アメリカン・フィクション

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解説

「ウォッチメン」「グッド・プレイス」など人気ドラマの脚本家として活躍してきたコード・ジェファーソンが、パーシバル・エベレットの小説を原作に初メガホンをとった監督デビュー作。アカデミー賞の前哨戦として重要視されるカナダのトロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞して注目を集め、第96回アカデミー賞では作品賞ほか5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。

作品に「黒人らしさが足りない」と評された黒人の小説家モンクが、半ばやけになって書いた冗談のようなステレオタイプな黒人小説がベストセラーとなり、思いがけないかたちで名声を得てしまう姿を通して、出版業界や黒人作家の作品の扱われ方を風刺的に描いたコメディドラマ。

ダニエル・クレイグ主演版「007」シリーズのフェリックス・ライター役などで知られるジェフリー・ライトが主演を務め、アカデミー主演男優賞にノミネート。共演のスターリング・K・ブラウンも助演男優賞にノミネートされた。そのほかの出演者は「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」のトレイシー・エリス・ロス、「アース・ママ」のエリカ・アレクサンダー、「バービー」のイッサ・レイ。

2023年製作/118分/アメリカ
原題:American Fiction

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第81回 ゴールデングローブ賞(2024年)

ノミネート

最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ)  
最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ) ジェフリー・ライト
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(C)2023 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved. 2月27日からPrime Videoで独占配信

映画レビュー

3.5人生の後半戦の世知辛さと寒々さが沁みる。

2024年3月31日
PCから投稿

コンセプトはとても興味深いのだが、「黒人のステレオタイプ」にとらわれている人たちを皮肉るブラックコメディであるにも関わらず、ひとつひとつの状況がベタで平易すぎるように思えて、結局はステレオタイプの枠内から抜け出せない狭苦しさみたいなものも感じてしまった。例えば似たケースの実話としてのJ・T・リロイ騒動なんかはより複雑でより滑稽だったりするので、フィクションとしてはいささか物足りない。しかし進んでいるようで進んでいないアメリカの黒人の現状を伝えるためには、これくらい単純でわかりやすく描くべきなのかも知れない。その辺の肌感覚は、知識の乏しさや現地の空気感がわかっていないため、どこまで理解できているのか自信がない部分ではある。一方で、介護が身近な中年以上の家族ドラマパートはかなり切実な現実であり、人生の後半戦の寒々しさを描いたドラマとして身につまされるし、沁みる。

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村山章

3.5なかなかの出来でした

2024年4月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

知的

大笑いするコメディではないが、ニヤっとさせられるコメディでした。大きな出来事は起きませんが、淡々と程良いテンポで話は進み飽きる事はありませんでした。
ラストの終わり方も意表を突かれ面白かったです。

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はらこ

2.0アメリカではあるあるなのかも

2024年4月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

ステレオタイプの黒人を求める社会に一石を投じる作品です。
ステレオタイプの黒人を求めているのは実は白人で当事者である黒人はそれを快く思っていない、というのは日本人である私には良く分かりませんでしたが、アメリカでは共感できる内容なのでしょうか?

物語の構成はユニークです。

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ゆーき

4.5アカデミー賞脚色賞受賞作は皮肉たっぷりのコメディ

2024年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

知的

 本年アカデミー賞で、作品賞、主演男優賞、助演男優賞、脚色賞、作曲賞の5部門にノミネートされ、脚色賞を見事受賞した作品なのに、我が国では配信のみとは驚き残念。なにより既に配信されてるなんて情報もまるで知りませんでした。もっともMGMの作品で今ではAMAZON-MGMとアマゾン傘下ですからやむを得ません、観られるだけ幸せと思わなくては。しかしそんなレベルの作品ではなく、ウェルメイドなシニカル・コメディなのですよ。しかし、だからこそ洋画が振るわずアニメ邦画のみがヒットの日本での興行は難しいでしょうね。

 監督・主演のコード・ジェファーソンは私ら日本人には白人なのか黒人なのか不明なレベル。そもそも主演の名優ジェフリー・ライトも沢山の作品に出てますが黒人にしては色が薄く、日焼けした白人かしらんと思っていたくらい。そのジェファーソン監督が受賞スピーチで「黒人の青年にチャンスを! 2億ドルの作品もいいけれど、400万ドルの映画なら50本も造れます」と。400万ドルって6億円ですよ、邦画でそんな予算はごく一部。このスピーチで黒人なのねと分かりましたが。

 それ程に黒人に対するさんざのステレオタイプへの嫌気が本作の動機で、それを小説家に置き換えて描くシチュエーション・コメディと言ってもいいでしょう。ベストセラーになるためには白人の黒人への哀れみを刺激しなければならない。黒人が人種を超えた説法を説いても売れるはずがない。だから当然に登場する黒人は薄幸でヤク中でムショ暮らしでなければならない。と。

 このセオリーを忠実に表現するために、本作は観客の意識改革を要求する仕組みが痛烈。主人公モンクは小説家であり大学の教授。彼の家族は親も兄弟も皆医者で、大きな邸宅を持ちお手伝いさんも雇っている。しかも兄はゲイを公言し次々と男を漁る日々で姉は離婚を決意、海辺の別荘のお隣さんはシングルですが弁護士で、彼らが愛する酒はビールなんかじゃなく皆ワイン。こんな設定なかなか映画でもお見受けしない。いっそお手伝いさんを白人にすればとも思う。さらに母親の介護の現実は身近なトピックスであるが、その費用の高額には驚いてしまうが、主人公は眉をほんの少し歪めるだけのリッチぶり。

 こんな状況下、モンクはジョークで超ステレオ小説をかき上げ、出版社に偽名で送ったところ、相手は大乗り気のドタバタがお話の骨子。軽蔑しきっていた世界観がこんなに受けるとは、いよいよ世も末で「FUCK」と口走り、白人編集者がまさかタイトルにと乗って来る始末。皮肉もとことん効いて大いに笑わせる。タイラー・ペリー、イドリス・エルバ、ラッセル・クロウ、マイケル・B・ジョーダンと実際のハリウッドスターの名を挙げ。小説世界と現実世界が次第に混然となる作劇。ここまで話を大きくすると収束にちょいと難儀で、混乱してしまったのが惜しい。

 翻って、差別なんてものは実に面倒くさく、お題目ばかり挙げても一向に改善しないってわけですね。

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クニオ
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