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「ゴールデンカムイ」WOWOWが手掛ける大型作品! どのような展開になるのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】

2024年1月19日 08:00

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「ゴールデンカムイ」(公開中)
「ゴールデンカムイ」(公開中)
(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)


今週末1月19日(金)から「ゴールデンカムイ」が公開されました。

ゴールデンカムイ」とは、2014年8月21日~2022年4月28日に集英社の週刊ヤングジャンプにて連載されていた作品で、単行本は全31巻になります。

この超大作はこれまでアニメ化はされていましたが、実写化作品は今回が初めてとなります。ここで注目なのは、幹事会社がWOWOWと集英社となっている点で、個人的には「いよいよWOWOWが勝負に出てきたな」と感じています。

というのも、これまでもWOWOWが出資した作品は多数ありましたが、これまでとは制作費の規模が違います。WOWOWの本気度が感じられるのです。実際に見てみれば体感できると思いますが、従来の日本映画より頭一つ抜け出た感のあるクオリティーなのです!

画像2(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

邦画実写も相応の制作費をかければ、ここまでの超大作が作れるのだなと感心しました。

アクションシーンは言うまでもなく、邦画実写で初めて熊などの動物をCGによってハリウッド映画と遜色がないリアリティーのあるクオリティーで描き出す事にも成功していました。

もともと、原作マンガの人気が高いこともあり、内容面でも申し分のない面白さでした。強いて言えば、数少ないギャグシーンに関してだけは、少し演出力が足りない気がするくらいで、他は流石の出来栄えでした。

画像3(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
画像4(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

これまでの常識で言うと、本作も大ヒットすれば続編が映画でどんどん作られていくことになるのでしょう。

ところで、気になるのは、本作の制作会社が「キングダム」や「沈黙の艦隊」のCREDEUS(クレデウス)である点です。「キングダム」については、「これまでの常識」のように、映画の続編がどんどん作られ続けています。

ただし「沈黙の艦隊」については、ちょっと違う展開になっています。

沈黙の艦隊」は、Amazonスタジオが“日本の劇場用映画”を初製作したという点で注目していましたが、続編は劇場用映画としては作られず、Amazon Prime Videoにおいて映像化されることになりました。

Prime Videoは、“Amazon Original ドラマ”として「沈黙の艦隊 シーズン1  東京湾大海戦」(全8話)を、2024年2月9日から配信することを発表していますが、この中に、劇場用映画で使われたシーンが含まれているわけです。

画像5(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

このような事例が出てきているので、「ゴールデンカムイ」の今後の展開は、どうなっていくのかが気になるのです。

まずWOWOWは、これまで独自コンテンツとしてWOWOWでしか見られない連ドラを数多く作ってきています。

ただ、この戦略は、個人的には新規の契約者を増やす手法としてそこまで大きな効果は生み出さないのでは、と考えています。

というのも、そもそも、その新規の連ドラを知る機会が少ないですし、知る機会が少なければ契約してまで見ようとする人もそれほど見込めないからです。

実は、この仕組みは、AmazonやNetflixのような「配信」の会社が抱えている課題でもあります。

画像6(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

象徴的な事例で言うと、コロナ禍で本格始動したDisney+(ディズニープラス)の事例がわかりやすいでしょう。コロナ禍前は絶好調だったディズニーですが、本国により「劇場公開よりも配信重視」の方針が打ち出されました。

ただ、そもそも映像作品というのは、劇場公開され、話題になることで多くの人たちが認知することになるわけです。その構造を考えずにいきなり新作を配信プラットフォームで流したところで、そのコンテンツの存在が認知されていない状況では結果は厳しくならざるを得ない面があるのです。

コロナ禍に、劇場公開されずに配信のみでリリースされた「私ときどきレッサーパンダ」や「ソウルフル・ワールド」などが、今年に入ってから改めて劇場公開されるというのも、ディズニーの原点回帰の表れだと思われます。

このような流れに加えて、1984年末に設立された「日本初の民間衛星放送会社」であるWOWOWはサブスクリプション型の配信会社との競争により、柱である有料放送の会員数の減少が続いている状況もあるのです。

画像7(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
画像8(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

私は、そんな難題を克服するために登場したのが本作「ゴールデンカムイ」のような気がしています。

劇場映画としてキチンと1本の作品として成立していて満足度は高いし、続編も期待できます。制作費の関係から言うと、おそらく映画「ゴールデンカムイ」は、興行収入25億円くらいが採算ラインだと思われるので、「何とかそのラインを超え、続きを見たい!」というのが率直な感想です。

果たして、無事に続編の制作となり、勝負をかけたWOWOWの経営が軌道に乗れるのか。

ゴールデンカムイ」の興行収入の行方に大いに注目したいと思います!

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