個性派俳優ドナルド・サザーランドさん死去

サザーランドさんは、特徴的な声と洞察力に満ちた演技で、50年以上にわたって観客を魅了し続けた。

カナダ・ニューブランズウィック州セントジョン出身のサザーランドさんは、11人兄弟の末っ子として生まれた。幼少期には病気で4年間寝たきりの闘病生活をおくったが、14歳でカナダの最年少DJとして頭角を現し、放送業界で成功を収めた。

大学ではエンジニアを目指していたが、演劇に魅了され、卒業後はロンドンなどで演技を学び、舞台俳優としてのキャリアをスタートさせた。1963年、プロデューサーのウォーレン・キーファーの勧めで「生きた屍の城」(63)に出演し、映画デビューを果たす。その後アメリカに渡り、「特攻大作戦」(67)で注目を集め、1970年の「M★A★S★H マッシュ」(70)で人気俳優の仲間入りを果たした。

アラン・J・パクラ監督の「コールガール」(71)、ニコラス・ローグ監督の「赤い影」(73)、ジョン・シュレシンジャー監督の「イナゴの日」(75)、ロバート・レッドフォード監督の「普通の人々」(80)など、アメリカン・ニュー・シネマを代表する作品に出演。その後は、「バックドラフト」の放火魔や、「ハンガー・ゲーム」シリーズのスノー大統領など悪役で強い印象を残している。

私生活では、66年に女優のシャーリー・ダグラスと再婚し、二児をもうけた（そのうちのひとりが「24」のキーファー・サザーランド）。その後離婚し、「コールガール」で共演したジェーン・フォンダと交際。74年には女優フランシーヌ・ラセットと再婚している。

サザーランドさんの才能は、数々の賞によっても証明されている。「ラスト・リミッツ　栄光なきアスリート」(98)でゴールデングローブ賞助演男優賞に輝いた。そして2017年、長年の功績が認められ、アカデミー賞名誉賞を受賞。この栄誉は、彼の俳優としての卓越した業績を物語っている。