綾野剛、「カラオケ行こ!」は「たおやかでやさしい映画」 齋藤潤の成長に思い馳せる
2024年1月12日 20:15
和山やまの人気コミックを実写映画化した「カラオケ行こ!」の初日舞台挨拶が1月12日に都内で行われ、綾野剛、齋藤潤、芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、チャンス大城、坂井真紀、北村一輝、山下敦弘監督が登壇した。
思春期に悩む合唱部の男子中学生と、歌がうまくなりたいヤクザの交流を描いた本作。「1秒先の彼」「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘が監督を、ドラマ「アンナチュラル」「逃げるは恥だが役に立つ」などを手掛ける野木亜紀子が脚本を手がけた。この日、全国245館で封切られた。
歌がうまくなりたいヤクザ・成田狂児を演じた綾野は、「この映画はたおやかで、とてもやさしい作品。やさしさがこの作品を包んでいる」と分析し、「齋藤潤くんの成長もそうですし、実寸大の彼の姿をこの作品に焼き付けようと、みんなが心から思って集結した現場だった。それが作品のカラーになっています」と中学生・岡聡実役の齋藤への思いが注がれたからこそ、温かな作品になったと話した。
オーディションで選ばれた齋藤は、「こういう映画に、こんなにチャレンジな役で大きく出させていただくことが初めて。今日から無事にこの作品が世に流れるということで、この作品に関わるすべての方々に感謝したいと思います」と感無量の面持ち。「皆さんの前でこうやって舞台に立たせていただいていることが、幸せだなと感じています」と心を込めると、会場からも大きな拍手が上がっていた。
司会から「どうやって関係性を築いたか」と問われた齋藤が「どうやって……」と言葉に少し詰まってしまい、照れ笑いをのぞかせる一幕も。綾野が「かわいいです……」と思わず心の声を漏らすと、齋藤も緊張が解けたように笑顔を弾けさせた。
綾野は「一緒の船に乗って、一緒に漕いで。みんなで一員となって向き合いましたし、彼はあらゆることから目を背けずに、最後まで現場に立ち向かった。とてもリスペクトしています」と齋藤の俳優としての姿勢を敬い、「ヤクザと中学生が噛み合うはずはないんです。『噛み合ってはいけない』というオーダーのもと、ずっとその状態で存在しないといけない。すごく不安だったと思う。確かな手応えを感じられずに、帰って行くこともあったと思う。そういった部分も最後まで一緒にやり遂げることができて、とてもうれしく思います」と特殊な関係性を演じ切った齋藤をねぎらった。
「本当に難しかったです」と打ち明けた齋藤は、「“噛み合っちゃいけない”ということが理解できないぐらい、(撮影時の)1年前は難易度が高かった。取材などで自分の言葉にしていくうちに、だんだんと実感していくことが多かったです」と苦労もあったという。
最後にはキャストたちがマイク型のクラッカーを割り、主題歌「紅」にちなんだ、“紅”色のテープで華々しく初日をお祝いした。綾野は「和山先生に原作を預けていただいて、漫画原作の難しさを感じていました。そのなかで野木さんが書かれた脚本が本当にすばらしく、原作と映画の融合がその台本にはありました。現場で我々がどのように生きていくかが、明確に書かれていた」と脚本に惚れ惚れ。「瞬間、瞬間をもちろん楽しんではいましたが、それ以上にみんな真剣にこの作品に向き合い、音楽に向き合い、齋藤潤くんに向き合って、この作品を完成させました」と力強く語った。
「この作品は、僕にとってとても大切な作品です」と切り出した齋藤は、「お芝居だけでなく、いろいろなことを受け取ることができて、作品は一人で作っていくものではなくて、みんなで作っていくものだと自分の身体で感じることができました」と宝物のような作品になった様子。
山下監督は「派手ではないし、小さなものを丁寧に描いた映画。(齋藤が演じた)聡実くんの『紅』を編集しながら何度も聴いていく中で、こういう映画が大きなスクリーンで観てもらうべき映画だなと思って作りました」と完成作に胸を張る。齋藤への愛情とリスペクトを終始、示していた綾野は、ステージ降壇時にもしっかりと齋藤をエスコート。先輩として頼もしい姿を見せていた。
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