沖縄の新しい映画祭「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」開幕! 尚玄ら美しい琉装で映画の魅力アピール
2023年11月24日 08:00

環太平洋地域にフォーカスした新しい国際映画祭「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」(第一回)が、11月23日那覇市で開幕し、オープニングセレモニーが行われた。国際的に活躍する俳優で、映画祭アンバサダーを務める尚玄、映画監督、俳優で映画祭理事の東盛あいか、審査員のアミール・ナデリ監督らがレッドカーペットに登場し、歓声を集めた。
同映画祭は、沖縄在住・台湾出身の映画監督、黄インイク(こう・いんいく)がエグゼクティブディレクターを務め、優れた映画の発掘と発信を通じ、各国の文化や民族、個々人の相互理解を深め、将来的に沖縄が環太平洋地域において新たな国際文化交流の場となることを目指すもの。環太平洋の各国・島々で製作された映画作品を対象にコンペティション形式による優秀作品の選考と上映を行うほか、製作者向けに国際共同制作を促進するプログラムやワークショップなども行い、沖縄を拠点に環太平洋地域の映画産業を盛り上げる長期的な施策を構想している。

越川道夫監督「水いらずの星」をはじめ、マレーシア、オーストラリア、台湾、インドネシアなど様々な地域から集まったコンペティション部門の9作品のほか、環太平洋地域の島々から注目の監督を取り上げ、今年はハワイ出身の日系監督クリストファー・マコト・ヨギ監督を特集する特別セレクション「Director in forcus」、日本を含めた環太平洋地域で製作された作品を映画祭プログラマーが選出する「Pacific Islnds ショーケース」、アジア最大のVRデバイスメーカーのHTC社と連携するVR体験上映、審査員の過去作や沖縄未公開の話題作を紹介するスペシャル上映、ビーチでの野外上映など、日本初上映作品を含む、約40作品を紹介する。


オープニングセレモニーが行われたホテル コレクティブは、那覇市松尾の映画館、国映館の跡地に2020年にオープンしたフルスペックシティーホテル。セレモニーは琉球古典音楽と書アートのパフォーマンスで始まり、黄エグゼクティブディレクターが開幕の挨拶を行った。「今日は『Cinema at Sea』の誕生日です。これから長く続く映画祭になることでしょう。今後、環太平洋のすべての国々、島々が集まり、沖縄から世界へ映画人が羽ばたく映画祭にしたいです。2年前に石垣島のビーチで始まったイベントから生まれた映画祭なので、海で繋がる映画祭にしていきたいです」と展望を述べた。

古謝玄太那覇副市長は、「環太平洋というコンセプトが素晴らしいと思った。沖縄には万国津梁という言葉があるように、古くから海の要所として、世界を海で繋げてきました。今回、それを映画で繋ぐ新たな試みが素晴らしく、また『Cinema at Sea』はaroundではなくatということで、まだまだ海の魅力を高めていけると思います。春に行われたバスケットボールワールドカップでは、海でのパブリックビューイングが盛り上がりました。今回の野外上映では、夜、海の音を聞きながら映画を観ることで、また違った沖縄の海の魅力が高まると思います」と、本映画祭の新たな可能性への期待を語った。
映画祭アンバサダーを務める尚玄は、伝統的な琉球の衣装で登場。「普段、様々な映画祭はスーツで行くのですが、今回沖縄で皆さんを迎えるにあたって、人生で初めて琉装をしました。映画を通して、世界の方々と国際交流の場を作り、来てくださった方との対話をしたいです。配信サービスもあり、最近は映画館に足を運ぶ機会がなかなかないかもしれませんが、この時期は映画にどっぷりつかる一週間にしてほしいです。多様性や社会問題を扱った作品もたくさんあるので、皆さん語り合いましょう」と呼び掛けた。

コンペティション審査員のイランのアミール・ナデリ監督は、「駆ける少年」(1985)の主演、マジッド・ニルマンドとともに参加。「美しい街、美しい国、美しい人々がこの場所で新しいことを起こそうとしています。この映画祭は世界の監督にとって、大事なものになっていき、世界に向けて発信する拠点として素晴らしいと思います。私もシネマ的な方法でこの映画祭を成功させたいです。来年、新しい映画監督が生まれることを期待しています」と、初開催を祝福した。
また、この日のセレモニーでは、特別贈賞として、戦後の沖縄を見つめ、既存の枠組みを打ち破る作品を発表してきた「マブイ特別賞」が高嶺剛監督と俳優の平良進ら高嶺組に贈られた。高嶺監督は、受賞の喜びとともに“マブイ”と呼ばれる、魂を意味する言葉を挙げ、「沖縄で映画を撮ることで一番大事なのは沖縄のマブイを逃さないこと。根源的な沖縄の風景の中に漂っているマブイ、戦争で亡くなった方の魂、ドキュメンタリーでも劇映画でもその風景なくしては撮れません。これからも沖縄でなければ撮れないものを目指し、映画のマブイを追い求めて、映画のマブイにおぼれながら映画を作っていきたい」とさらなる躍進を誓う。過去に高嶺監督作にかかわった、小林薫、細野晴臣、石川竜一らからのメッセージも届いた。

高嶺監督の作品はセリフに沖縄の言葉をそのまま用いており、日本語の字幕が入っているのが特色だが、同様に与那国の言葉で作った映画「ばちらぬん」を発表した東盛は「私は映画館のない与那国島で育ち、18、9の時に石垣島のミニシアターで初めて『変魚路』を見て、放心状態になりました。その後、高嶺監督の作品を観たいといろいろな手段を探しました。高嶺映画のともしびは今の若い人たちに受け継がれています」と、その影響の大きさと、沖縄を舞台にした映画を撮り続ける高嶺監督へ感謝を伝えた。
「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」は、11月29日まで、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール等、那覇市内を中心とした会場で開催。会期中はトークイベントのほか、フォーラム、クリエイター向けワークショップなども行われる。チケット、プログラム詳細は公式サイト(https://www.cinema-at-sea.com/)で告知中。
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