第82回ベネチア国際映画祭開幕 話題はイスラエル・ガザ戦争に集中も審査員長アレクサンダー・ペインは明言控える
2025年8月29日 17:30

第82回ベネチア国際映画祭が、現地時間の8月27日に開幕した。例年、賞レースのキックオフとして注目を浴びるべネチアは、今年も注目作が揃った。コンペティションにはオープニングを飾ったパオロ・ソレンティーノ、ヨルゴス・ランティモス、ジム・ジャームッシュ、パク・チャヌク、フランソワ・オゾン、ベニー・サフディ、スーチーの初監督作など。さらにNetflixからギレルモ・デル・トロ、ノア・バームバック、キャスリン・ビグローが勢揃い。
アウト・オブ・コンペティションには日本から細田守(「果てしなきスカーレット」)、ルカ・グァダニーノ、ソフィア・コッポラがマーク・ジェイコブスを撮ったドキュメンタリー、今回栄誉賞を授与されるベルナー・ヘルツォーク、監督ばんざい賞のジュリアン・シュナーベル、カンパリ・パッション・フォー・フィルム賞のガス・バン・サントらの新作がある。日本勢は他にオリゾンティ部門に藤元明緒(4カ国合作の「LOST LAND/ロストランド」)と畑明広(フランス/ルクセンブルク合作の「LE GRAND CIEL」)が入選した。
もっとも、開幕の話題はもっぱらイスラエル・ガザ戦争に集中した。というのも開幕前に、映画祭ディレクターのアルベルト・バルベラがマスコミの取材に答え、イスラエルを支持する映画人を締め出すことはないものの、映画祭の立場としては明確に、いまガザで起こっているジェノサイドに反対することを表明したため。審査員メンバーの記者会見でも審査員長を務めるアレクサンダー・ペイン監督に同様の質問が向けられた。だが彼は、「正直、その質問の答えを用意していなかった。わたしは映画を観て語り、審査するためにここにいる。ただ、わたしの意見は多くの人のそれと変わらないと思う」と、明言を控えた。
ガザ関連ではまた、コンペティション部門に「皮膚を売った男」(2021)と「FOUR DAUGHTERS フォー・ドーターズ」(2023)で連続してアカデミー賞にノミネートされたカウテール・ベン・ハニア監督による、ガザでイスラエル軍に殺された少女の実話をもとにしたフィクション、「THE VOICE OF HIND RAJAB」がある。本作は、ホアキン・フェニックスとルーニー・マーラ、ブラッド・ピットなどが次々とエグゼクティブ・プロデューサーに加わり、金獅子最有力候補の一作と目されているだけに、この問題は一層白熱しそうだ。
受賞結果は9月6日の閉会式で発表される。(佐藤久理子)
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