ラウール主演「赤羽骨子のボディガード」“Snow Manパワー”はどれだけ炸裂するのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2024年8月2日 08:00
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
8月の1週目は、ここでは紹介しきれないほどの大型作品が公開されます。
まずは週末に先駆けて8月1日(木)から「インサイド・ヘッド2」「ツイスターズ」が公開されます。どちらも海外では絶好調な結果を出しています。
そして8月2日(金)からは、「ヒロアカ」劇場版第4弾となる「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」が公開され、こちらも期待できます。
そんな中、もっとも見極めにくい作品が邦画実写の「赤羽骨子のボディガード」ではないでしょうか。
そこで、今回は「赤羽骨子のボディガード」を取り上げることにします。
まず、作品自体を知らない人も少なくないでしょうが、それも無理はありません。
「赤羽骨子のボディガード」の原作は、今から約2年前の2022年9月から「週刊少年マガジン」で連載が始まった漫画作品です。
そして、単行本の1巻が2023年1月に発売された頃に、フジテレビの加藤達也プロデューサーが作品を知り、映画化のオファーをすることになりました。
このように、かなりのスピードで映画化まで進んだ作品なのです。
ただ、実際に映画を見てみると、設定などがとても奇抜で、当然の流れと言えそうです。
本作最大の注目点は、主役が「Snow Man」のラウールであることでしょう。
興味深いのは、ラウールが主役にピッタリの配役であったことと、共演者のクラスメイトが、かなり個性的で魅力的な面々であったことです。
通常の学園ものの作品では、個性的で魅力的な配役は数人ですが、本作の場合は、文字通り「クラスメイト全員」がそうなのです!
映画化に至るまで、このような流れがあったわけです。
本作のメガホンをとったのは、(フジ・メディア・ホールディングスの子会社である)共同テレビの石川淳一監督です。
フジテレビの加藤達也P×共同テレビの石川淳一監督と言えば、連ドラ「リーガル・ハイ」などで実績があり、作品の出来は期待できます。
石川淳一監督の映画監督としての実績は、「エイプリルフールズ」(2015年)から始まり、「ミックス。」(2017年)とフジテレビ映画が続いていました。
今年の3月15日に公開された「変な家」は、興行収入50.5億円を突破するなど、異例の大ヒットを記録しています。
本作の見どころの1つには、アクションシーンが満載というのがあります。
これまでの石川淳一監督作品はシーンの切り替えなどテンポが良い、というのは感じていましたが、本作ではアクションシーンも非常に上手く撮れていて、新たな良さを発見できました。
さて、このように、意外とポテンシャルの高い作品なのですが、さらなる注目ポイントは、主題歌も務める「Snow Man」の存在でしょう。
今や、飛ぶ鳥を落とす勢いで、例えば女性誌では「Snow Man」の付録を付けると売上部数がアップするという話も通説となっています。
これは映画においても同様で、「Snow Man」のメンバー・目黒蓮が主演した「わたしの幸せな結婚」(2023年)が興収28億円の大ヒットとなったことを筆頭に、想定より一回り大きな結果を生み出すのです!
例えば、今年の1月&2月、「ミッドナイトスワン」の内田英治監督作品が立て続けに公開されました。1月26日に「サイレントラブ」、2月23日に「マッチング」。「サイレントラブ」に軍配が上がりそうな雰囲気でしたが、同作の興収は6.3億円。一方、「マッチング」は興収9.3億円突破という想定外の動きを見せたのです。
この結果については、「マッチング」に「Snow Man」のメンバー・佐久間大介が出演していたという効果が少なからず出たと分析しています。
このように考えると、「赤羽骨子のボディガード」は興収15億円を狙えると思いますが、果たしてそれ以上の結果を生み出せるのでしょうか?
映画業界の今後を見極める意味においても大いに注目です。
映画業界の反転攻勢は、1週目「キングダム 大将軍の帰還」、2週目「怪盗グルーのミニオン超変身」は想定通り大ヒットを記録しています。
「反転攻勢の3週目」も、「デッドプール&ウルヴァリン」「もしも徳川家康が総理大臣になったら」「劇場版モノノ怪 唐傘」などがヒットしていて、今週末に大型4作品が公開される状況です。
ここまで期待作が増えてくると今度は座席の奪い合いが始まる状況ですが、「反転攻勢の4週目」にも大いに注目したいと思います!
執筆者紹介
細野真宏 (ほその・まさひろ)
経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。
首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。
発売以来15年連続で完売を記録している『家計ノート2025』(小学館)がバージョンアップし遂に発売! 2025年版では「全世代の年金額を初公開し、老後資金問題」を徹底解説!
Twitter:@masahi_hosono
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