テレビドラマ版「ハリー・ポッター」のハリー、ロン、ハーマイオニーが決定

2025年5月28日 12:30

米HBOの新作テレビシリーズ「ハリー・ポッター」の主要3役のキャストが発表された。ハリー・ポッター役にドミニク・マクラフリン、ハーマイオニー・グレンジャー役にアラベラ・スタントン、ロン・ウィーズリー役にアラスター・スタウトが選ばれ、史上最大規模となった3万2000人のオーディションを勝ち抜いた新世代の魔法界トリオが誕生した。

「この3人の素晴らしい才能に圧倒されました。彼らがスクリーンで魔法を繰り広げる姿を、世界中の皆さんに一刻も早くお見せしたい」と、ショーランナーのフランチェスカ・ガーディナーとエグゼクティブプロデューサー兼ディレクターのマーク・マイロッドは共同声明で語った。両者はまた、「オーディションに参加してくれた何万人もの子どもたちに心から感謝している。これほど多くの才能豊かな若者たちに出会えたことは、私たちにとって本当に幸せなことだった」と感謝の気持ちを表している。

キャスティングディレクターのルーシー・ベバンとエミリー・ブロックマンが率いた「並外れた捜索」の結果、3人の新人俳優が選ばれた。マクラフリンは英衛星放送スカイの新作コメディ「Grow」でニック・フロストやゴルダ・ロシューべルと共演予定で、スタントンは23年から24年にかけてウエストエンドで「マチルダ・ザ・ミュージカル」のマチルダ役を演じた経験を持つ。一方、スタウトにとって「ハリー・ポッター」が初の主要な役となる。

この選考過程の規模は文字通り前例がない。24年9月にオープンキャスティングの募集が開始されてから約8カ月間、キャスティングチームは3万2000人の応募者から理想的な3人を見つけ出すという困難な作業に取り組んだ。米バラエティによると、制作陣は1日あたり500から1000本の動画を審査し、「すべての動画を必ず見る」という方針で臨んだという。ガーディナーとマイロッドは24年12月、この驚異的な数字について「これほど多くの応募者が集まったのは、この10年で最大級の出来事だった」と振り返っている。

今回のキャスティングで特に注目すべきは、スタントンがハーマイオニー役に選ばれたことである。スタントンは有色人種の女優で、これは「ハリー・ポッター」の映像化において画期的な選択となった。HBOは募集要項で「我々は包摂的で多様性に富んだキャスティングにコミットしている」と明記し、「民族、性別、障害、人種、性的指向、性自認、その他法律で保護されているあらゆる基準に関係なく、資格のある演技者を募集する」と宣言していた。今回の選考結果は、この方針が実践されたことを示している。

これまでハーマイオニー役は映画版でエマ・ワトソンが演じ、舞台版「ハリー・ポッターと呪いの子」では黒人女優のノーマ・ドゥメズウェニが演じて話題となった。今回のスタントンの起用は、この流れを受け継ぐ重要な意味を持つ。

今回のオーディション過程は、現代のデジタル技術を駆使したものだった。応募者は2本の自撮り動画を提出する必要があった。1本目は30秒以内で、「ハリー・ポッター」以外の短い詩や物語を朗読するもの。2本目は1分以内で、自己紹介に加えて「特に親しい家族、友人、ペットについて説明する」というものだった。応募者には「標準的な英語に直さず、自分の地域の話し方で」という指示もあった。募集対象は、2025年4月時点で9歳から11歳のイギリスまたはアイルランド在住者に限定され、応募締切は24年10月31日だった。

興味深いのは、現在の選考と映画版製作時の比較である。映画版の初代キャスティングディレクターだったスーザン・フィギスによると、2000年当時は約4万人を審査したという。「郵便袋いっぱいの手紙があった」とフィギスは25年後の今振り返る。「当時の私の世界では、学校や遊び場、あらゆる興味深い場所を歩き回って人を見つけていた」。

一方、今回の3万2000人という数字は、デジタル時代における応募の容易さを反映している。しかし数は少なくても、選考の質と徹底さは向上している。映画版でワトソンは8回のオーディションを受け、ルパート・グリントはラップを歌う動画を送って注目を集めたという逸話もある。今回の選考では、映画版の俳優たちに「そっくりな」外見よりも、新しい魅力と演技力が重視された。

新シリーズは今夏からイギリスのリーブスデン・スタジオで撮影が開始される予定で、放送開始は26年から27年を予定している。既に発表されている大人キャストには、アルバス・ダンブルドア役のジョン・リスゴー、ミネルバ・マクゴナガル役のジャネット・マクティア、セブルス・スネイプ役のパーパ・エシエドゥ、ルビウス・ハグリッド役のニック・フロストらが名を連ねている。

制作陣は原作に忠実な年齢設定を採用すると発表しており、例えばスネイプは30代前半、ジェームズとリリー・ポッターは21歳で亡くなったという設定を反映させるという。これは映画版とは異なるアプローチであり、より原作に近い世界観の構築を目指している。シリーズは7シーズンの構成で、各シーズンが原作の1冊ずつを忠実に映像化する予定だ。J・K・ローリング自身もエグゼクティブプロデューサーとして製作に参加している。

史上最大の選考を勝ち抜いた3人による、より多様で現代的な「ハリー・ポッター」に注目だ。