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瀧内公美、東京国際映画祭ナビゲーターとして説く映画祭の魅力&映画への熱い思い

2025年10月26日 10:00

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取材に応じた瀧内公美
取材に応じた瀧内公美

1月に公開された「」(吉田大八監督)に始まり、「ゆきてかへらぬ」(根岸吉太郎監督)、「奇麗な、悪」(奥山和由監督)、「レイブンズ」(マーク・ギル監督)、「国宝」(李相日監督)、「ふつうの子ども」(呉美保監督)、そして「宝島」(大友啓史監督)と今年だけで出演作が7本公開された瀧内公美。いま、最も映画に愛されている女優のひとりである彼女が、日本最大級の映画の祭典であり、今年で38回目を迎える東京国際映画祭のナビゲーターに就任した。プライベートでも何度も同映画祭に足を運んでいたという映画好きの目線で、今年の映画祭の魅力、そして映画への熱い思いを語ってもらった。(取材・文・写真/黒豆直樹)

――東京国際映画祭に関してお仕事、プライベートを問わず、これまでに参加されての思い出やエピソード、東京国際映画祭で鑑賞した印象深い作品などはありますか?

観客として初めて足を運んだのが、たしか2012年(第25回)で、それ以来、足しげく通い続けた映画祭ですので、思い出はいっぱいあります。日本映画で云いますと、武正晴さんの「百円の恋」(2014年の第27回東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門作品賞受賞)は、この東京国際映画祭で強い印象が残っています。あと、青山真治監督「ユリイカ」が個人的に大好きでして、青山真治監督の追悼上映(2022年)に宮﨑あおいさんと斉藤陽一郎さんがトークショーでいらしていて、このイベントも非常に印象に残っています。

映画祭は、新しい映画監督との出会いの場所でもあると思っておりますし「こんな身近に映画人たちがこぞって集まっている!」と毎回驚かされます。映画人や関係者に出会える場所でもあり、初めて足を運んだ頃は「え? あの監督いる!」とワクワクした気持ちにもなりましたし、お世話になった監督と「いまはどんな作品をやられているんですか?」などと世間話ができる場所でもあります。そういう意味で、1年に1回のライフワークになっています。

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――ナビゲーターとして、今回の映画祭で楽しみにしている作品や催しについて教えてください。

コンペティション部門の作品ですと、パールフィ・ジョルジ監督の「雌鶏」。それから、私自身もお世話になりました中川龍太郎監督の「恒星の向こう側」、あとは「パレスチナ36」(アンマリー・ジャシル監督/パレスチナ・イギリス・フランス・デンマーク)、それからアジアの未来部門の「遥か東の中心で」(アラシュ・アニシー監督/イラン・オーストリア)。この4作は個人的に絶対に観に行きたいと思ってます。

――ぜひこれらの作品のどこに惹かれたのかも教えてください!

(パンフレットを広げ、鶏の顔がアップになった「雌鶏」のメインビジュアルを指しつつ)気になりません(笑)? 鶏が主人公の映画って何が起きたんだろう?って。「(作品紹介文にある)養鶏場からの移送中に逃げ出した一羽のニワトリを主人公とする寓話ドラマ」「ニワトリの旅を通して様々なテーマが浮き彫りに…」ってどういうこと(笑)? 絶対に面白そうじゃないですか! パールフィ・ジョルジ監督がどんな作品をつくったのか、楽しみです。

(「パレスチナ36」を指して)こういうパレスチナの問題を描いた作品が上映されるというのも素晴らしいことだと思います。現在、あの地で起きていることの源流はどこにあるのか? ということを考えさせられる作品なのかなと思います。

(「恒星の向こう側」の)中川龍太郎監督は、お世話になった監督でもありますが、それ以前から大好きな監督ですし、友人である福地桃子さんが主演されていますので、絶対に観たいと思っています。

――これまで、海外も含めて様々な映画祭に参加されています。東京国際映画祭に限らず“映画祭”という催しの面白さ、魅力はどんなところにあると思いますか?

まず、映画祭でしか観ることの出来ない作品に出合えるということです。海外の映画祭含め、これは自国で観ることは難しかっただろうな、という宝物に出合えたとき、映画祭に参加できた喜びを感じます。そして、映画スターにも会えるということですね。「え? あのスターが普通に歩いてるよ!!」みたいなことが頻繁に起こります。東京国際映画祭も、多くの来場者をお迎えしておりますので、いろんな映画人に出会えると思います。

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――東京国際映画祭以外のこれまでに参加された映画祭での思い出や印象深いエピソードなどはありますか?

以前、アメリカの映画祭に行かせていただいて、その時に映画祭のコーディネーターの方に連れられて射撃場に行ったんですよ。ちょっと時間ができたときに「射撃場に行きたくないか?」って誘われまして(笑)。監督には「ひとりで出歩かないように」と言われてたんですけど、映画祭のコーディネーターさんが一緒なら大丈夫かと思いまして、お出かけしたんです。

それで行ってみたところ、トム・クルーズに遭遇したんです! 隣を見たら、ガタイのいいSPの方が10人くらいいて、これは絶対にすごいスターが来てるなと思ったらトム・クルーズがいて…。「映画祭でトム・クルーズに出会う」という、最高の体験をさせていただきました。実際に会ったのは映画祭でじゃないですけど(笑)、映画祭に参加したからこそですよね。一生に一度の思い出です。

――瀧内さん自身が普段から「この作品観てみようかな?」と思う、映画選びの基準について教えてください。

まずは監督です。「あ、この監督の新作出たんだ!」とワクワクしながら映画館に出向いています。私にとっては映画を観る行為は、お仕事の一環です。ですので、趣味で「この映画観に行きたい」というのが、あまりないというのが本音です。あとは映画館です。「この映画館は間違いないな」という、映画館のセレクトを信じて「ここなら何か良い作品があるだろうな」と期待を胸に足を運んでいます。

あとは、本当に前情報がない状態で選ぶとしたら、ポスターですね。パッとポスターを見て直感とトキメキで(笑)、観に行っています。

――映画館の話が出ましたので、ぜひ映画館にまつわる思い出などもお聞きしたいと思います。子どもの頃に、初めて映画館に足を運んだ時のことは覚えていますか?

覚えています。地元の映画館でピカデリーがあったんですけど、そこで観た「名探偵コナン」の劇場版第1作でした。お友達とお泊まり会をして観に行きました。あのときの劇場体験っていうのは非常に素晴らしく、そもそもあんなに大きい画面で映像を見たことがないんですよ。スクリーンの大きさに圧倒されるわけです。

音も大きいですし(「名探偵コナン」に)影の姿をした犯人が出てくるわけですけど、あれがもう怖くて、怖くて…! 家のテレビとはサイズが違って、すごい恐怖体験だったことを覚えています。子どもの頃に劇場体験が出来たことは、とても幸せなことでした。

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――先ほどの作品選びの話でもおっしゃっていましたが「ここで掛かっている作品なら観てみたい!」と思うお気に入りの映画館も教えてください。

まずはBunkamura ル・シネマ(※現在は「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」に移転営業中)ですね。Bunkamuraさんが選んでいる作品は個人的にイチ押しです。

それから、シアター・イメージフォーラム。8時間上映が必要な作品も上映してくださるんです。観終わった時、みなさんと乗り切ったぞ! と謎の高揚感も生まれたりしたこともありました(笑)。そして、自分の出演作をたくさん上映していただいて、一番お世話になっているのは新宿武蔵野館さんです。

――改めて、映画館で映画を観るということの楽しさ、魅力というのはどういう部分に感じていらっしゃいますか?

映画館で観る面白さというのは、日常とかけ離れた非日常空間で、整った音響設備と大きなスクリーンで作品を観る――今後、上映される作品の予告編も含め、最後の最後まで全く知らない赤の他人と同じ映画を観る、見届けることに喜びがあるなと私は感じています。途中で止めることもできないですし、「この映画でこの人、そんな反応するんだ…!?」みたいなことに驚いたりもしますし、ポップコーンを食べながら気楽に過ごせる場所でもあります。いまの時代、贅沢のひとつにはなるのかもしれないですが、あの暗闇の中は特別な体験だなと思います。

――ちなみにご自身の出演を映画館に観に行くことはあるんですか?

(間髪入れずに)はい、行きます(笑)。(関係者向けの)試写で見せていただくときは、あんまり集中できないですよね。ですので、映画が公開されたら、初週に劇場の一番後ろの席で観るようにしています。みなさん、どんな反応をされて、どういうふうに思うのかな? と観察しつつ、自分なりの“答え合わせ”を劇場でしています。みなさんの生の声を聞くというのを大切にしています。

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――テレビドラマに舞台、配信作品にも数多く出演されており、それぞれのメディアの良さがあるかと思いますが、女優として「映画に出演する」ことにどのような思いを抱いてらっしゃいますか?

「私たちの世代は」という言い方は語弊があるかもしれませんが、私はスクリーンに憧れて女優になったものですから、いつまで経ってもスクリーンに映っている自分っていうのは嬉しいもんです(笑)。いまは、サブスクリプションも増えて、気軽に映画も見れますし、ついこないだまで劇場で上映されていた作品をすぐに配信で観られる状況ではあるので、そこにこだわりを持つということは、あまり必要ないことなのかもしれません…。とにかく、見ていただけるならば、ひとりでも多くの方に見ていただきたいので「ぜひ劇場で!」なんてことは言いません。

ですが、一個人としては、やっぱり映画はスクリーンっていうのを大切にしてますし、今年は幸運なことに大作と言われる作品が何本か並びましたので「こんな大きなスクリーンで私の顔が……嬉しいなあ」と思いました。映画の世界の住人になりたいと願っていた私にとって、この現状に幸せを感じています。

――いまや、TikTokやYouTubeなどを通して、誰もがメディアにさえなれる時代であり、若い世代にとってはそれが当たり前かもしれませんが、だからこそ映画館で上映される「映画」というのは改めて特別だなと思います。

そうですね。その文化はいつまでも残っていてほしいと願っています。私は演技をやっていますが、いまや私たちのようなお芝居を職業とし、俳優と呼ばれている人間とお芝居を生業とせず、メディアに出ている方の区別はもうなくなってきているのかなと思います。それこそ、私たちがドラマでやったお芝居を、若い方がマネしてSNSに載せたりされてますけど、みなさん再現度が高すぎて、こちらが真似したくなるくらい。演技をする喜びというのを体現しているものだなと感じています。日本人の精神としてよく「真似る」ことから「学ぶ」が始まると言いますけど、原点はこれだなと。

――俳優にとって「真似される」というのは、一番の称賛と言えるかもしれませんね。

本当にそう思います! 時々「こうやってパロディにされてバカにされてる気にならない?」とか聞かれるんですけど、いやいや全くの逆で、子どもに真似される芸こそが天下一品だと思っているので、そういう表現を自分ができているのだとしたら万々歳です。

――改めて最後に、ナビゲーターとして今年の東京国際映画祭を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

世界各国から多彩な作品が集う映画祭ですので、きっと皆さまそれぞれに新しい発見や感動があることと思います。中には少し難解に感じられる作品もあるかもしれませんが、世界の映画の豊かさを楽しんでいただければ嬉しく思います。そして、会場周辺では国内外の映画スターの方々と出会える機会も多いと思います。映画の魅力とともに、この映画祭ならではの華やかな雰囲気もぜひご堪能ください。

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