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センスとアイディアあふれる、ミシェル・ゴンドリーの新作アニメーションを解説【第1回ANIAFF】

2025年12月13日 19:55

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ミシェル・ゴンドリーの切り絵アニメーション
ミシェル・ゴンドリーの切り絵アニメーション
©PARTIZAN FILMS

名古屋市で開催中の「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」国際コンペティション部門で、ミシェル・ゴンドリー監督の「タイトルつけてよ、マヤ」が12月13日、ミッドランドスクエアシネマ1で上映され、映画祭プログラマーの矢田部吉彦氏と評論家の藤津亮太氏が解説トークを行った。

外国に住む父ミシェル・ゴンドリーは、娘マヤが口にしたひとつの言葉から、マヤが主人公として活躍する短い物語を作り上げる。詩情あふれる切り絵アニメーション。

90年代からダフトパンク、ビョークらそうそうたるアーティストのミュージックビデオを手掛け、実写映画では「エターナル・サンシャイン」が2005年の第77回アカデミー賞で脚本賞を受賞と、実写作品で多くのファンを持つゴンドリー監督。矢田部氏は「ファンタジーな世界観と現実の物語をうまく混ぜ、フランス人ですが、いわゆる本流のフランス映画として連想しそうなものとはちょっと色合いの違う作品を作るので注目された。そして、アメリカの俳優たちも使いながら、ファンタジックで素敵な世界を作る。だから、彼がこういうアニメーションを作ったのは意外だった」と感想を述べる。

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藤津氏は「少し古風でクラシカルな感じをねらっているのかも。冒頭のタイトルバックからして、昔のヨーロッパ映画の雰囲気がある。(この作品は)彼の実写映画よりフランス映画っぽいのでは」と指摘すると、矢田部氏も「アニメを作りながら、過去の映画へのオマージュを捧げているよう」と同調し、「ヒッチコックのタイトルバックを担当したソール・バスっぽい。また、ジャン=リュック・ゴダールは文字を劇中に使うという特徴がありますが、そういったゴダールのような文字の使い方や、フランスのコミック、バンドデシネの吹き出しの入れ方なども取り込んでいるのかな。音楽の使い方も、ミシェル・ルグランを軽やかにした感じ」と分析した。

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藤津氏は「テクニック的にはそんなに複雑なことはしていない」と指摘し、「本当に切って動かしてるだけで、動かし方もいわゆる熟練のテクニックといういう感じでもなく、アバウトだけど、センスがいい。技術は最低限クリアしていたらセンスでいける。例えば、偽物の刑務所が出てきて、刑務所員は頭がナットでできている、もうそれだけで面白い。そういうトータルなアイデアの豊かさ」を感じたと評する。

さらに、実写映画ですでに一定の評価を得ているゴンドリー監督の名を知らずとも、本映画祭のコンペティションに選ばれた作品だと強調し、「技術よりセンス。センスしか勝たん。そんな出来映えで、これは外せないと思った。即決だった」とアニメーション監督としての力量も評価。さらに、紙を用いた切り絵の作品という点に着目し、ストップモーションの物質性について解説。プライベートフィルムとしての側面についても触れ、「お父さんは娘に嫌われたくない的な、男親の心理が溢れている」とも語った。

画像2©PARTIZAN FILMS

矢田部氏も、お気に入りのフライドポテトとケチャップのシーンを挙げ、「その発想だけでもう幸せになりました。センスとポップな味付けで描いていくところが、さすがミシェル・ゴンドリー」と太鼓判を押していた。

「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」(ANIAFF)は12月12日~17日、愛知県名古屋市で開催。チケットは公式サイト(https://aniaff.com/)で発売中。

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