堺雅人主演「平場の月」。“大人の恋愛映画”は成功するのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2025年11月15日 06:00

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
今週末11月14日(金)から「平場の月」が公開されました。
本作で注目すべきは、全国320館くらいの大規模公開となる「大人の恋愛映画」ということでしょう。
というのも、「若者の恋愛映画」はかなりの頻度で大規模公開されるくらいにスタンダードなものになっていますが、今回のような「大人の恋愛映画」というのは、少なくとも日本ではそれほど作られていない現実があるからです。
日本の人口構成を考えると、日本でこそ「大人の恋愛映画」や「大人のコメディ映画」が作られても良い気もしますが、実際に作っても日本ではヒットしないというのが定説としてあります。
(C)2025映画「平場の月」製作委員会例えば、日本の映画業界を牽引していたフジテレビ映画は2000年代初頭辺りに、このマーケットを開拓しようとチャレンジしていたのです。
当時の映画事業局の亀山千広局長は、私と新聞で対談した際、以下のような構想を述べていました。
そうした仮説のもと、フジテレビは「サイドウェイズ」(2009年)を作ったのです。
同作は、第77回アカデミー賞において「作品賞」にノミネートされ、「脚色賞」を受賞した「サイドウェイ」(2004年)をリメイクした作品で、日本人キャストを使いながらも、舞台はオリジナル版と同様にアメリカで撮影したというチャレンジングな試みでした。
出来は悪くはなかったのですが、そもそもオリジナル版自体が人を選ぶような作品だったこともあり、日本ではオリジナル版と同様に興行収入はパッとせずに終わってしまっています。
このような実例がいくつかあり、日本での映画マーケットは、基本的にはアクティブな若者層の人気が興行収入を牽引する構造になっているように感じます。
(C)2025映画「平場の月」製作委員会つまり、本作のような「50代の恋愛映画」を映画館で見る層は限られるため、あまり大きなヒットにはなりにくい面があるのです。
個人的に「上限」として想定される作品に、福山雅治×石田ゆり子のフジテレビ映画「マチネの終わりに」(2019年)があります。
キャストの人気と作品の完成度を考えると、「大人の恋愛映画」としては出来の良い作品でしたが、それでも興行収入9億円で終わってしまっています。
堺雅人×井川遥の「平場の月」はTBS映画。「花束みたいな恋をした」(2021年)などの土井裕泰監督作となっています。
本作の原作を土井裕泰監督が知ったのが、ちょうど20代の恋愛を描いた「花束みたいな恋をした」の制作に取りかかっていた2019年の秋。「20代の恋愛ものの後に50才の話を撮るのは面白いかも」と考えたようです。
それが関係しているのか、あるいは原作がそうなのかはわかりませんが、本作では、具体的な企業名が割と出てきます。
「花束みたいな恋をした」では、とても自然に出ていたので、リアリティーを生み出す良いアクセントになっていましたが、正直なところ本作では、「日常の会話でわざわざ何度も企業名を出さないのでは?」と、むしろ不自然さを感じてしまいました。
(C)2025映画「平場の月」製作委員会また、本作は「中学生時代に初めて出会った男女が、時を経て、50才になって再会する」という物語なのですが、50才で再会するシーンについては、堺雅人演じる主人公が、井川遥扮するヒロインに気付くのはちょっと無理があるのかな、と個人的には思いました。
というのも、中学生時代の俳優と井川遥が似ていれば気付くのは自然だとは思うものの、「どう見ても別人だよなぁ」と感じてしまったからです。
(C)2025映画「平場の月」製作委員会このような感じで、個人的にはそこまで入り込めなかった作品ではありますが、「大人の恋愛」を描いた作品という点では興味深いところがあります。
客観的には興行収入5億円あたりが目処になりそうな気がしていますが、現時点での「上限」と考えている興行収入9億円にどこまで近付けるのか、あるいは新たな「上限」を生み出せるのか――。
興行収入がリクープラインに乗れないと、「大人の恋愛映画」という分野の見通しが悪いままなので、果たして突破口となる作品は現れるのか、注目し続けたいと思います。
執筆者紹介
細野真宏 (ほその・まさひろ)
経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。
首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。
発売以来16年連続で完売を記録している『家計ノート2026』(小学館)が増量&バージョンアップし遂に発売! 2026年版では、日本において最も問題視されている「失われた30年」問題。この「失われた30年」においても貯金額を増やせる特別な方法を徹底解説!
Twitter:@masahi_hosono
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
BS12 トゥエルビ「土曜洋画劇場」
【何も考えずにこれ読んで】人生最高の映画に出合える…“次の日も休み”の土曜夜、特等席で会いましょう
提供:BS12
オデュッセイア
【公開1年前にチケット完売…異例&伝説の一作】新作が最も観たい監督C・ノーランの“史上最高傑作”
提供:ビターズ・エンド
シェルター
【急募】最強の男・ステイサムの倒し方を教えて――無理では? でも最新最凶の討伐計画、始動!!!
提供:キノフィルムズ
グレイ・ミッション
【狂】この2人、ボスのためなら“死ねます何でもします”…生存率0%、死亡率100%の絶体絶命を突破せよ
提供:AMGエンタテインメント
ラスト・サバイバー
【色気、爆裂しすぎてもはや危険】“この人”を今、最高に観るべき…超一流が激推し、次期007大本命!
提供:ディズニー
平行と垂直
【この映画が大好きで、心から愛おしくてたまらない】どうしてこんなに良い映画ができたんだろう――?
提供:東映ビデオ
私はあなたを知らない、
【編集部が徹底分裂!!】この男の“愛”に涙?ドン引き? 観たら絶対、誰かと語り“愛”たくなる問題作
提供:クロックワークス
面白すぎて口コミ爆発→奇跡の劇場公開!
【常識覆す極上エンタメ】とにかくこのホラー、“普通じゃない”。映画館へ走って!!
提供:ディズニー
この映画に気をつけて…
【激ハマり注意】“無限ループ見”しちゃいます…驚異の★4.5超高評価作、最速配信――!!
提供:J:COM STREAM
アン・ハサウェイ、今度はまさかの“●●”とガチバトル
【なんだこの物語!?】玄関あけたら1秒で遭遇――前代未聞の“パーフェクト夏超大作”!
提供:東和ピクチャーズ、東宝
午後のロードショー
【異次元の酷暑】外が暑すぎる!ならば「家で午後ロー」が神選択!!最強の避暑地はあなたの部屋に
提供:テレビ東京
全人類が一度はぶつかる“宿命的問題”
【「アウトレイジ」ほか北野武監督映画、配信されてない問題】!!!ここで観られるんだバカヤロー!
提供:TSUTAYA DISCAS
「映画ちいかわ」好き全員集合!
お店に行かなくても手に入る!「ちいかわ」景品勢揃い!! 提供:GiGO ONLINE CRANE