過去10年のベスト・モダン・スラッシャー映画12選
2024年7月8日 23:00
タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演の「X エックス」3部作の最終章「MaXXXine(原題)」の全米公開に合わせ、米ハリウッド・レポーターが過去10年間のベスト・モダン・スラッシャー映画12作を選出した。
マスク姿の男たち。最後の女たち。着実に増えていく死体の数。記憶に残る武器。そして、大量の血。これらが、ホラーで最も成功したサブジャンルのひとつであるスラッシャームービーの核となる要素であると同誌は定義。古くはアルフレッド・ヒッチコックの「サイコ」やマリオ・バーバの「血みどろの入江」に始まり、トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」やジョン・カーペンターの「ハロウィン(1978)」、ショーン・S・カニンガムの「13日の金曜日」等でジャンルとしての人気を獲得し、その後、栄枯盛衰を繰り返してきた歴史を振り返った。
この10年近く、スラッシャー映画の勢いはとどまるところを知らず、その一翼を担う「X エックス」「Pearl パール」「MaXXXine(原題)」は、史上最高のスラッシャーシリーズのひとつになるかもしれないと評している。
ハリウッド・レポーターが選ぶ過去10年間のベスト・モダン・スラッシャー映画12作は以下の通り。
インフルエンサーのシシーことセシリアを主人公にしたオーストラリア映画。セシリアが幼なじみのエマと再会し、彼女の独身さよならパーティに招待される。パーティでは、エマの新しい友人やかつてのいじめっ子によりセシリアの過去は暴かれていき、パーティの参加者たちは一人、また一人と消えていく……。
リー・ジャニアク監督が、R・L・スタインのベストセラー小説シリーズを映画化。1994年、1978年、1666年を舞台に、2つの町の秘密の歴史をスラッシャー要素と魔術を融合させて描いた。キアナ・マデイラやオリビア・スコット・ウェルチを筆頭とする実力派キャストをはじめ、各作品にはそれぞれ違った見どころがあるが、間違いなくシリーズ第1作「フィアー・ストリート Part 1: 1994 」がハイライトだろう。
連続殺人鬼アート・ザ・クラウンの2時間半近い旅は、臓物、惨殺、そして最も鋼鉄の胃袋を持つホラー・ファンさえも悶絶させること間違いなしの殺りくの連続である。しかしそれ以上に素晴らしいのは、同作が神話を構築し、ピエロのアートに、ホラー界で瞬く間にカルト的なアイコンとなった最後の少女シエナという立派な敵を与えたことだ。レオーネは今年10月公開の『Terrifier 3(原題)』で3部作を完結させる予定だ。
超自然的な出来事によって、連続殺人鬼ブッチャーと体が入れ替えてしまった10代の少女ミリーをキャスリン・ニュートンが見事に演じた。「ハッピー・デス・デイ」で70年代や80年代のハイコンセプト・コメディをスラッシャーのサブジャンルとして再発明した監督クリストファー・ランドンと脚本家マイケル・ケネディによる作品で、ヒューマニズム的なアプローチを採用し、70年代や80年代の映画にはなかったクィアキャラクターの居場所を切り開いた。
時期的な問題かもしれないが、グレゴリー・プロトキン監督の「アトラクション」は、長く続くシリーズ化ふさわしい作品だと感じた。旅するホラー・テーマパークという設定だけでも、シリーズ化構想に活力を与えるには十分。好感の持てる登場人物たちを、さまざまなマスクをコレクションする殺人鬼 “アザーズ”がいるテーマパークに解き放つことで、若者なら誰もが抱くであろう悪の幻想的な性質に直接語りかけるスラッシャー映画が完成した。古典的なホラーの公式がいまだに有効であることを思い出させてくれた。
裕福な若者たちが、ハリケーンの中、豪邸に閉じ込められると、楽しいはずのパーティゲームが一転、仲間のうちの1人がしたいとなって発見される。これ機に、非難、侮辱、秘密の暴露、未解決の嫉妬の嵐へと発展し、誰もが容疑者となり、忘れがたい結末を迎える。Z世代の最悪で、最高に面白い特徴が描かれている。
2008年「ストレンジャーズ 戦慄の訪問者」の続編。オートキャンプ場にやってきた家族が、覆面をかぶった3人組の殺人鬼に追い詰められていく。前作のような冷徹で容赦ない高みには達していないものの、ヨハネス・ロバーツ監督は新たな道を切り開き、新たな恐怖、珍しい舞台設定の独創的な使い方、そしてボニー・タイラーの 「Total Eclipse of the Heart」に合わせたプールでの追跡シーンなどで、スリリングな追跡ゲームに80年代の感覚をもたらした。
ジェン・ウェクスラー監督によるパンクロック・スラッシャー。チェルシーとバンド仲間たちは、地元警察から追われて森に逃げ込むが、森を自分の縄張りとみなし、この奪われた土地を自分の運命の地とみなすレンジャーに遭遇する。平和、保護、抗議行動のひとつひとつが、世界を所有すると主張する者たちに対する危険な行為として認識される世界において、ますます意味を持つようになったスマートなスラッシャー映画だ。
クリス・ナッシュ監督は、「13日の金曜日」を模倣していることを隠そうともせず、仮面をかぶった切り裂き魔ジョニーの風貌やキャラクターの背景はジェイソン・ボーヒーズそのもの。しかし、キャンパーをつけ狙うジョニーを追ううちに、スラッシャーファンの多くが、いかに殺人鬼に親近感を抱くか、あるいは殺人鬼を応援することが多いかを考えずにはいられなくなる。マイケル、ジェイソン、フレディには、私たちが好きな何かがある。おそらく彼らは神秘に包まれ、私たちとの間に距離があるからだろう。この映画ではその距離がなくなり、キャンパーたちに通常殺人鬼へ与えられる神秘性が与えられている。
同作では舞台をニューヨークに移し、主人公たちは新たい冷酷なゴーストフェイスに立ち向かう。ウェス・クレイブンの初期2作のようなメタ的な作品ではないが、レガシーの継続、ファン理論の時折見せる抑圧的な性質、そして愛すべきキャラクターを殺すことの目的について、興味深い分析を提供している。ルールを塗り替えたわけではないが、魅力的な登場人物を追いかけ、数世代にわたるシリーズを織り成すという点でとんでもなく怖い映画だ。
デビッド・ゴードン・グリーン監督による「ハロウィン」3部作の最終作には、否定的な意見もあるが、マイヤーズとハドンフィールドを考察する上で、最も意義深い作品だと思う。悪は死なない。ハドンフィールドは単にマイヤーズの存在によって堕落した町ではなく、その原因である可能性が非常に高い町であることが明らかになる。残酷な人々と残酷な思想に満ちた病んだ場所であり、ブギーマンが必要な場所なのだ。ハドンフィールドはアメリカのどの町や都市ともそれほど変わらない。いたるところにマイケル・マイヤーズが形作られているのだ。
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