「ヘルボーイ ザ・クルキッドマン」あらすじ・概要・評論まとめ ~今度のヘルボーイは村ホラー? シリーズ第4作は最も原作に忠実と作者も太鼓判~【おすすめの注目映画】
2025年7月3日 10:00

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!
本記事では、「ヘルボーイ ザ・クルキッドマン」(2025年7月4日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。

マイク・ミニョーラ原作の人気アメリカンコミック「ヘルボーイ」を映画化したアクションホラー。原作の中でも特に人気の高いエピソード「捻じくれた男」の映画化で、原作者のミニョーラが脚本に参加した。
1950年代のアメリカ。超常現象調査防衛局(B.P.R.D.)の捜査官ヘルボーイと新人エージェントのジョーは、アパラチアの山奥にひっそりとたたずむ寒村にやってくる。その閉ざされた土地で奇怪な事件が相次いでおり、村人たちは怯えて暮らしていた。事件のすべては「歪んだ男」と呼ばれる悪魔の仕業だという。そんな中、トム・フェレルという男が村に戻ってくる。20年前、悪魔と契約して魂を奪われたと語る彼の帰還が、呪われた因縁を呼び覚ます。
監督は「アドレナリン」シリーズのブライアン・テイラー。主演は「アウトポスト」「デッドプール2」のジャック・ケシー。

世界中で根強いファンを持つマイク・ミニョーラ原作のアメコミ・ヒーロー、その実写版シリーズ第4弾。北米地区では劇場公開はされず、昨年10月に配信ストレートとなった。監督はブライアン・テイラー。ヘルボーイは新たにジャック・ケシーを起用。事件の鍵を握る男トムにジェファーソン・ホワイト、BPRD(超常現象調査防衛局)エージェントのジョー役に「モータルコンバット」続編への出演が決まったアデライン・ルドルフ。
1959年、アパラチア山脈で搬送中に逃走した怪物を追うヘルボーイと同僚のジョーは、とある村にたどり着く。そこは住民たちが魔女に悩まされているコミュニティだった。そこでヘルボーイたちは魔法をよく知る男トムと出会い、捜索の手がかりを求めて共に山の奥深くへと踏み込んで行く。

2004年の「ヘルボーイ(2004)」はその思春期的な感性に若干戸惑ったものの、ロン・パールマン扮する主人公の完成度には目を見張るものがあった。続く2作目の「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」は監督のモンスター愛とチーム感が、スケールアップした物語の中で見事に機能していた。シリーズは順調(2本で世界興行収入2.7億ドル)で、IPとしてもジャンルの重要な一角を担うまでになった。しかし19年「ヘルボーイ」でのリブートが不調に終わり(製作費5000万ドル、世界興行収入5500万ドル)、ファンも気を揉んでいたところ、5年ぶりの新作がついに完成した。
ミニョーラは今回も脚本とプロデュースで参加しているが、インタビュー記事によると「デル・トロ版は私が完全に望むものではなかったので、複雑な感情を抱いていた」そうだが、今回は原作寄りに振り切ったことで「見ていて興奮した」と語っている。確かに従来のファンタジーやアクション色は控えめで、コミックが持つ不気味でホラーな要素を強めた仕上がりになっている。

シリーズはこれまで、強大な敵と人類の存亡をかけ、歴史を塗り替えるような戦いを繰り広げてきたが、それに比べると本作はかなり小規模な、登場人物たちの内面に迫った内容に仕上がっている。それは新たなアプローチによる独立した立ち位置を目指しているようだ。
これが映画とコミック双方のファンを満足させる作品なのかは未知数だが、原作に対して誠実で丁寧に作られたことは確かだ。不気味でミニマルな音楽と、ダークな色調の世界観に加え、今回も彼の出自の一端が明らかになる。いくつかのぎこちない演出があるものの、若き日のヘルボーイを見ることは大変楽しい経験になるだろう。
執筆者紹介
本田敬 (ほんだ・けい)
映画.com外部スタッフ。映像宣伝会社エクラン代表。監督は成瀬巳喜男とドゥニ、ビルヌーブ、女優は高峰秀子とブリット・マーリングが好み。落語好きで古典も新作も好きな爆笑派。
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