【第48回日本アカデミー賞】最優秀主演女優賞は「あんのこと」河合優実 「映画の世界に足を踏み入れて良かった」
2025年3月14日 22:38
本作は、入江悠監督(「SR サイタマノラッパー」)が監督・脚本を手がけ、ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ。売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏(河合)は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味溢れる刑事・多々羅(佐藤二朗)との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野(稲垣吾郎)の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。

受賞前に河合は、佐藤と稲垣との共演について、「おふたりは私にとっては大先輩ですし、起こる出来事が辛いぶん、おふたりの太陽のようなパワーが、本当に私と役の心の支えにもなっていたし、状態を変えてくれました」と述懐。ある感情が大きく動くシーンの本番前、河合は佐藤に「握手をしてほしい」とお願いしたという。
佐藤は「優実ちゃんにあとで聞いたら、『このシーンをやる前に、二朗さんの体温を感じたかった』と。そういうことで芝居が変わると、僕も優実ちゃんも信じていて。後輩にそんなことまでさせたら、絶対にこのシーンは外せないなと。僕こそ、優実ちゃんに感謝しています」と伝え、河合は「何が変わるかは分からないけれど、触れておいたら何か起きるかもと思ったら、止められなくなってしまって。勝手ながら、(温度を)もらいにいきました」と明かしていた。
昨年の第47回で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラ(「怪物」)からブロンズを受け取った河合は、「本当にこのたびは、ありがとうございます。ちょっと信じられない気持ちで、この会場にいること自体も夢のような思いでいます」と、驚きの表情を浮かべる。
河合は、「私は本当に未熟で新参者ですが、今日この会場に来て、敬愛する大先輩の皆さんに囲まれて、この映画の世界に足を踏み入れて良かったなと、心の底から思っています。『あんのこと』は言葉では言い表せないほど自分のなかで特別な作品です。長く俳優を続けていきたいと思っているんですが、そのなかでもきっと、ずっと自分の心に残り続ける大切な作品になるだろうなと思っています。『あんのこと』という映画に人生の時間を貸してくれた全ての人に、改めて感謝を伝えたいと思います。ありがとうございました」と、言葉に力を込めた。スピーチを終えた河合の姿を見守っていた佐藤は、目を潤ませていた。

なお、優秀主演女優賞は、石原さとみ(「ミッシング」)、上白石萌音(「夜明けのすべて」)、草笛光子(「九十歳。何がめでたい」)、満島ひかり(「ラストマイル」)が受賞した。
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