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私を愛しているならいるなら証明して。石の微笑
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私を愛しているならいるなら証明して。石の微笑
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イントロダクション ストーリー
イントロダクション

「わたしを愛しているなら証明して。

木を植えて、詩を書いて、

そして誰でもいいから人を殺して…」

ヌーベル・ヴァーグの現役最後の巨匠、クロード・シャブロル監督の最新作『石の微笑』は、日本でも熱烈な読者を持つ女流ミステリー作家、ルース・レンデル原作による男女の愛欲と官能のサスペンスである。

何気ない日常のなかに突然ぱっくりと口を開く恐ろしい罠。それは甘美な純愛の顔をしていた――。

妹の結婚式で主人公のフィリップと妹の花嫁付添い人(ブライズ・メイド)の一人、センタが出会う。さして言葉を交わしたわけでもない二人は、ふたたび互いの人生に散っていくだけのように見えた。しかし、結婚式の終わった夕刻、雨に濡れた身体で彼の家を訪れたセンタ。美しいものに憧れるロマンティストのフィリップの胸に身を投げるように飛び込んできたのはセンタの方だった。

「ずっと待っていた。あなたは運命の人。見た瞬間、この人だと分かった…」

炎のごとく燃え上がる二人の愛欲が恐ろしい結末へと突き進んでいくとは、このときフィリップに分かるはずもなかった。

艶やかな女郎蜘蛛の糸に絡められた獲物のように、もがけばもがくほど恐怖の中心へと引き寄せられていくフィリップ役を演じるのは、『ピアニスト』(01)でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞にも輝いたブノワ・マジメル。母クリスティーヌ(オーロール・クレマン)と暮らしている家の庭にあった“フローラ”という彫像を愛するナイーブさや、争いごとを好まない気弱な若者が狂気の世界に引きずり込まれていく恐怖を見事に演じている。

女優の卵と称し、不可解な行動と言動で次第に狂気の色を強めていくセンタ役には、ローラ・スメット。父にジョニー・アリディ、母に名女優ナタリー・バイという芸術家一家出身の彼女は天性の強烈なオーラを発揮し、映画史に残る悪女ぶりを発揮している。その行動には計画性と無意識が混在し、偶然と必然の網目のように展開していく物語が観客の心に一層不安な要素を残す。

絶妙な構図で愛の物語を切り取る撮影監督は名手エドゥアルド・セラ(『真珠の首飾りの少女』『ブラッド・ダイアモンド』)。シャブロル監督はサスペンスの巨匠として時折ヒッチコックと並び称されるが、その物語の飄々とした語り口はいよいよ軽やかで円熟期を迎えている。ストーリーの端々に奇妙な間のクスクス笑いを盛り込みながら、中心の渦はぶれることなく恐ろしい結末へと突き進む極上のエンタテインメントである。


(C) Moune Jamet