マイク・ニコルズ
ドイツ・ベルリン生まれで、幼少の頃に家族で米国に移住。ニューヨークでリー・ストラスバーグのもと演技を学んだ後、シカゴで即興コメディ劇団を立ち上げる。50年代後半は、劇団仲間のなかでも相性のよかったエレイン・メイとともにコンビでステージに立ち、62年にはふたりでグラミー賞の最優秀コメディ・パフォーマンス賞を受賞。その後メイとは袂を分かち、舞台演出の道に進み、64年の「Barefoot in the Park」でトニー賞監督賞を初受賞する。
66年の映画「バージニア・ウルフなんかこわくない」で初メガホンをとり、アカデミー監督賞に初ノミネート。ダスティン・ホフマンが主演した翌67年の「卒業」で同賞を受賞した。その後も「シルクウッド」(83)、「ワーキング・ガール」(89)でアカデミー監督賞にノミネートされ、製作を務めた「日の名残り」(93/ジェームズ・アイボリー監督)が同作品賞の候補になった。
映画だけでなくブロードウェイでも手腕を発揮し、トニー賞では77年にプロデュース作「アニー」がミュージカル作品賞を受賞したほか、6度の監督賞に輝いた。TV作品でも、01年の「エマ・トンプソンのウィット 命の詩」でエミー賞TV映画部門の作品賞と監督賞、03年の「エンジェルス・イン・アメリカ」でミニシリーズ部門の作品賞と監督賞を受賞。エミー賞(Emmy)、グラミー賞(Grammy)、アカデミー賞(Oscar)、トニー賞(Tony)の4賞をすべて受賞した、世界で数えるほどしかいない「EGOT」として知られる。14年11月19日、83歳で急逝。07年の「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」が最後の監督作となった。