【第77回カンヌ国際映画祭】レオス・カラックス中編、ゴダールの遺作、アベル・ガンス「ナポレオン」修復版などコンペ以外も豪華なラインナップ
2024年5月26日 15:30

今年のカンヌ国際映画祭はコンペティションの面子だけでなく 、他部門も豪華だった。とくに触れておきたいのは、カンヌ・プレミア部門で上映されたレオス・カラックスの中編「C’est pas moi」、カンヌ・クラシック部門のジャン=リュック・ゴダールの遺作「Scénarios」(2024)とアベル・ガンスの「Napoléon vu par Abel Gance」(1927)だ。
40分のカラックスの作品は、題名(「これはわたしではない」という意味)とは裏腹にきわめて私的なエッセイである。これまでの彼の作品の抜粋や、私的なポートフォリオを使用しながら、自身でナレーションを入れたもの。もちろん、ストレートに彼の過去を振り返るものではなく、この監督らしい風刺もあり、あいだにはオムニバス映画「Tokyo!」に登場したキャラクター、メルド(ドゥニ・ラヴァン)とカラックスが一緒に公園を散歩する、撮り下ろし映像なども挿入される。ときにユーモラスでありながら、詩的で哀愁に満ちている。とくに亡くなったカテリーヌ・ゴルベワとギョーム・パルデュ(ともに「ポーラX」)の姿が映し出されるにあたっては、作り手のメランコリーを感じずにはいられない。

ゴダールの作品は18分の第一部と36分の第二部にわかれ、後半はゴダールの長年の右腕となっていたファブリス・アラーニョにより、ゴダールが制作のビジョンを語る様子を収めている。クラシック部門でありながらも作品自体は2022年9月、つまり彼が自死する直前に制作されたもので、明晰にヴィジョンを語る横顔から、いかにゴダールが最後の最後まで映画にこだわっていたかが痛いほどに伝わってくる。
前半の作品部分は、「イメージの本」(2018)制作当時の素材を使用しているだけに、同様のコラージュ方式を用いているが、「疲労のメカニズム」という言葉が繰り返されるなかで、兵士や戦いのフッテージが使用され、より暗い時代を反映した瞑想的なものだ。

「Napoléon vu par Abel Gance」は、3時間47分に及ぶ記念碑的大作として知られている。だが、紛失や遜色の激しい部分があり、1927年以来未公開となっていたものを、世界中からフィルムをかき集め、修復して完成版にしたものだ。当時からほぼ1世紀を経た今日、カンヌで披露された。
アベル・ガンスが考えるナポレオン像は、ヒーローとして彼を描いているもののプロパガンダではなく、詩的でアーティスティックな内容になっている。とくにこの時代に3面スクリーンを導入したり、カラー部分で独特の色彩技法を用いたりと、先端技術を駆使したものとしても知られており、今回の修復版は映画史に残る出来事と言えるだろう。(佐藤久理子)
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