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福山雅治&大泉洋、“ユーモア”で結ばれた揺らぐことなき強固な信頼関係【「映画ラストマン FIRST LOVE」インタビュー】

2025年12月22日 11:00

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2023年に放送された連続ドラマ「ラストマン-全盲の捜査官-」で改めて抜群の相性の良さを広く世に知らしめた福山雅治大泉洋が、「映画ラストマン FIRST LOVE」で約2年半ぶりにタッグを組み、舞台をブラウン管からスクリーンに移して戻ってくる。映画.comでは、クリスマスイブの封切りに先んじて、2人が奏でる捧腹絶倒の対談の模様をクリスマスプレゼントとしてお届けする。(取材・文/大塚史貴、写真/根田拓也)

TBSで日曜劇場として放送された「ラストマン -全盲の捜査官-」で、福山はある事件がきっかけで両目の視力を失いながらもFBIで“事件を必ず終わらせる最後の切り札=ラストマン”と呼ばれる凄腕の特別捜査官・皆実広見、大泉は彼のバディとして共に事件に立ち向かう孤高の刑事・護道心太朗に息吹を注いだ。肩書も性格も異なる2人が、徐々に心を通わせ“無敵のバディ”として数々の難事件を解決していく姿を描いている。ドラマ後半では皆実と心太朗の過去の因縁が明らかになり、2人が実の兄弟だったという衝撃の事実が判明して大きな話題を呼んだ。


――連ドラ終了から約2年半、続編を待ち望んでいたファンも多いのではないでしょうか。久々に対峙してみて、何かしら変化を感じたことはありましたか?
福山:心太朗というキャラクターが、さらに沁みているなと感じました。テレビドラマでやっていた頃の初期、中期、後期と見てきていますから、そこから経験値が増して進化しているなと感じていました。ずる賢い! という部分もね(笑)。
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大泉:僕の役としてみれば、重たい十字架をおろしたところがありましたから、父親との問題が解決していたので、演じるうえで少し気持ちが楽になりました。ただ、皆実さんにいたっては特に変化はなく、安定の皆実さん。そしてスペシャルドラマ、映画とやってみて、今回の皆実さんは強い! もう暗殺者みたいでしたね(笑)。
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福山:アクションがあんなに……。こればかりは脚本を見るまでは分かりませんでしたからね。とはいえ、暗殺者は意識しました。明るい場所、そして無手では皆実にとっては分が悪いわけです。バディから位置情報を教えてもらって(拳銃を)シュートですから、ひとりではできることが少ない。だけど、暗闇とか煙の中では急に暗殺者の顔が出てくるんですよね。
――今回は特に、船の中のアクションとかすごかったですよね。無敵とすら感じました。
大泉:福山さんご自身、格闘技がお好きですしね。今回の新たな発見は、福山雅治という人は戦う人、戦える人なんだなということでしょうか。
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福山:それは僕の中で背負っているものがあって、「龍馬伝」で演じた坂本龍馬さんは薙刀(なぎなた)のほうで北辰一刀流免許皆伝という実力をお持ちだったと言われている。「るろうに剣心」では、緋村剣心の師匠である比古清十郎に扮しています。そして、ジョン・ウー監督の「マンハント」では大阪府警の武闘派刑事・矢村役で、ガンアクションもかなりやらせていただきました。
大泉:かなりやっていらっしゃるんですよね。
福山:イメージよりも(笑)。ジョン・ウー監督作では当然ながら、アクションシーンで鳩も飛んでいました。となると、僕としてはビシッとやりこまないと……という心境になるんです。
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大泉:僕は今回、福山雅治の背後にデンゼル・ワシントンが見えましたから(笑)。
福山:見えましたか! 嬉しいなあ。ただ、もうアザだらけでした。洋ちゃん、船のシーンは離れていたので、船内での格闘シーンは見られなかったと思うのですが、あのシーンは3日間かけて身体中アザだらけでした。
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2人の口からアクションに関して触れられたが、今作ではNetflix作品「ONE PIECE」を手掛けたアクションチームが参加し、連続ドラマから大幅にパワーアップした本格的なアクションシーンが幾つも用意されている。カーチェイス、銃撃戦、電車の中や船内の戦いなど、見どころが満載。皆実と同じく交換研修生として派遣されたFBI捜査官、クライド・ユン(ロウン)と、彼のアテンドとして行動を共にする護道泉(永瀬廉)が函館の路面電車内で繰り広げられる格闘シーンは、アクション練習に2日弱を費やしただけでなく、撮影は電車の運行が終了してから翌朝の始発まで、車両を借り受けて2晩かけて撮り切ったという。


【「映画ラストマン FIRST LOVE」あらすじ】
皆実が研修を終えてアメリカへ帰国してから2年――。皆実と心太朗は、ある事件のために北海道へ。そこで出会ったのは皆実の初恋の人、ナギサ・イワノワ(宮沢りえ)。世界を揺るがす陰謀に巻き込まれた彼女は、命の危険を感じアメリカへの亡命を希望していた。皆実と心太朗は、FBIから新たに派遣されたクライド・ユン捜査官(ロウン)や彼のアテンド役の護道泉(永瀬廉)、CIA、北海道警の合同チームと共に事件に挑むが、内通者によって情報が漏れ、謎の組織に襲撃されてしまう。銃弾に倒れる皆実、互いに裏切りを疑い合うチームメンバー……。絶対絶命のピンチに陥った2人が、愛する人を守り事件を解決へ導くことができるのかを描く。

――長野での撮影も一部あったようですが、基本は北海道が舞台。大泉さん的には、“ホーム”での撮影が続いて躍動されたのではないですか? 本編でも、北海道を愛して止まないことが漏れ伝わるようなセリフもありましたが……。
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大泉:今回はコミカルな要素も足されていますね。別の取材でも、“大泉洋味”が強かったとおっしゃる方もいました。それは北海道という土地が、私を躍動させたのかもしれません。役者の方々と食事に行くときなどは、お店のチョイスとか、これはもう申し訳ないですが独壇場でしたね。
福山:洋ちゃんからご紹介いただくお店は「安心」「安全」「ハイプライス」「ハイクオリティ」ですから。
大泉:(爆笑しながら)ハイプライスは余計ですよ(笑)。
福山:納得のハイプライスですから。僕が今回、やっちゃったんですよ。洋ちゃんがいないところで動くと必ず事件が起こる。洋ちゃんが不在のときにわざわざお願いするのも申し訳ないので、自分たちで札幌のお店を予約したわけですが、「ジャストハイプライス」でした(笑)。
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大泉:札幌には、だいぶ良いお値段のお店もありますからね。
――これまでにも北海道を舞台にした作品には、過酷な撮影の後日談がついて回りますが、今作では語り草になりそうなシーンはありましたか?
福山:あります。でも、それは長野でした。函館でもすごい寒い中での撮影がありましたが、寒さ競争でいうと今回は長野でしたね。
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大泉:菅平高原っていうのは、信じられないくらい寒かった。
福山:氷点下11度。人が踏み込んではならない、神の領域でしたよ。
大泉:すさまじい寒さでした。さらに、皆実さんはどうしたってスタイリッシュでいなければならないし、護道さんもある程度はシュッとしていないといけない。スタイリストさんだって気合が入る。そうすると、衣装がそんなに温かくないんですよ(笑)。
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福山:北海道でいえば、先ほども言いましたが函館の港。
大泉:我々が車でぶわーっと乗り付けて激しい銃撃戦になるシーンです。わたしは運転席から銃を撃っていたのですが、皆実さんは着いた瞬間に外に出ちゃったんですよね。皆実さんを援護射撃するような芝居でしたから。福山さんは(物まねしながら)「洋ちゃん、車の中でいいねえ」って言っていましたね(笑)。
福山:撮影が終わったのが夜中の3時半くらい。そういう時間帯に、冬の函館の港へ行っていいのは漁師さんだけですよ。北海道では函館が一番寒かったなあ。
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――今作に欠かすことのできないキーワードは「信頼関係」ではないでしょうか。おふたりだからこそ成立する「あうん」の呼吸は、連ドラ、SPドラマ、映画と続くなかでどう熟成されていきましたか?
福山:洋ちゃんは、内容や脚本、セリフを主観で読むときと客観で読む両面があります。「ここ、どうですかね?」という提案もすべて的確。僕も最初は細かいところまで気になるのですが、一度入ってしまえば多少ストーリーに無理があってもやっちゃう部分があります。一方で洋ちゃん、護道さんは踏みとどまれる、見失わずにいるという意味でもとても頼りになるんですよ。
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大泉:僕らはひとつひとつのキャラクターがどう動くか、どう考えるのかを突き詰める仕事ですから、この場面をいかに成立させるのか……という局面に直面するのですが、そこは役者が成立させるしかないんです。そういう話し合いはよくしましたね。
福山:はい。あとは、やはりユーモアですよね。古今東西問わず、どんなシリアスなストーリー、作品であったとしても、名作と呼ばれるものには必ずユーモアが含まれているというのが僕の個人的感想です。そのユーモアを、洋ちゃんはいつ何時でも出せるという安心感。これは大きいです。
大泉:それはお互い様の部分がありますよ。
福山:いや、僕だけだとまあまあ届かないところがあります。洋ちゃんはひとりでも成立させられますから。
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大泉:でも、福山さんがいるから面白いんじゃないですか。
福山:僕が何もしなくとも、洋ちゃんがいじってくれると、それだけで成立するんです。僕が何かやっても、「何しているの?」で終わっちゃいますから。
大泉:確かに、皆実さんの「ここが面白いな」という部分に気付くというのはありますね。皆実さんは、自分のことを面白いとは思っていません。セリフになくても、ちょっとした突っ込みどころとしてユーモアが生まれたりすることはあるんでしょうね。
福山:やはりね、ユーモアをいつでも出せる。ちょっと蛇口をひねればユーモアがいつでも出てくるって、最強ですよ。
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――おふたりが顔を揃えると、これまでにも幾つもの“名言”が生まれてきました。今回新たな“新作”名言は誕生しましたか?
大泉:作品の中で面白いところはありましたけれど、ロケで何かありましたかねえ……。
福山:いやいや、何かメモしていらっしゃいましたよ。
大泉:(爆笑)
福山:いまパッと思い浮かびませんが、折に触れてメモをするという洋ちゃんの生真面目さが出ていますよね。
大泉:そうだそうだ、あとでメモを読み返さなくちゃ(笑)。

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執筆者紹介

大塚史貴 (おおつか・ふみたか)

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映画.com副編集長。1976年生まれ、神奈川県出身。出版社やハリウッドのエンタメ業界紙の日本版「Variety Japan」を経て、2009年から映画.com編集部に所属。規模の大小を問わず、数多くの邦画作品の撮影現場を取材し、日本映画プロフェッショナル大賞選考委員を務める。

Twitter:@com56362672


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