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セックスとアートを融合、とんでもない暴君皇帝描く問題作「カリギュラ究極版」伝説の全貌に迫る3つのエピソード

2026年1月23日 19:00

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世紀の超問題作は、なぜ45年も語り継がれたのか。
世紀の超問題作は、なぜ45年も語り継がれたのか。
(C)1979, 2023 PENTHOUSE FILMS INTERNATIONAL

実在したローマ帝国皇帝の暴君ぶりと乱行を、約46億円もの製作費をかけ、世界的名優と豪華絢爛なセット、唯一無二の世界観で描き出した超問題作「カリギュラ」を45年ぶりに公開する「カリギュラ 究極版」(公開中)。世紀の問題作は、いかにして伝説となり、なぜ語り継がれてきたのか。その全貌に迫る3つのエピソードが披露された。

1976年、ペントハウス誌の創設者ボブ・グッチョーネは、映画史上最高額の製作費を投じて“自主製作映画”「カリギュラ」を企画した。セックスとアートを融合させ、史上最も退廃的とされる皇帝カリギュラを描く歴史大作として、脚本にゴア・ビダル、監督にティント・ブラスを起用。さらに、「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェル、後に「クィーン」でアカデミー主演女優賞を受賞することになるヘレン・ミレン、「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールら英国の大物俳優が参加し、公開前から大きな期待を集めていた。

画像2(C)1979, 2023 PENTHOUSE FILMS INTERNATIONAL

しかし、製作中に様々なトラブルに見舞われることに。完成時には製作費は2倍に膨れ上がり、脚本家やスタッフらが訴訟を起こす事態に発展。撮影完了後には、監督が解雇され、編集と音楽の担当はクレジットを拒否した。トラブルを経て、1980年にようやく公開された「カリギュラ」は、観客だけでなくキャストにも衝撃を与える。グッチョーネが勝手にポルノシーンを付け加えていたり、勝手に脚本を書き換えたものが公開されてしまったからだ。批評家からは“価値のないゴミ”、“倫理的ホロコースト”などと酷評され、フィルムは警察に押収され、わいせつ罪にも問われた。しかし公開時に異例の興行収入を記録し、今でも世界的に高い人気を誇っている。

それから45年。破棄されたと思われていたフィルムが奇跡的に発見され、90時間以上の素材を再編集したのが本作、「カリギュラ 究極版」だ。“本来の「カリギュラ」”がついに蘇り、映画史を震撼させた大暴君が、当時とは異なるまったく新しい姿で、令和に再臨する。そんな本作から今回披露されたのは、モデルとなったローマ帝国皇帝カリギュラの【史実】、本作を再生させたプロデューサーによる【再編集秘話】、そして日本公開時の宣伝マンによる【知られざる闘い】の3つの視点から解き明かすエピソードだ。

画像3(C)1979, 2023 PENTHOUSE FILMS INTERNATIONAL
■忠臣を処刑し、自らを神と宣言、愛馬を「執政官」に任命…史実が証明する暴君の狂気

本作の主人公、ローマ帝国第3代皇帝カリギュラ(ガイウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス)。即位当初は市民から絶大な人気を誇った彼だが、大病を境にその治世は常軌を逸したものへと変貌する。歴史家たちが伝える奇行は、現代の想像を絶するものばかりだ。

自身が病に伏した際、「皇帝が助かるなら命を捧げてもいい」と申し出た忠実な臣下に対し、回復後に「約束を守らせる」として死を強要し処刑したという逸話。また、歴代皇帝が死後に神格化される通例を破り、存命中に自らを「生き神」であると宣言して絶対的な服従を強いた傲慢さ。そして極めつけは、溺愛する愛馬インキタトゥスに大理石の厩舎を与え、あろうことかローマの最高職である「執政官」に任命しようと画策して元老院を侮辱したエピソード。

この狂気じみた史実は、映画でも象徴的なシーンとして忠実に描かれている。本作の主演のマルコム・マクダウェルも、「20フィートもあるベッドの上で白くて美しい牝馬にささやくシーンがあるんだけど、最初は剥製かと思って聞いてみたら本物の馬が出てきて『冗談でしょ?』となったよ。でも知っている通り、本物のカリギュラも実際にこの馬を執政官にしているからね」と、史実そのままの狂気が再現された撮影現場を、驚きを隠せない様子で明かしている。

画像4(C)1979, 2023 PENTHOUSE FILMS INTERNATIONAL
■究極版プロデューサーが語る再編集秘話 「半分がゴミ箱に捨てられていた」90時間のフィルムから発掘された“真の演技”

1980年の初公開時、この「歴史ドラマ」はプロデューサーのボブ・グッチョーネが無許可で挿入したハードコアシーンによって覆い隠されてしまった。今回、90時間以上にも及ぶ膨大な未公開フィルムから「カリギュラ 究極版」を完成させたプロデューサーのトーマス・ネゴバンは、「編集を始めた時、私たちは演技を尊重して最高のバージョンを作りたかった。狂気の老帝ティベリウス(ピーター・オトゥール)、その後継者であるカリギュラマルコム・マクダウェル)、そして彼らと対峙する元老院議員ネルヴァ(ジョン・ギールグッド)。3人の巨匠が一堂に会するシーンがあるが、1980年版では大幅に短縮され、あろうことかその半分がゴミ箱に捨てられていたんだ。その未編集映像を見て、彼らの演技を検証した時、私は鳥肌が立ったよ」と、その作業過程で受けた衝撃を語る。ネゴバンはさらに、「ミレンの出演時間は20分未満から約1時間と大幅に増えているんです!」と、その劇的な変化を強調する。

また、本作の代名詞ともいえる過激な性描写や暴力描写についても、ネゴバンは「意図したわけではないが、単に衝撃的効果を狙っただけの映像は含めなかった。我々がやったことはすべて、『カリギュラ』という物語のためだ」と、その編集意図を説明した。そして「ある意味、我々のバージョンはより不穏だ。暴力が感情的な物語と結びついているから、より重苦しい」と語り、表面的な過激さではなく、物語の重厚さを追求したと語っている。

画像5(C)1979, 2023 PENTHOUSE FILMS INTERNATIONAL
■「ポルノ扱い」と戦った宣伝マンたちと“カリギュラ効果”

ネゴバンが編集の力で本作の「格」を取り戻そうとしたように、実は45年前の日本でも、本作を単なるポルノとして扱わせないための戦いがあった。当時、日本ヘラルド映画で本作の宣伝プロデューサーを務めた坂上直行氏は、「当初からエロティックな側面は注目されていたが、我々が打ち出したのはあくまで“スケール感”だった」と証言する。彼らは本作を、日比谷スカラ座といった当時でいう東宝洋画系A級劇場で公開することにこだわった。

「豪華絢爛な歴史大作」という格式高い看板と、「過激すぎて見せられない」というスキャンダラスな中身。この強烈なアンビバレンス(二律背反)が、禁止されるとかえって興味を掻き立てられる心理現象「カリギュラ効果」を巻き起こした。「カリギュラ効果」という言葉は、当時アメリカのボストンであまりの過激さに上映禁止にされたことにより、反発した市民たちが郊外まで足を運び鑑賞し、結果的に大ヒットを記録したエピソードが由来となっている。坂上は「仕掛けた我々もあまりの忙しさに言葉の由来までは覚えていない」と笑うが、日本中がこの「見てはいけない大作」に熱狂し、今でもその名を広く認知され伝説となっている事実は疑いようがない。


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