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第3回新潟国際アニメーション映画祭コンペティション、「ルックバック」がグランプリ! 傾奇賞「カタツムリのメモワール」、境界賞「バレンティス」、奨励賞「ペーパーカット」

2025年3月20日 21:02

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第3回新潟国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門受賞者と審査員、ディレクター陣
第3回新潟国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門受賞者と審査員、ディレクター陣

第3回新潟国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門授賞式が3月20日行われ、押山清高監督の「ルックバック」がグランプリに輝いた。

今回のコンペティション部門では第1回、第2回を大きく上回る28の国・地域から69作品の応募があり、14カ国(共同製作含む)から12作品が選出された。「ルックバック」は「チェンソーマン」で知られる人気漫画家・藤本タツキが、2021年に「ジャンプ+」で発表した同名読み切り漫画を、アニメーション監督でアニメーターの押山清高が、監督・脚本・キャラクターデザインを手がけ劇場アニメ化。ひたむきに漫画づくりを続ける2人の少女の姿を描く青春ストーリー。第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞している。

画像11(C)藤本タツキ/集英社 (C)2024「ルックバック」製作委員会

審査委員長のマニエル・クリストバル監督は「完璧なテンポ感と美しく描写されたキャラクターたちで、テーマにも作り手にも新たな発見がある作品です。この作品の技術、ストーリーテリング、そして完成度を高く評価したいです。この新鮮でエキサイティングな監督の新作に期待が高まります」と「ルックバック」を評した。

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押山監督は「多くのスタッフに支えられてきた映画」だと感謝し、近い未来にAIでアニメーションが作られる時代になる、そんなニュースを本作製作中に知ったというエピソードを明かす。「僕はそのニュースを耳にしてすごくドキドキしました。それに対して、この『ルックバック』という作品は、人の手によって作るべきだと考え、本腰を入れて最後まで優秀なスタッフ、関係者に支えられて、作ることに努めました。その結果がこういう成功につながったことがすごく幸運だと思っています」とコメント。

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そして、「日本のアニメ業界は、クリエイター集団が、日々お互いに切磋琢磨して作り上げてきた技術力を共有し合いながら作品を生み出しています。今後、そうした技術は、これまでのような形では残ることがもしかしたら難しくなっていくかもしれません。『ルックバック』のように、隅々まで手作業で作り上げることは、これからの時代、ますます多分難しくなっていくでしょう。ですから、『ルックバック』は僕の中でも今の時点での記念碑のような気持ちで作っていました」と振り返り、「でも、人の手によって生み出される、そういったプロセスやヒストリーという価値は、今後高まっていく側面もあり、そうした価値は失われないと思っています。僕もどういう形かはわかりませんが、なるべく長い間アニメーションを作り続けられるといいなと思ってます」と今後の制作にさらなる意欲を見せた。

画像12(C)2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA

本映画祭ならではの賞で、オリジナリティあふれる作品に贈られる「傾奇賞」(KABUKU Award)は、アダム・エリオット監督の「カタツムリのメモワール」に贈られた。エリオット監督は「制作に8年がかかりました。そして過去10カ月、いろんな国の国や地域でプロモーションを続けてきましたが、この映画祭が最後の映画祭にもなるので、このような形で自分の冒険を終えられたことをものすごく嬉しく思っております」と受賞を喜ぶ。

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そして、「アニメーション業界で大きな脅威と言えるのはAIだと思いますが、私のこの作品の1番最後に『この作品は人間によって作られました』という言葉を入れました。その理由は、1番良いストーリー、そして芸術は人間にしか作れないものだと思っています。この新潟国際アニメーション映画祭のように、インディペンデントなアーティストやクリエイターの声を取り上げ続け、新しい優秀な方々を教育し続けてくれるような、そういうイベントがあることが本当に嬉しいこと。新しい若い人たちがインスピレーションされていき、私たち全員が団結すれば、アニメーション業界も強くなるでしょう」と、本映画祭とアニメーション業界全体の盛り上がりへ期待を込めた。

「バレンティス」
「バレンティス」
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境界賞はイタリアのジョバンニ・コロンブ監督の「バレンティス」。初のアニメーション監督作品での受賞を喜び、「私にとって素晴らしい映画祭で素晴らしい街で優しい方々に会ってうれしいです」とコメントした。

「ペーパーカット:インディー作家の僕の人生」
「ペーパーカット:インディー作家の僕の人生」
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奨励賞はアメリカのエリック・パワー監督の「ペーパーカット:インディー作家の僕の人生」に贈られた。「ひとりのアーティストとして、アニメーターの苦戦を描きました。若い人々に今後も続ける活力を与えられ、私の作品もインスピレーションになれば」(パワー監督)

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審査員長のクリストバルは「私たちは、アニメーションこそが最も大胆で、獰猛で、感動的で、強烈なインパクトを残すストーリーたちが見つかる場所だと強く信じています。そして、今回の受賞作品はまさにそれを体現するものです。アニメーションで表現された作品ですが、世界中のどのような映画祭でも受賞することができる、そんな素晴らしい作品です。審査が始まった瞬間からこの4作品が明らかに際立っており、制作にかかってであろう努力にふさわしい価値を持っていました。流行しているアニメーションのスタイルよりも、インディペンデントアニメーションというのは精神衛生上よく、それだけではなく、セクシーで知的で、無限の可能性を秘めていると私は伝えたいです。どうかこれからもインディペンデント作品を作り続け、物語における境界を切り拓き、世界を驚かせ続けてください」と総評し、映画祭主催者、スタッフ、観客にも感謝を述べた。

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また、授賞式では技術的貢献に対するアワード大川博賞と蕗谷虹児賞の贈賞も行われた。

技術的貢献に対するアワード蕗谷虹児賞、大川博賞では、革新的なスタジオに授与する大川博賞に、国民的アニメ「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」をはじめ、長い歴史を持ち近年も「窓ぎわのトットちゃん」「化け猫あんずちゃん」「とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー」など挑戦的な企画を次々に打ちだすシンエイ動画。蕗谷虹児賞は「ルックバック」で手描き作画の魅力で観客を圧倒した押山清高氏と井上俊之氏のアニメーターとしての技術、またアニメーション映画に不可欠な音の分野で活躍する木村絵理子氏の音響監督としての仕事、「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!」シリーズなどを手掛けてきた林ゆうき氏の音楽(作曲)の仕事が顕彰された。この日、井上俊之氏は欠席となったが、顕彰された3人と、シンエイ動画代表取締役社長梅澤道彦氏がそれぞれトロフィーを受け取り喜びを語った。

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真木太郎映画祭ゼネラルディレクターは「3回目となり、多くのお客様に恵まれ、特にコンペティションの観客の多さに驚きました。新潟・東京とスタッフにも恵まれました」と例年以上のコンペティションの盛り上がりに注目。中原八一新潟市長は「この映画祭がまた来年もここ新潟市で開催され、町中をアニメ一色で盛り上げていただけることを心から願っております」とコメント。最後に井上伸一郎フェスティバルディレクターが会期を振り返り「コンペティション部門は個性的な作品が多かったです。様々な作品が見られる楽しい映画祭になった、毎年参加作品のレベルが上がり、良い映画祭に成長したと思います。新潟の明さんの温かいおもてなしに感謝します」と振り返り、閉会を宣言した。

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3月15日から20日にわたる全6日間の会期では、映画上映のほか、国内外の人気監督や映画業界人によるトークイベント、学術的なフォーラムなど様々なイベントが行われ、前年以上のアニメ映画ファンの熱気を感じられた。また、第4回は2026年2月20~26日に開催されることも発表された。

▼各賞は以下の通り
グランプリ「ルックバック」(日本)押山清高監督
傾奇賞「かたつむりのメモワール」(オーストラリア)アダム・エリオット監督
境界賞「バレンティス」(イタリア)ジョバンニ・コロンブ監督
奨励賞「ペーパーカット:インディー作家の僕の人生」(アメリカ)エリック・パワー監督

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