メガホンをとったのは、「アベンジャーズ エンドゲーム」などMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品や「グレイマン」など、ヒット作を数多く生み出してきたアンソニー・ルッソとジョー・ルッソのルッソ兄弟。映画.comではオンラインインタビューを実施し、製作秘話について語ってもらった。
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』3月14日(金)より独占配信開始人類に反旗を翻した自律型ロボットたちが、塀に囲まれた広大な土地「
エレクトリック・ステイト」に追放された世界。ロボットは危険な存在という認識のなかで育った孤児の少女ミシェル(ブラウン)は、失った弟クリストファーに似た雰囲気をまとうロボットのコスモと出会い、弟がどこかで生きていることを知る。コスモと一緒に弟を捜す旅に出た彼女は、道中で出会った怪しげな密輸業者キーツ(プラット)とその相棒ロボット・ハーマンと行動をともにすることに。やがてミシェルは、ある邪悪な組織が弟の失踪に関わっていることを知る。
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』3月14日(金)より独占配信開始――原作となっているのは、、
シモン・ストーレンハーグの同名グラフィックノベルです。映画化権を獲得したのは2017年頃だったと思いますが、何故この原作に惹かれたのでしょうか?
その原作はとても素晴らしいもので、神秘的で広大な世界観、細部にまでこだわったディティールなどに対して、インスピレーションを膨らむ部分がありました。そして、そんな奇妙な世界の中で姉と弟の“絆”を描く――私たちの創造力がどんどんと成長していって、現在のような映画になったんです。
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』3月14日(金)より独占配信開始 ――舞台は1990年代。ハイテクな技術が発展しているという“現実とは異なるもうひとつの1990年代”が描かれています。このレトロフューチャー感が非常に魅力的でした。。
ジョー・ルッソ(以下:ルッソ):90年代は、ちょうどテクノロジーの存在感が増してきている、つまり技術的に大きな変調・変化があったタイミングでした。現代的で複雑なテーマは、いまと少し距離を置くことで、より伝えやすくなるということがあると思います。ですから、パラレルとして展開させ、観客の方々によりこの世界へと没入してもらい、体験してもらうということが重要でした。
同時に、楽しく、とても娯楽性のある時代を映画の中で感じてもらえるようなトーンで作っています。登場するロボットたちも、90年代のテクノロジーの制約・制限の中で表現しているので、そういうところも魅力的なものになっていると思います。
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』3月14日(金)より独占配信開始 ――原作から追加した、映画オリジナルのロボットはいるのでしょうか?
ジョン:かなりたくさんロボットを、今回新しく作っています。原作を2時間の映画にするということで色々考えなければなりませんでしたが、どうしても細部にこだわらなくてはいけないということになりました。我々が探求していったのは、この世界の中で技術がどのように存在しているのか。それはなぜあるのか、そして見た目はどういうものなのかということです。
劇中では“ロボットが活用され始めたのは、1955年にディズニーランドが建設された時”という設定があり、そこに登場するロボットは見た目に脅威を感じない、いわば“怖くない”ものだった――これを打ち出してから、この作品のトーンが出来上がっていったんだと思います。ロボットの設計やデザイン自体に魅力があり、怖くない、脅威を感じないからこそ、人々が購入・使用するといったマーケティングが形づくられています。
アンソニー:ただし、物語の核となる黄色いロボット・コスモは原作からきているものになっています。
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』3月14日(金)より独占配信開始 ――物語の後半には、さまざまなタイプのロボットが暴れ回る“大乱戦”が描かれています。「
アベンジャーズ エンドゲーム」にも、このような乱戦はありましたが、このようなバトルを魅せる時の工夫はありますか?
アンソニー:私たちは“壮大な物語”を伝えることが好きなんです。キャラクターたちが色々なことで動き、それによって生まれた状況、彼らの行動によって、世界の存続が左右される――そんなことを表現するのが好きなんです。
本作では、キャラクターたちがストーリーを突き進んでいくなかで、パーソナルな運命と人類にとっての運命が重なっていくようなところがありました。そして、それが結果的には“一緒になる”それがクライマックスのところです。
ミシェルは自分の弟を救いたいという個人的な思いがあり、それと同時に“大きな戦い”になっていきます。2人の友情という観点でいうと、キーツとハーマーの関係もありますよね。ロボットたちをなんとか助けたい……でも、場合によってはお互いを失ってしまうかもしれないというような状況です。パーソナルなストーリーがベースにあるのですが、非常に大きなものの存続もかかり、壮大な戦いへと発展していくんです。
たとえば、Mr.ピーナッツ(声:
ウッディ・ハレルソン)は自らの汚名を返上し、不当に扱われている状況から脱したいという思いがあって、腐敗した権力者に立ち向かい、ロボットの勝利を願っています。その一方でミシェル同様に“クリストファーを救いたい”という思いもある。こういう個人的な戦いと大きな戦いを一緒に描くのがとても好きなんです。
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』3月14日(金)より独占配信開始 ――では、劇中に登場するロボットで“お気に入り”を教えて頂けますか?
アンソニー:いろいろ異なる理由で、多くのロボットが大好きなんですが、あえて選ぶとしたらペニー・パルです。彼女は郵便配達を職務にしてきたロボットなんですが、その奇妙さと珍しさが良いと思いますし、声を当てているコメディアンの
ジェニー・スレイトがとても素晴らしいキャラクターを創り上げてくれました。
通常ロボットというのは、設計上こうしなければならないというものがあり、あとから自分の好みや意識が芽生えてくるというもの。でも、ペニー・パルは郵便配達のかなりのこだわりを持っている部分があるので、そこがとても面白いロボットだと思います。
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』3月14日(金)より独占配信開始