芦田愛菜、細田守監督作「果てしなきスカーレット」出演で確信「生きることは愛することなんじゃないか」
2025年11月5日 21:30

細田守監督の最新長編アニメーション映画「果てしなきスカーレット」のジャパンプレミアが11月5日、細田監督の初期の名作「時をかける少女」の舞台となった東京国立博物館(東京・上野)の表慶館で開催され、細田監督をはじめ、声優を務めた芦田愛菜、岡田将生、染谷将太、宮野真守、吉田鋼太郎、斉藤由貴、松重豊が出席し、作品への思いを語った。
“死者の国”を舞台に、父を殺した者へ復讐心に燃える王女・スカーレットと現代の日本から死者の国へとやってきた看護師の聖(ひじり)の旅路を描き出す。
作品に合わせて東京国立博物館は、主人公のスカーレットの髪色と同じピンク色に美しく幻想的にライトアップ! 芦田と岡田がそろって2階のバルコニーに姿を見せると招待客はピンク色のペンライトを振った。

ベネチア国際映画祭での上映後に約10分間のスタンディングオベーションが起こるなど、海外で既に高い評価を得て話題を呼んでいる本作だが、日本の観客へはこの日が初めてのお披露目となる。芦田は「一生懸命、声を演じたスカーレットをどんなふうに受け止めていただけるのか? 緊張もありつつ、楽しみです」と語り、岡田は「僕自身、声優というのが初めてでして、チャレンジさせてもらったお仕事です」と語り、「初めてのこと、わからないことだらけで、一から教えていただき、監督と一緒に聖をつくり上げました」とふり返った。
「竜とそばかすの姫」から4年を経ての最新作となるが、細田監督は「いままでつくった作品の中で、一番スケールの大きい作品であり、内容的にも挑戦で、表現も挑戦で、座組も挑戦で、本当に挑戦尽くしの作品であり、そのためにつくるのに4年半かかってしまいました。根本にあるのはスカーレットというひとりの女性ですが、僕の9歳の娘が、これからこの世界でどのように生きていくんだろうか? いまは頼りなげだけども、だんだんと力強く生きて、未来を目指してほしいという思いが根本にあって、この映画を作ることができました」と語った。

キャスト陣の口からは、完成した作品を見ての驚きや感動を伝える言葉が次々と繰り出される。吉田は「この作品を見てから、静謐に厳かに感動がずっと続いている状態」と明かし「人が人を許すこと、人が人を殺してはいけないこと、復讐の連鎖は許されないということ――それは絶対的で普遍的なテーマですが、それが全く何も解決されていない世界で、細田監督がそのことに真っ向から切り込んだ作品であり、細田監督の世界に向けて発信する勇気に心からエールを送りたい」と力強く語る。
宮野は「声優として数々の作品やらせていただき、いろんな映像を見てきた中で、まだまだ見たことのない表現があるのだと驚かされました」と感嘆。斉藤は「突き抜ける、立ち向かう、まっすぐな強さみたいなものが、美しく表出されているのを感じました」と語り、4度目の細田作品出演となる染谷は、物語について「全ての人々が、この作品の当事者であり関係者なんじゃないかと思いました。この作品に関係ない人世界中にいないだろうと思います」と語る。
シェイクスピアの「ハムレット」に着想を得た本作だが、松重は過去に蜷川幸雄の演出による舞台「ハムレット」に複数回出演しており、それぞれ渡辺謙、真田広之というその後、世界で活躍することになる俳優が主演を務めたことに触れ「芦田さんが今後、世界に羽ばたく姿が目に浮かぶようで嬉しいです」と芦田のさらなる飛躍に太鼓判を押す。

イベントの最後に芦田は改めて本作について「先日、ある物語を読んでいて『人生の意味より、人生そのものを愛せ』というような会話があって、これはまさに私がこの映画を見て思ったことだと思いました。スカーレットは自分で自分を傷つけ、縛られて生きていた女の子で、でもそんなスカーレットが死者の国での旅や、聖との出会いを通じて、自分の人生を愛せるようになる、自分自身を愛せるようになっていく作品だと思います。人生の愛を見つけられた時、自分の人生を使ってどう生きていきたいか――? 生きる意味が見出せるんじゃないかと感じました。意味を持って生きなきゃいけないのではなく、生きること、その行為自体に意味があって、生きることは愛することなんじゃないかと感じます。この作品を見てくださったみなさんも生きること、愛することってどんなことだろう? とスカーレットの生きる世界に思いをはせながら一緒に考えていただけたら嬉しいです」と呼びかけ、イベントは幕を閉じた。
「果てしなきスカーレット」は11月21日から公開。
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