「汚れた血」「ボーイ・ミーツ・ガール」「ポーラX」レオス・カラックス初期傑作4K版公開決定!
2025年12月12日 08:00

レオス・カラックス監督の初期傑作の4Kレストア版の公開が決定、「汚れた血」が1月10日、長編デビュー作「ボーイ・ミーツ・ガール」が1月31日、カラックス最大の衝撃作「ポーラX」を2月21日より渋谷・ユーロスペースほかで連続公開される。3作品のポスタービジュアルとシーン写真が披露された。
長編第2作で、弱冠26歳でルイ・デリュック賞、ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー賞に輝きカラックスの評価を決定づけた「汚れた血」は、愛のないセックスで感染する病気が蔓延する近未来のパリが舞台。父の不可解な死の後、アレックス(ドニ・ラヴァン)は父の友人マルク(シェル・ピコリ )から犯罪に誘われ、マルクの愛人アンナ(ジュリエット・ビノシュ)に魅かれてゆく……。ドニ・ラバンが再び主人公アレックスを演じ、フィルムノワールの設定と結ばれない男女の三角関係を、衝撃的に描いた。デビッド・ボウイの「Modern Love」をバックにラバンが走り続ける長回しシーンやラストのジュリエット・ビノシュの疾走など映画史に残る名シーンとされる。フランス本国の入場者数は50万人に及び、日本でも熱狂的ファンを生んだ。

「ボーイ・ミーツ・ガール」は、“ゴダールの再来”とカンヌを沸かせた長編デビュー作で、夢の断片のように美しいモノクロームの映像、夜のパリをさまようアレックスの恋を描くアレックス3部作の始まりだ。1984年カンヌ国際映画祭。100本近い新作から選ばれた「批評家週間」の7本に本作が入っていた。ドニ・ラバン演じるアレックス(カラックスの本名)を主人公とする、カラックスの出発点となる長編デビュー作。1960年生まれのカラックスが本作を監督したのは22歳のときだった。

「二人の名はアレックスとミレーユ。1960年生まれ、パリに住む。二人はまだ知りあっていない。彼はすでに彼女を愛している。だがそれは遅すぎた。」(オリジナル・プレスのシノプシス)カラックスが愛読するセリーヌ(1894-1961)の「なしくずしの死」の書き出しをゆっくりと読む子供のような不思議な声から映画は始まり、夜のセーヌ川へ。フロントガラスが割れた車の母子、「お別れを言いに来たの」と軽快な曲が流れる(ジョー・ルメールが歌うゲンズブールの「手ぎれ」)。河岸のトマとアレックスへと、別れる者たちの連鎖で物語が進む。普通の映画とはかなり異なった手探りの初々しい語り方、詩的で静かな独白的語りのなかで、失恋したアレックスとミレーユの偶然の出会い、一目惚れ、そして思わぬ悲劇が、コップの水が静かに溢れ出すような緊張感で語られていく。ドニとカラックスの出会いから生まれたアレックスは形を変えながら「ポンヌフの恋人」まで3作の主人公となる。また、カラックスとの仕事で名を知られることになる撮影のジャン=イヴ・エスコフィエ(1950-2003)との出会いも本作だった。
「ポーラX」は、「ポンヌフの恋人」から8年の沈黙を破り発表されたカラックス最大の衝撃作で、ハーマン・メルビルの問題作「ピエール」を映画化したもの。原作は19世紀半ばのアメリカ小説だが、仏題は“Pierre ou les ambiguité” (ピエール、あるいは曖昧なるもの)の頭文字Polaに謎のXをつけた暗号だった。

カラックスは全作品の脚本を書いてきたが、小説の映画化は初である。語り手メルビルとピエールが一体化していくような特異な怪物的作品で、カラックスは18歳の頃に読み「自分のために書かれたかのような奇妙な感覚」を抱いたという。ストーリーや役名、金髪ルーシー(本作ではフランス読みのリュシー)と黒髪イザベルの対比も原作通りだが、現代のパリに設定を変え、二人の絶望の深み、そしてその果てにあるあらゆる愛憎あらゆるしがらみからの超越を、壮絶なロマンティシズムの物語として描いた「ポーラX」は、20世紀の映画シーンの終わりにカラックスが発した魂のメッセージだった。主演のギヨーム・ドパルデュー(1971-2008、ジェラール・ドパルデューの息子)とカテリーナ・ゴルベワ(1966-2011、カラックスのパートナー)が困難な役柄を体当たりで演じ、ピエールが姉と呼ぶ母をカトリーヌ・ドヌーブが演じ前半と後半で極端な変化を見せる。
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