堺雅人、お坊さんにアドリブかまされ驚がく「ニヤリとしていた」
2025年11月14日 23:45

第32回山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみの小説を堺雅人主演、井川遥共演で映画化した「平場の月」初日舞台挨拶が11月14日、TOHOシネマズ日比谷で行われ、堺雅人、井川遥、坂元愛登、一色香澄、土井裕泰監督が出席した。
本作は、中学時代の同級生が時を経て再会し、離れていた歳月を埋めながら心を通わせるさまを描き出したラブストーリー。主人公・青砥健将役を務めた堺にとっては、本作が8年ぶりの映画主演作となった。
映画鑑賞後に行われたこの日の舞台挨拶は、ステージにキャスト、監督が登壇すると客席は総立ちでお出迎え。その拍手はしばらく鳴り響き、その様子に登壇者たちも感激の表情を見せた。

観客からのサプライズに堺も「出番前に袖で井川さんと、映画の雰囲気でノコノコ出ていってお客さまを興ざめさせてしまったら大変だな、嫌だなと言っていたんですが、とても温かい拍手を長時間いただきまして。本当にホッとしております。ここにいる全員がホッとしていると思います」と安どの表情。
井川も「ちょうど1年前に撮影をしておりまして。ちょっと寒くなってきて、人恋しくなるこの季節に公開を迎えました。映画が終わったばかりで、どんな感じで出たらいいんだろう、大丈夫かなと思っていたんですけど、こんなに温かい拍手をいただいて。本当に感激しております」と感謝の言葉を述べた。
そしてあらためて初日を迎えた心境を尋ねられた堺は「楽しみ半分、不安半分でずっと来ておりました。本当に一人ずつお茶でも飲みながら、ゆっくりお話をお伺いしたいくらい」とニッコリ。この日も宣伝のために複数のテレビ番組に出演することになったことに触れて、「けっこう皆さん盛り上がるんですよね。皆さん(感想が)止まらないんじゃないかというくらい。でもそれくらい、うねりのある物語なんだなという気がするんです」と説明した。

さらに「この映画、今でもふとした時に思い出すんですよね。名付けようのないくらい不思議な物語。宣伝でも『こういう映画です』と説明しようとすればするほど、するりするりと逃げてくような感じなので。皆さんの言葉で投稿をしてください。僕もけっこう見てますので」と呼びかけた。
本作の主題歌は、オファーを受けて星野源が書き下ろした楽曲「いきどまり」。映画のラストを飾るこの曲について堺が「最初に聴いた時、この物語が星野源さんのこの言葉で終わるのだ、というのがとっても素敵だなと思いました」と語った。
その上で「『行き止まり』って、“行く”に“止まる”と書きますが、“生きる”に“留まる”という意味もあるのかなと思った時に、立場と意味がぐっと反転するなと。今まで“さよなら”だと思っていたものが、“さよならじゃない”と思った瞬間にゾゾッときました。タイトルをひらがなにしたということは絶対に意味があることだと思うんで。なんてすばらしい言葉を残してくれたんだろう、すてきだなと思いました」としみじみと語った。

またイベント中では好きなキャラについて質問されるひと幕も。それに対して堺は、劇中の葬式のシーンに登場するお坊さん、を挙げる。「そのお坊さんが、テストと本番でお経を変えたんですよ。読み終わった後に、何のお経だったのかと聞いてみると、まさに『平場の月』にピッタリのお経だったんです。『理趣経』という、空海の教えのお経なんですけど、人間の愛が一番美しいよという。それは仏の妨げではなく、むしろそれこそが悟りの道なんだよというお経を、何も言ってないのにアドリブで変えたんですよ。まさかお坊さんがアドリブをかましてくるとは思いませんでした」と興奮気味に語る堺。
このアドリブは土井監督さえも気付かなかったそうで、堺の観察眼と、好奇心に感心した様子の会場内。ちなみにそのお坊さんは、お経をアドリブで変更したことに堺が気付いたと知り、「ニヤリとしていました」という。
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