マイク・リー最新作「ハード・トゥルース」10月24日公開 常に怒りをかかえた母親の深い孤独と悲しみ描く
2025年8月18日 17:00

イギリスの巨匠マイク・リー監督の最新作「Hard Truths(原題)」が、「ハード・トゥルース 母の日に願うこと」の邦題で10月24日から公開される。ポスタービジュアルと場面写真が披露された。
マイク・リーは、ショーン・ベイカー、グレタ・ガーウィグらにも影響を与え、世代が少し上のイギリスの名匠ケン・ローチと共に庶民たちの人間模様を見つめ続けてきた。80代となった彼は、今回、初めてロンドンで生きる黒人たちの日常生活をテーマとした。
世界の映画祭で27受賞・57ノミネートの本作は、カンヌ映画祭パルムドールを受賞作に「秘密と嘘」に出演したマリアンヌ・ジャン=バプティストとリー監督の再タッグ作となる。主人公の夫や息子、妹とのねじれた家族関係を見つめ、笑い、涙、怒りが交錯。やがて、一筋の希望が浮かび上がる人生賛歌だ。

舞台は現代のロンドン。パンジーは配管工の夫、カートリーや20代の無職の息子、モーゼスと一緒に暮していた。いつも怒ってばかりの彼女は朝から家族にも小言ばかり。外出しても、パンジーの怒りは収まらない。そんな彼女には美容師の妹、シャンテルがいるが、彼女は姉とは対照的な陽気な性格。シングルマザーの彼女はふたりの娘と暮しているが、家庭内では笑いが絶えない。母の日がくると、シャンテルの提案で、パンジーは亡くなった母、パールの墓参りにしぶしぶ出かける。
本作の主人公、パンジーは、夫や息子と暮らす黒人の中年女性。いつも何かに苛立ち、身近な人々との衝突を繰り返している。配管工の夫や20代の無職の息子との関係もぎくしゃくする日々。しかし、対照的な性格の妹、シャンテルと母の日に亡き母の墓参りに行った時から、自分の秘められた気持ちと向き合う。その心の奥には、長年、家族に複雑な思いを抱えてきたパンジーの深い孤独や悲しみが浮かぶ。

リー監督はAP通信のインタビューで「街に出ればパンジーのような人間はたくさん目に入る」と語っている。パンジーは怒りを周囲にぶつける人生を送っているが、この映画では、そんな主人公の怒りや孤独の向こう側にあるものも見せる。自分が周囲に嫌われていると考える彼女に、素直な妹のシャンテルは言う――「あなたのことは理解できないけれど、それでも、あなたを愛している」。どんな自分でもきっと受け入れてくれる人がいる。そんな救いと希望も感じさせる屈指の傑作となっている。
「ハード・トゥルース 母の日に願うこと」10月24日から新宿シネマカリテほか全国公開。
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