桜田ひより主演で辻村深月「この夏の星を見る」映画化! コロナ禍、行動が制限された中高生たちの青春を描く
2025年3月13日 19:00

女優の桜田ひよりが、直木賞作家・辻村深月氏の青春小説を映画化する「この夏の星を見る」に主演することが明らかになり、7月4日に公開されることがわかった。2020年、新型コロナウィルスが蔓延したコロナ禍を背景に、登校や部活動が次々と制限され、さらには緊急事態宣言に直面し、大人以上に複雑な思いを抱えていた中高生たちの青春を描く。
同名原作小説(KADOKAWA刊)は、コロナ禍という未曽有の事態のなか、悲しさ、もどかしさ、優しさ、温かさといった人々の思いを描き出し、幅広い世代からの支持を集めた。部活動を制限された中高生たちは、リモート会議を駆使して同時に天体観測をする競技「スターキャッチコンテスト」に挑む。茨城、東京、長崎五島の中高生が始めたこの活動はやがて全国に広がり、ある奇跡をもたらす。北海道新聞、東京新聞、中日新聞、西日本新聞、河北新報、山梨日日新聞の各紙に、21年6月~22年11月に順次掲載され、23年6月に単行本が刊行。6月には角川文庫、角川つばさ文庫で、それぞれ上下巻での文庫化が予定されている。
「交換ウソ日記」「大きな玉ねぎの下で」などで知られ、ドラマ「相続探偵」が放送中の桜田は、茨城県立砂浦第三高校の2年生・溪本亜紗を演じる。誰も経験したことのないコロナ禍において、不安な気持ちや悩みを抱えながらも懸命に生きる亜紗を、確かな演技力と多彩な表現力で体現した。

2019年にショートフィルム「ワンナイトのあとに」がYouTubeで300万回再生され、監督・脚本を務めた配信ドラマ「今日も浮つく、あなたは燃える。」の切り抜き動画などが、SNSでの総再生回数4億回を突破した新鋭・山元環が、本作で商業映画監督デビューを果たす。「夫婦が壊れるとき」「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call 寝不足の原因は自分にある。」「痛ぶる恋の、ようなもの」も手がけており、斬新な映像表現とキャラクター造形の深さに定評がある。
「FIN」で第47回城戸賞最終選考に選出された森野マッシュが、脚本を担当。「ケの日のケケケ」が第47回創作テレビドラマ大賞の大賞を獲得し、「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call 寝不足の原因は自分にある。」「君となら恋をしてみても」「VRおじさんの初恋」の脚本も手がけている。音楽は、「ひきこもり先生」「息をひそめて」「あの子の子ども」「アポロの歌」などドラマ、映画、CMの音楽を数多く手がけるharuka nakamura。大ヒット作「ルックバック」では、音楽と主題歌を担当した。
「この夏の星を見る」は、7月4日に全国公開。辻村氏、桜田、山元監督、森野のコメントは、以下の通り。
物語の舞台は2020年、コロナ禍の一年目です。天文部を描いたきっかけは、誰にとっても非日常だったあの日々の中で野外の部活動ならばできるのではないかという単純な思いからでした。けれど、宇宙に目を向けたから見えたこと、著者の私が主人公たちを通じて見せてもらった景色がたくさんあります。志を同じくし、彼らに共感してくださったスタッフ・キャストの皆さんが映画の中で広げてくださった世界もまさにそのひとつです。
皆さんにも、彼らが「この夏」に見た星の輝きを一緒に見届けていただけたら、とても光栄に思います。
原作者の辻村さんの作品は以前から読ませていただいていたので、出演が決まった時に、まさか自分が辻村さんの世界観に入れるなんて……という嬉しさが込み上がりました。学生時代のなんでもないことで笑い合えたり、一緒に熱くなれる瞬間を同世代の俳優の方々と大切に演じていこうと思いました。撮影は実際に原作に登場する高校を使わせていただいたので、感謝の気持ちでいっぱいです。山元監督は歳がものすごく離れているわけではなかったので、感性や笑いのポイントなどが近いなと感じられる部分も多く、共感し合いながら撮影を進めることができました。共演者のみなさんも本当に素敵な演技をされる方ばかりだったので、たくさん刺激をいただきました。映画がどのような仕上がりになっているか私自身とても楽しみです。
表現においても色々な挑戦をしましたが、特に“マスクで表情が隠れてしまう制限を恐れないで描く”ことが挑戦でした。マスクは表情の60%以上を隠し、どうしても人の情報量を減らしてしまいます。マスクを外さないということを徹底した結果、マスクは透明になり、更にマスクを外すことでシーンの鮮度はまた変わります。
この映画は、感情がマスクを飛び越えて、普通では味わえない楽しみがある映画に仕上がっています。
登場人物の数/コロナ禍/マスク/星/望遠鏡など、脚本段階から製作まで一筋縄ではいかない題材の映画でしたが、とにかく想像して、模索して、原作同様に真っ直ぐ熱く届くように作りました。商業映画初監督ですが、映画の力を信じて作れたことに喜びを感じています。「この夏の星を見る」の映画の温度が、少しでも見た人の心の栄養になれば嬉しいです。
この物語は若者に向けられた辻村先生からのエールです。この物語を監督するにあたり、若手である僕の起用を「若い人達にこそ作ってほしい」と言ってくださり、自分を信じて映画を作ろうと思えました。この映画を作った僕自身が、エールをもらい、勇気をもらえたような気がします。
主演の桜田ひよりさんは、マスクなんて悠々と飛び越え、逆に表情が印象的で際立っていて、声もとても良かった。ひよりさんの声で表現される言葉に体重を感じて、モニター前で嬉しくなったのを覚えています。
他にも鮮度のある実力派の若手から個性のある俳優の方々まで、見ていただけたら分かる魅力のあるキャラクター達に仕上がっています。コロナ禍で切望した繋がりのある世界を存分に躍動していただきました。
原作小説の中で繊細かつリアルに語られる、マスクをつけた学生たちの心の内を映像的に表現するという挑戦はとても難しいものでした。それでも、コロナ禍であっても自分にできることを見つけて眩しく輝いている登場人物たちへの憧れが原動力となり、初の映画脚本を書き切ることができました。若手である私たちの代表作になるようにと、常に脚本に寄り添い、やわらかく見守ってくださった辻村先生に、心から感謝をお伝えしたいです。楽しんでいただけますように!
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