストThe East | イジー | |
Touchy Feely | ジェニー | ||
2014 | X-Men: Days of Future Past | キティ・プライド/シャドウキャット | |
Tiny Detectives | 探偵エレン | 短編映画 | |
2015 | ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気Freeheld | ステイシー | |
スイッチ・オフInto the Forest | ネル | ||
2016 | タルーラ 〜彼女たちの事情〜Tallulah | タルーラ | 兼製作総指揮 |
ウィンドウ・ホーセズWindow Horses | ケリー | 声の出演 | |
ぼくの名前はズッキーニMy Life as a Zucchini | ロージー | ||
2017 | フラットライナーズFlatliners | コートニー・ホームズ | |
My Days of Mercy | ルーシー | ||
CURED キュアードThe Cured | アビー | 兼製作 | |
2019 | There's Something in the Water | 本人 | ドキュメンタリー、兼監督 |
2022 | Into My Name | ドキュメンタリー、製作総指揮 |
テレビシリーズ
年 | 題名 | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1999-2000 | Pit Pony | マギー・マクレーン | 計29話出演 |
2001-2002 | トレーラーパークボーイズTrailer Park Boys | トリーナ・レイヒー | 計5話出演 |
2002 | Rideau Hall | ヘレネ | 第1話「Pilot」 |
2004 | リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班ReGenesis | リリス・サンドストロム | 計8話出演ジェミニ賞助演女優賞 (ドラマシリーズ部門)受賞 |
2009 | ザ・シンプソンズThe Simpsons | アラスカ・ネブラスカ | 声の出演第20シーズン第19話「Waverly Hills 9-0-2-1-D'oh」 |
2011 | Glenn Martin, DDS | Robot Assistant | 声の出演第2シーズン第24話「Date with Destiny」 |
2012 | ファミリー・ガイFamily Guy | リンジー | Tom Tucker: The Man and His Dream]]」 |
2013 | Out There | Amber(声の出演) | 第10話「Ace's Wild」 |
2016-2017 | Gaycation | 本人(番組ホスト) | ドキュメンタリー。兼製作総指揮 |
2019 | Tales of the City | Shawna Hawkins | |
2019-2024 | アンブレラ・アカデミーThe Umbrella Academy | ヴァーニャ(ヴィクター)・ハーグリーブス | Netflixオリジナル作品 |
2023 | Ark: The Animated Series | Victoria Walker | メイン、声の出演 |
コンピュータゲーム
年 | 題名 | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
2013 | ジョディ・ホームズ | 声、演技(モーションキャプチャ)の出演 |
主な受賞
- ジェミニ賞
- 2003年度 Best Performance in a Childrens' or Youth Program or Series 『Mrs. Ashboro's Cat』
- 2004年度 助演女優賞(ドラマシリーズ部門) 『リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班』
- セントラル・オハイオ映画批評家協会賞
- 2007年度 主演女優賞 『JUNO/ジュノ』
- シカゴ映画批評家協会賞
- 2007年度 主演女優賞 『JUNO/ジュノ』
- フロリダ映画批評家協会賞
- 2007年度 主演女優賞 『JUNO/ジュノ』
- ゴッサム賞
- 2007年度 ブレイクスルー賞 『JUNO/ジュノ』
- ハリウッド映画祭
- 2007年度 ブレイクスルー女優賞
- インディペンデント・スピリット賞
- 2007年度 主演女優賞 『JUNO/ジュノ』
- ラスベガス映画批評家協会賞
- 2007年度 主演女優賞 『JUNO/ジュノ』
- MTVムービー・アワード
- 2007年度 女優賞 『JUNO/ジュノ』
- 2011年度 恐怖演技賞 『インセプション』
- フェニックス映画批評家協会賞
- 2007年度 主演女優賞 『JUNO/ジュノ』
- サテライト賞
- 2007年度 主演女優賞(コメディ・ミュージカル部門) 『JUNO/ジュノ』
- ティーン・チョイス・アワード
- 2007年度 映画女優賞(コメディ部門) 『JUNO/ジュノ』
- 2007年度 ブレイクスルー映画女優賞 『JUNO/ジュノ』
- バンクーバー映画批評家協会賞
- 2007年度 カナダ主演女優賞 『The Tracey Fragments』
- サターン賞
- 2022年度 サターン・ストリーミング助演俳優賞 『アンブレラ・アカデミー』
注釈
出典
関連項目
外部リンク
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