小栗康平

映画監督。群馬県前橋市生まれ。アンジェイ・ワイダ監督作「灰とダイヤモンド」をきっかけに高校時代から映画に目覚め、早稲田大学第二文学部に入学。卒業後に浦山桐郎、篠田正浩、大林宣彦などの現場に参加。
1981年「泥の河」で監督デビュー。キネ旬ベスト・テンの第1位、毎日映画コンクール監督賞のほか、モスクワ映画祭銀賞、米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、84年「伽倻子のために」で仏ジョルジュ・サドゥール賞を日本人として初受賞、続く「死の棘」(90)はカンヌ映画祭の審査員グランプリ、国際映画批評家連盟賞を同時受賞した。
自治体(群馬県)が製作した初のケースとなった「眠る男」(96)はモントリオール映画祭審査員大賞などを受賞。2015年には画家・藤田嗣治の半生を描いた10年ぶりの新作「FOUJITA」を発表した。
寡作だが欧州中心に高い評価を受けている。安藤庄平(撮影)、横尾嘉良(美術)、小川信夫(編集)らベテランとの仕事も多く、生き物や自然を映し取ったシーンに定評がある。デジタル撮影やVFXも早くから導入し、その先進性に学ぶべきところは多い。「哀切と痛切」や「映画を見る眼」などの名著でも知られている。