第96回アカデミー賞雑感。配信系が失速、R指定映画が11冠【映画.com編集長コラム】
2024年3月12日 11:00

3月11日、第96回アカデミー賞授賞式が行われました。例年同様、WOWOWの中継を見るべく会社に出勤途中、スマホのニュースで「君たちはどう生きるか」と「ゴジラ-1.0」の受賞を知りました。「あれ、例年より早く始まってないか?」と慌てましたが、実は3月10日よりアメリカがサマータイムに切り替わっており、日本時間ではいつもより1時間早く授賞式がスタートしていたようです。
それにしても、この日本映画2作品の同時受賞は快挙です。過去、「おくりびと」が受賞した第81回授賞式で、「つみきのいえ」が短編アニメーション賞を受賞して、日本映画が2つのオスカーを取ったことがありますが、今回の「君たちはどう生きるか」と「ゴジラ-1.0」は、アメリカでの興行も大成功(全米BOXOFFICEの1位と3位をそれぞれ獲得)した上での受賞なので、日本映画界に及ぼす影響も関係者の喜びもケタ違いなんじゃないかと思います。

さて、本選の受賞作はと言えば「オッペンハイマー」が7部門で最多、「哀れなるものたち」が4部門で次点と、下馬評通りの強さを見せました。製作スタジオは、前者がユニバーサル、後者がディズニー(サーチライト・ピクチャーズ)です。このところ、Netflixなどの配信プラットフォームや、昨年「エブエブ」で大量受賞を決めたA24を筆頭とする新興スタジオの勃興が目立っていたオスカー戦線にあって、久しぶりにオールドスクール・スタジオが面目躍如を遂げたという印象です。

ちなみに、A24は今回「関心領域」で国際長編映画賞に加え、音響賞も受賞するという快挙で存在感を見せつけました。また「パスト ライブス 再会」も2部門ノミネートで健闘。配信PFについては、AmazonPrimeの「アメリカン・フィクション」が5部門ノミネートで受賞が1、アップルの「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」が10部門ノミネートで受賞ゼロ、Netflixの「マエストロ その音楽と愛と」が7部門ノミネートで受賞ゼロという具合で、ここ数年の快進撃が一段落したような雰囲気もあります。


作品賞受賞の「オッペンハイマー」は、日本人にとって内容があまりにもセンシティブなので、公開が延び延びになっていました。しかし、今回のオスカー作品賞を含む7部門受賞によって、「堂々の日本公開」を迎えることになります。3月29日公開ですが、日本の観客たちのリアクションに興味津々です。色々な意見がSNS上に飛び交うのは間違いありません。
最後に、いささか無粋ですが、受賞作の日本におけるレイティングについて触れておきましょう。
映倫の見解:刺激の強い性愛描写がみられ、標記区分に指定します。
映倫の見解:極めて刺激の強い性愛描写がみられ、標記区分に指定します。
これは単なる偶然だとは思いますが、受賞した11部門がR15+以上という極めて珍しい結果です。ご家族でオスカー受賞作を鑑賞しようとする際のご参考に。
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