「ウィメンズ・エンパワーメント」宮川絵里子、村田千恵子、水野詠子が世界で活躍するための秘訣を語る!
2025年11月1日 22:30

第38回東京国際映画祭で11月1日、「ウィメンズ・エンパワーメント 東京から世界へー日本の女性プロデューサーが世界に進出するために」と題したトークショーが、ミッドタウン BaseQで開催され、アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ東京国際映画祭シニア・プログラマーが司会を務め、プロデューサーの宮川絵里子氏、村田千恵子氏、水野詠子氏が出席しトークを展開した。
この日は「SHOGUN 将軍」の宮川氏、「国宝」の村田氏、「PLAN75」などの水野氏という世界で活躍するプロデューサー陣が参加。まずキャリアスタートについて宮川氏は「子供のころから映画を観ていたなかで、大学卒業後、最初の『キル・ビル』の現場に通訳で入ったのですが、そのとき映画現場のことをまったく知らなかった。相当な労力が必要で、カオスな仕事だなと思ったのですが、映画作りのプロセスを知り、恋に落ちたんです。いろいろな人が繋がるプロデューサーという仕事の存在を知り、夢が固まりました」ときっかけを明かす。
水野氏は「トロント映画祭でボランティアとして働き、その後パブリシストとして働き、トロントに出品される日本映画のことを書くようになり、そのなかで映画全体を見たいと思ったんです。それがどんなポジションなのかを聞いたとき『プロデューサーだね』と言われて、意識しました」と語ると、村田氏は「小学生の頃から映画が大好きで、ハリウッド映画を観て育ったんです。日本の大学を卒業し、アメリカの映画学校で脚本、演出、監督、編集などいろいろやるなかで、自分にはどれも難しいと感じ、残ったのがプロデューサー業でした」と経歴を述べていた。

それぞれプロデュースした作品は、日本国内だけではなく、海外でも高い評価を受けている。「世界で訴求できるストーリーとは?」という質問に宮川氏は「『SHOGUN 将軍』の成功は私だけではなく、いろいろな人の力があった」と前置きすると「『SHOGUN 将軍』は、壮大な暴力や戦い、愛といった普遍的なストーリーなんです。同時に武士の義理や戒律のようなものが、海外に響いた」と分析。さらに、海外で活躍するためには「柔軟であること、人に共感できることが重要。映画制作というのは、いろいろな方の労力が必要。各部署にはそれぞれの立場があり優先順位も違う。しっかりイマジネーションを持って、忍耐力を持つこと」の重要性を説いていた。

また「国宝」の成功について聞かれた村田氏は「『国宝』の成功は、素晴らしい監督、俳優さん、スタッフがいたから」と宮川氏と同じ趣旨の発言をすると「海外のプログラマーや監督からよく『黒澤明さんや小津安二郎さんはどこにいるの?』と言われるんです。なぜああいう作品が日本から出てこないんだと」と語り「大作のエンタメであり、芸術性の高い映画を撮りたいというビジョンを持つことはなかなか難しい。そのなかで、偉大な監督とクルーがいてくれたから、成功ができたんだと思います」と述べていた。
水野氏は独立系の作品を扱うという特異なキャリアを構築している。プロジェクトを立ち上げるときに重視していることについて「作家性の高いものを大切にしています。クリエイティブだけではなく、監督のビジョンとストーリーテリングに共感できた時、一緒にやりたいと思います。監督もプロデューサーもビジョンがなければいけないと思います」と語っていた。

さらに水野氏は「企画段階が重要。資金集めの前に脚本を作り、登場人物の感情がしっかりと描かれていれば、その企画は共感を持ってもらえる。国外でも同じことを行い、感触が良く、海外でも支持を得られる作品になると思ってから、資金集めを行います」とプロセスを説明していた。
ハリウッドで活動していう宮川氏は「パッケージングが大切。ストーリーテリングも大事ですが、それがどう脚本になるか、そして誰がそのキャラクターを演じるのかも大事。パッケージングのバランスはとても重要です」と述べていた。
世界で活躍する女性プロデューサーの金言を、会場に訪れた人たちも耳を傾ける。質疑応答では、女性のクリエイターたちが、女性ならではの苦悩に対しての助言を求めるシーンも。3人とも「昔より状況は良くなってきている」と述べつつ、続けることの重要性を説くなか、村田氏は「私は英語を話せることが、大きな力になりました。英語じゃなくてもいいと思いますが、若い人たちは語学を勉強した方がいい」とアドバイスを送っていた。
東京国際映画祭では、2024年からウィメンズ・エンパワーメント部門を創設。今年の東京国際映画祭「女性のエンパワーメント」部門では、7つの異なる世界から集めた7本の映画が上映される。
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