山崎貴監督が凱旋帰国! アカデミー視覚効果賞を受賞できたのは「完全にゴジラのおかげ」
2024年3月12日 20:49
第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督が3月12日、米ロサンゼルスでの授賞式から帰国の途につき、羽田空港内のホールで緊急の“凱旋”記者会見を行った。受賞について「完全にゴジラのおかげ」と語った。
邦画・アジア映画が視覚効果賞に輝くのは、史上初の快挙。監督として同賞を受賞したのは「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリック以来、55年ぶりで、山崎監督は史上2人目の受賞監督となった。
オスカー像を手に会見場に姿を見せた山崎監督は、「最高の結果になった」と安どの表情。実際に授賞式で受け取ったオスカー像は「想像をはるかに超える重さで、ビックリしました」と明かした。
同賞のプレゼンターは、アーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートが務めており、「まさか、ターミネーターに(名前を)呼ばれるとは」と述懐。授賞式の雰囲気については「僕のつたない英語のスピーチを、がんばれという感じで見守ってくれて、めちゃくちゃ温かった」と振り返った。
アカデミー視覚効果賞は「ある意味、聖域だったと思うが、今回、(アジアにも)解放してくれた。懐の深さを感じた」。それだけに「ずっと(VFXを)やり続けて、あの場所に立てたのが、とてもうれしい」と喜びを語り、「完全にゴジラのおかげですね。ゴジラがワールドワイドで大スターであることを、改めて思い知らされた。ゴジラのVFXだから、あの場所に立てた」と感謝と敬意を示した。
その上で「視覚効果賞は、VFXがいかに物語に貢献しているかが大事とされるみたいなので、VFXが生み出したゴジラの恐怖感、絶望感が、お話に貢献したのでは」と勝因を分析。「ハリウッド大作と戦えるか?」と問われると、「全然思わない」と断言し、「まだまだだと改めて感じた。いろんな条件が重なって、賞をいただいた。ラッキーパンチのようなもの。もぎ取りに行くのはまだまだ」と背筋を伸ばした。
今回の快挙がもたらす影響については「今後の日本映画の作り方が変わるかもしれない」と語り、「日本人キャストが出演する映画が、字幕上映され、それが北米でも見られるのであれば、それを見据えて、製作費が潤沢になる可能性は広がる」と未来を見据えた。
授賞式では、昨年亡くなったプロデューサーの阿部秀司さんに向けて「We did it !(僕ら、やったよ!)」と言葉をかけたが、改めて阿部さんの話題があがると「オスカーを手にして、ひと通りのお祭りが終わると、阿部さんがいれば良かったなと思った。なんで、生きている間に受賞しなかったんだと怒っているかも」としみじみ。「すばらしい助言、行動をしてくれて、監督としての幅を広げてくれた。僕らにとっては指標であり、これから阿部さんなしで映画を作るのが不安」と思いをはせた。
「中学生だった自分に何か伝えたいことは?」の質問には、「どうでしょうね(笑)。あの頃の僕は、生意気で何でもできると思っていたから、『ゴジラ』を撮ったと言えば信じるかもしれないが、オスカーをとったと言えば、『あっ、そうっすか』って変な人扱いするかも。オスカーを目指していたわけじゃないが、『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』にメロメロになった自分には感謝したい」と瞳を輝かせた。
「賞を目指す映画はあんまり好きじゃない。そういうことはあまり考えず、自分が作りたいものを徹底的に作れば、もしかすると道が開けるかも。(賞は)目指さずやっていきたい。ここを到達点にせず、ここを出発点にしたい」(山崎監督)
会見には、山崎監督とともにオスカー像を手にした渋谷紀世子(VFXディレクター)、高橋正紀(3DCGディレクター)、野島達司(エフェクトアーティスト/コンポジター)が同席。会見の最後には、本作のヒロインを演じた浜辺美波(大石典子役)がサプライズで駆けつけ、快挙を祝福した。
浜辺は「本当におめでとうございます」とお祝いの言葉を送り、「(受賞式の)皆さんのビックリ喜んでいる表情や、すばらしいスピーチで、温かさを感じました」。オスカー像を手にすると、「重たい! 危ない、危ない」と恐縮し「生で見られる日が来るとは」と感激していた。
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