M★A★S★H マッシュ
劇場公開日 1970年7月10日
解説
1950年代、朝鮮戦争のさなか。第4077MASH(移動野戦外科病院)に、3人の外科医、ホークアイ、デューク、トラッパーが赴任。彼らはいずれも名医だったが、平気で軍規を無視し、とんでもない悪戯を繰り返す。やがてその行状を将軍が知るが……。軍医たちが巻き起こす騒動を描き、戦争や体制を風刺したブラック・コメディ。原作は実際に従軍医だったリチャード・フッカーの同名小説。カンヌ国際映画祭グランプリに輝き、アメリカン・ニューシネマの代表作として知られる傑作。
1970年製作/116分/PG12/アメリカ
原題:M★A★S★H
配給:20世紀フォックス映画
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2022年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
単純な風刺を遥かに超えた、強烈な皮肉とブラックユーモアに加えて、今日的な表現の自由を駆使して大胆に露骨に映画にした作品。映画文法から客観的に評価すれば、実験的な価値に止まるだろう。しかし、このような一見不真面目極まる内容と表現だからとは言え、作者側にはそれとは真逆の実に真剣な戦争批判を掲げていることは、一応認めなければならない。素直でないのは確実だが、主題とする自分が正しいと判断する価値観を、もうヒューマニズムだけでは全てを主張することが出来なくなった、時代の表現の変化を認識するものである。
しかし、これはまた監督のロバート・アルトマンの個性であり、他に風刺が効いた反戦映画ではマイク・ニコルズの「キャッチ22」くらいしか思いつかない。制作から6年ほど経ったが、それを受け継ぐアメリカ映画が誕生していないことは、何を意味するか。つまり、風刺や皮肉やブラックユーモアというものは、時代の表現の代名詞にはなり難く、あくまで作家の個性の特徴に過ぎないという事だろう。それに公開当時の時代背景に身を置いて感じる、風刺の意味が大きいと思われる。
映画はその時代に受けて意味がある。6年前に観ていたら、もっと楽しめたかも知れない。風刺や皮肉が好きな自分でも、これは大胆さと古さを同時に感じてしまったのが正直な感想となる。
1976年 12月1日 池袋文芸坐
2021年9月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
当時の淀川長治さんのコメントでは痛快!と書いてあるのだが、完全に男子会ノリのストーリー・描写なので、気取っているとはいえ女性の上長へのイジメは結構ひどくて可哀想だった。
ハードな現場はバリバリと仕事をこなす兵士達が回しているということはわかった。
舞台は朝鮮戦争ですが、中身はほぼベトナム意識です。デタラメ軍医グループが次々と軍規を乱すようなハチャメチャを繰り返しますが、それぞれのハチャメチャは独立しているので全体を通じたストーリーはありません。
テンポもいいし、やることも想定外なのでかなり面白かったですが、本来のブラックはあの時代のアメリカ人じゃないとわからないでしょうね。
2020年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ブラック満載の戦争コメディ。本来ならベトナム反戦のための映画なんだろうけど、それを朝鮮戦争を舞台にしているところがストレートじゃなくていいのかも。
戦争とは馬鹿げたもの。しかもアメリカは友軍として、単にお遊びとしてしか感じていない雰囲気がよく伝わってくる。ホットリップスと呼ばれるようになったサリー・ケラーマン。軍紀を乱す兵を報告する!なんて声を荒げていたけど、結局はロバート・デュヴァルと寝ちゃって、それが野戦病院基地で放送されたことが原因だ。デュヴァルはサザーランドを殴ったために帰国させられたけど、シャワー中にテントをまくりあげられたりして、ホットリップスは最後まではじけるようになってしまった。
戦争シーンは一切なく、手術シーンがやたらと多い。なぜか医療シーンだけは真面目な作りとなってる。全体的にバカバカしさによって反戦を訴える映画となってるけど、人命だけは尊重しているのだ。
人種問題もさらりと取り入れ、笑えるシーンのてんこ盛り。テーマ曲の自殺のすすめみたいなのも笑えるけど、神父の扱いが微妙だった。戦地に神父がいることも皮肉なのかなぁ。それにしても日本の歌謡曲がバンバンかかるというのも・・・
すべての映画レビューを見る(全13件)