オスカー司会者のトーク番組無期限停止でハリウッドに波紋広がる
2025年9月22日 15:00

米ABCの深夜番組「ジミー・キンメル・ライブ!」が無期限停止となった決定をめぐり、テレビ業界や政治の世界に大きな波紋が広がっている。
ことの発端は、ジミー・キンメルが司会を務めるトーク番組内で保守派活動家チャーリー・カーク銃撃事件に触れ、「MAGAたちは、襲撃犯がトランプ支持者であることを必死に否定しようとしている。とても奇妙で、哀れに見える」と、トランプ支持者の対応を揶揄する発言を行ったことだった。
この発言に対し、連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー議長が「考えられる中で最もおぞましい行為の一つ」と批判し、放送免許への影響に言及。系列局の一部が番組放送を見合わせるなか、ABCは番組の放送を取り下げ、再放送番組で穴を埋める決断を下した。
キンメルは2003年から続く人気深夜番組の顔であり、アメリカのテレビ界における代表的存在のひとりだ。さらに、アカデミー賞授賞式の司会も過去に4度務め、米国を代表する“テレビの顔”として広く知られてきた人物であるだけに、今回の停止はより大きな衝撃を持って受け止められている。
この措置は、表現の自由を侵害する検閲行為ではないかとの議論を呼んでいる。同業の司会者や芸能人が次々と反応しており、米ハリウッド・レポーターやバラエティ、Deadlineなど業界紙がこぞって取り上げている。
今年のアカデミー賞授賞式で司会を務めたコナン・オブライエンは「ジミーの声を封じることは、アメリカの深夜テレビ文化そのものを傷つける行為だ」と批判。「レイト・ショー」のスティーブン・コルベールは「これは露骨な検閲だ」と断じ、「ジミー、私はあなたとスタッフを100%支持する」と全面的な連帯を表明した。
往年の名司会者デビッド・レターマンや「ザ・デイリー・ショー」のジョン・スチュワートも政治的圧力に対して懸念を示し、「ザ・トゥナイト・ショー」のジミー・ファロンや「レイト・ナイト」のセス・マイヤーズは、キンメルを支持する発言を行った。
さらに、映画・テレビ業界からも連帯の声が相次ぐ。「LOST」「ウォッチメン」で知られる脚本家デイモン・リンデロフは「これは単なるトークショーの問題ではない。表現の自由の未来に関わる問題だ」「恐怖によって決断が下されるなら、創造の場は窒息する」と、ABCと親会社にあたるディズニーを厳しく批判。
マーベル映画「ファンタスティック4 ファースト・ステップ」で主演を務めたペドロ・パスカルも、SNSで「ジミーは勇気を持って声をあげた。沈黙させられるべきは彼ではなく、権力を利用して真実をねじ曲げようとする側だ」と投稿。ディズニー傘下の作品に出演する立場からの発言は、ファンの間でも大きな反響を呼んだ。
ディズニー社の元CEOマイケル・アイズナーは、今回の処置を「制御不能な威圧」と呼び、「リーダーたちが圧力に立ち向かわなければ、言論や表現の自由は誰が守るのか」と警鐘を鳴らした。
一方、保守陣営やトランプ前大統領は番組停止を歓迎。トランプ氏は自身のSNSに「アメリカにとって朗報。視聴率の低いジミー・キンメル・ショーがキャンセルされたのは素晴らしいニュースだ」と書き込み、ライバルの司会者たちを「敗者」と切り捨てた。
FCCのカー議長は「地域社会の価値から逸脱している」とし、放送免許の観点での検討を示唆。これがABCの決定に大きく影響したとみられる。
今回の事態は、政権批判を行った人気司会者の番組が放送停止となる異例のケース。米国の言論の自由をめぐる論争の火種となっており、果たして番組は復活するのか、そして表現の自由と放送事業者の責任の線引きがどこにあるのか、議論は当面続きそうだ。
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