齊藤工、審査員としての決意「映画祭がどう変化するのか。その兆しに関われれば」【第38回東京国際映画祭】
2025年10月28日 14:40

第38回東京国際映画祭のコンペティション部門審査員会見が10月28日、東京・TOHOシネマズ シャンテで行われ、審査委員長を務めるジャーナリスト、作家、プログラマーのカルロ・シャトリアンをはじめ、審査委員のグイ・ルンメイ(俳優)、マチュー・ラクロー(編集者)、齊藤工(俳優・監督)、ヴィヴィアン・チュウ(監督、プロデューサー)が出席した。
今年のコンペティション部門は2025年1月以降に完成した長編映画を対象に、108の国と地域から1970本の応募があり、日本映画「金髪」(坂下雄一郎監督)、「恒星の向こう側」(中川龍太郎監督)を含む全15作品が選出されている。

審査委員長のシャトリアンは、「ともに映画を楽しみ、会話を重ねながら、互いを理解し、共有することに期待している」とバラエティ豊かな顔ぶれとの審査に意欲を見せ、「もちろん、独裁者になるつもりはありません(笑)。皆さんの思想や感情をまとめる責任を感じている」と意気込んだ。
2013年から18年までロカルノ国際映画祭のアーティスティック・ディレクターを務め、濱口竜介監督の「ハッピーアワー」(15)に注目したひとり。同作は、ロカルノで演技経験のない女優4人が最優秀女優賞を受賞しており、「映画祭への参加は視野を広げる機会。『ハッピーアワー』はその一例です。常に驚かされる場所であってほしい」と語った。
また「映画祭に出品される作品の中には、その後配給が決まらないものもある」と指摘し、「プログラマーや審査員はもちろんですが、メディアの皆さんの力も必要です。素晴らしい作品が、日の目を見るように応援してほしい」と呼びかけた。



齊藤は「5つの目線と心で、映画の海に浸りながら、この大役を務めていきたい」と抱負を語り、「今後、東京国際映画祭がどういう方向に変化するのか。その兆しに関われれば」と決意表明。時代性を反映した多様なラインナップについては「その中で、日本映画がどんな位置づけになり、どこに向かうべきかを見守りたい」といい、「それと俳優や現場スタッフ、邦画に関わる人間が、この映画祭により多く集まる未来になれば」と期待を寄せた。
アジアで数多くの共同製作に取り組んでいるチュウは、「ローカルな物語を国際的なプラットフォームで紹介するのが、映画祭の役割。東京国際映画祭は、とても特別で重要な存在」と力説。また「映画祭は、映画を見る場所として最後の聖域」とも語り、「その場所を守る役割はとても重要で、責任が重い」と背筋を伸ばした。
審査で重要視したいポイントについて、ラクローは「やはり、物語や演技に心を動かされたい。それにサプライズですね。予想もしなかった新しい驚きを目にしたい」、ルンメイは「映画を通して、未知なる経験ができれば。コンペティション部門の作品は、製作国もジャンルも違うので、とても楽しみですし、作品に対する“角度と勇気”も大切にしたい」と語っていた。


第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
「金髪」(日本/坂下雄一郎監督)
「恒星の向こう側」(日本/中川龍太郎監督)
「ポンペイのゴーレム」(フランス/アモス・ギタイ監督)
「裏か表か?」(イタリア、アメリカ/アレッシオ・リゴ・デ・リーギ監督、マッテオ・ゾッピス監督)
「雌鶏」(ギリシャ、ドイツ、ハンガリー/パールフィ・ジョルジ監督)
「マリア・ヴィトリア」(ポルトガル/マリオ・パトロシニオ監督)
「死のキッチン」(タイ/ペンエーグ・ラッタナルアーン監督)
「マザー」(ベルギー、北マケドニア/テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督)
「母なる大地」(マレーシア/チャン・ジーアン監督)
「春の木」(中国/チャン・リュル監督)
「パレスチナ36」(パレスチナ、イギリス、フランス、デンマーク/アンマリー・ジャシル監督)
「虚空への説教」(アゼルバイジャン、メキシコ、トルコ/ヒラル・バイダロフ監督)
「飛行家」(中国/ポンフェイ監督)
「私たちは森の果実」(カンボジア、フランス/リティ・パン監督)
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