「ワン・バトル・アフター・アナザー」ベニチオ・デル・トロが放つ、名ゼリフ誕生秘話
2025年9月21日 10:00

すでに3回鑑賞しているスティーブン・スピルバーグ監督を筆頭に、全米の批評家が絶賛しているポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作「ワン・バトル・アフター・アナザー」。豪華キャストが共演する本作では、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公ボブが窮地に追い込まれると神出鬼没に現れる“センセイ”に扮したベニチオ・デル・トロが、独自のユーモラスな演技で新たな魅力を発揮している。
「ユージュアル・サスペクツ」(1995)で注目されたデル・トロは、スティーブン・ソダーバーグ監督作「トラフィック」(2000)でオスカーに輝いた。ショーン・ペンと共演した「21グラム」(2003)、自ら主演と製作を務め、革命家チェ・ゲバラを体現した「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳 別れの手紙」でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。

その後もドゥニ・ビルヌーブ監督のアクション巨編「ボーダーライン(2015)」(2015)、ジェームズ・ガンの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014)など、シリアスドラマからエンタメ、アクション大作まで幅広い作品で個性的な演技を披露し続けている。近年では、製作と主演を務めたNetflix作品「レプタイル 蜥蜴」(2023)、ウェス・アンダーソン監督の新作「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」(公開中)では、世界を飛び回り次々と事件に巻き込まれる大富豪を快演している。
本作ではボブの娘・ウィラが通う空手道場の“センセイ”を演じているデル・トロ。劇中には「自由とは何か教えよう。恐れるな。それが自由だ」という、物語の鍵を握る重要なセリフが登場する。
20年以上も構想を練ってきたというアンダーソン監督は、ニーナ・シモンの名曲「I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free」にインスパイアされてこのセリフを考えた。「『自由とは何かを教えよう。恐れがないことだ。それが自由だ。』――脚本には書かなかったのだが、撮影が進むにつれて頭の片隅でこのフレーズがずっと鳴り響いていた。『恐れるな。進め』。この言葉はベニチオに言わせるべきセリフだとはっきり思った。実際、人生や仕事の哲学として、私にとって確かに真実だからだ」と、この名ゼリフを名優に託した。
なお、すでに公開されている予告編では「自由とは恐れないことだ、トム・クルーズみたいに」と紹介されている。

アンダーソン監督からオファーを受けたデル・トロは、「脚本を読む前からすでに引き受ける気持ちだった」と振り返る。「ポールの書く脚本は本当に……少し陳腐に聞こえるかもしれないが、ページをめくる手が止まらないほど面白い。勢いがあって脚本には力があった。登場人物はしっかり作り込まれ、自己矛盾を抱え、同時に面白く、危険で、友好的でもある。矛盾に満ちていて、それが俳優にとって演じる楽しさにつながる」と、さらに意欲を高めていった。
ロケ地であるエルパソに入る前に、アンダーソン監督と何度も打合せをしたと言うデル・トロは、「キャラクターの旅やセンセイとボブの関係について話し合った。ポールは良いアイデアを決して避けず、それを試し、探り、最終的に変更もする。彼は協力的で、励ましてくれて、俳優が挑戦できる安全網を作ってくれる」と監督に全幅の信頼を寄せた。
実際にロケ地に足を踏み入れた後は、「私の記憶にあるのは、ただ笑っていたことだ。本当に。テイクの前も笑いながら、撮影中も笑い、終わってからも大笑いして、プロセスを楽しんでいた」と撮影を大いに楽しんだと振り返っている。

アンダーソン監督史上最大スケールのエンタメ大作となった本作について、デル・トロは以下のように語っている。
「ポールは“サーフ&ターフ”ができる監督だ。つまり、インディペンデント映画を高級で価値あるものに仕上げることも、大規模映画を派手に仕上げることもできる。この映画では、大作にありがちな欠如を補っているのは、人間性、ユーモア、キャラクターたちの失敗だ。この作品には一面的な人物はいない。アクション映画であり、冒頭から終わりまで大量のアクションがあるが、同時に人間たちが過ちを犯す姿が描かれる。欠点も見える。爆発やスタント、アクション映画のあらゆる要素に満ちていても、そのすべてを通してポールは人間の本質を探っている。左からも右からも、ボブの娘ウィラが生き延びようとする意志、そして父のボブが娘に抱く無条件で無私の愛が描かれる。それがこの作品を単なるアクション映画と区別している」
単なるド派手なアクションではなく、複雑な登場人物たちを通して、第一級の人間ドラマとなっていると解説している。
「ワン・バトル・アフター・アナザー」は10月3日公開。
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