魔法も白馬の王子様も必要ない 義足モデルの心の変化を描く「シンデレラガール」11月18日公開
2023年9月4日 08:00
「子宮に沈める」「飢えたライオン」の緒方貴臣監督の最新作「シンデレラガール」が、11月18日より新宿 K's cinemaほかで全国順次公開されることが決定した。ポスターとともに、主演の伊礼姫奈と緒方監督のコメントが披露された。
12歳の時に病気で片脚を切断し、入退院を繰り返していた音羽のために、中学校のクラスメイトたちが病院の屋上でサプライズの卒業式を開いてくれる。その動画がSNSで話題になり、音羽にモデルのオファーが舞い込む。義足の女子高校生モデルという特異性もあり、一時的に注目されるが、モデルとしての仕事は義足を隠したものばかりだった。ある日、音羽とマネージャーの唯は、義足のファッションブランドの「義足を障がいの象徴でなく、個性として捉えてほしい」という理念を聞いて、義足をもっと押し出していこうと決める。やがて、ファッションショーに出演できるチャンスがやってくる。
本作は、「魔法」や「白馬の王子様」に依存した他力本願な前時代的女性像である「シンデレラ」へのアンチテーゼとなる作品。進行性筋ジストロフィー(PMD)と診断されたモデル・森山風歩らが監修を務め、「義足は障がいの象徴」と捉えていた主人公や彼女のマネージャーが、ポジティブに捉えられるようになるまでの心の変化を描く。
主人公の音羽役は「推しが武道館いってくれたら死ぬ」で主人公の推しである舞菜役を演じた伊礼が務め、マネージャーの唯役は「たまつきの夢」で主演を務めた辻千恵が担う。そのほか、看護師・桜役で泉マリン、医師の内藤役で太田将熙、母・多佳子役で輝有子が顔を揃え、音羽の仲良しグループのメンバー役で、佐月絵美、三原羽衣、田口音羽が出演。さらに、音羽の人生に大きな影響を与えるファッションデザイナー・五十嵐役で筒井真理子が参加する。
音羽役の伊礼は、「『義足』という今まで演じたことの無い、難しいテーマではありましたが、当事者の方にお話をお伺いしたり、沢山勉強して撮影に挑みました。映画に散りばめられたメッセージを劇場で受け取っていただけたら嬉しいです」とコメントを寄せた。
撮影監督は、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した「淵に立つ」や「よこがお」で知られる根岸憲一。「飢えたライオン」で根岸と組んだ緒方監督のオファーで再タッグが実現した。
「シンデレラガール」は、11月18日より新宿K's cinemaほか、小山シネマロブレ(栃木)、シネマスコーレ(名古屋)、アップリンク京都、元町映画館(神戸)他で全国順次公開。伊礼と緒方監督のコメント全文は以下の通り。
初めて監督とお会いした時から、監督の持っている世界観に惹かれました。それと同時に、その広がる世界に自分がついて行くことが出来るのか不安もありましたが、丁寧に言葉で伝えてくださり、分からないところは一緒に答えが出るまで考えてくださる姿に安心を覚えました。のびのびと音羽を等身大で演じることが出来たと思います。
「義足」という今まで演じたことの無い、難しいテーマではありましたが、当事者の方にお話をお伺いしたり、沢山勉強して撮影に挑みました。映画に散りばめられたメッセージを劇場で受け取っていただけたら嬉しいです。
これまでの作品は、「胸糞悪い映画」とか「2度と観たくないけど、みんなに観てほしい映画」などと言われ続けてきました。そういった作品を特に目的にしていたわけではなく、それぞれの題材に合った構造と描き方をした結果でした。
そして、新作「シンデレラガール」も、その題材にふさわしい作りをしています。今までの作品とは違うアプローチ、試みをしていますので、この映画がどのように受け止められるのか今から大変楽しみです。
緒方貴臣版「シンデレラ」をぜひ劇場で体感してみてください!