「ゴーストワールド」22年ぶりに上映! 「ダメに生きる」“低体温系”青春映画
2023年7月28日 12:00

青春映画の傑作「ゴーストワールド」(2001)が、11月23日から、22年ぶりに全国で上映されることがわかった。「ダメに生きる」というキャッチコピーが反響を呼び、当時としては新しい“低体温系”青春映画として大ヒットを記録。17歳のソーラ・バーチと、15歳のスカーレット・ヨハンソンが共演している。
本作は、「クラム」などドキュメンタリーに定評のあるテリー・ツワイゴフ監督による初の長編フィクションであり、アメリカで“ティーンエイジャーのバイブル”として人気を誇ったダニエル・クロウズの同名グラフィックノベルを映画化したもの。ロサンゼルス郊外で撮影された本作の舞台は、どこまでも続くショッピングモールやファーストフードチェーンの進出で、次第に個性を失いつつある、1990年代のアメリカの名もなき町。世界になじめず、いつも周囲をバカにして過ごしているシニカルなティーンエイジャーふたりが、大人になることに直面し、自分の居場所を見つけようとする倦怠感に満ちた数カ月を描く。
主演は、「アメリカン・ビューティー」での演技が絶賛されたバーチと、「ロスト・イン・トランスレーション」で脚光を浴び、近年は「アベンジャーズ」シリーズでもおなじみのヨハンソン。撮影当時、すぐに意気投合したというふたりの、等身大のみずみずしい演技をおさめた貴重な作品でもある。そのほか、スティーブ・ブシェーミ(「デッド・ドント・ダイ」)、2008年に急逝したブラッド・レンフロ(「BULLY ブリー」)らが共演している。

幼なじみで親友同士のイーニド(バーチ)とレベッカ(ヨハンソン)は、高校を卒業したものの進路も決めず、あてもなく町をぶらついては、面白いことを探して過ごしている。ある日、ふたりはモテないレコードマニアの中年男・シーモア(ブシェーミ)に出会う。ダサくても独自の世界を持つ彼に興味を持ったイーニドは、アウトサイダーとして生きる彼の”理解者”として交流を深め、奇妙な友情関係を築いていく。一方、レベッカはアパートを借りるために地元のコーヒーショップに就職し、社会と折り合いをつけ、自立しようとする。同居生活を計画していたふたりの間には、次第に距離が生まれる。
原作者のクロウズが、ツワイゴフ監督と共同で脚本を執筆し、第74回アカデミー脚色賞にノミネートされるなど、高い評価を獲得。近年では、ドラマ「ユーフォリア EUPHORIA」などにも影響を与え、「時代を先取りしていた」(Los Angeles Magazine)など再評価が進み、若い世代にも愛される作品となっている。また、長らく入手困難だった原作コミック日本版の第4刷が5月に、廃盤となって久しかったDVDと初ブルーレイも、7月28日に発売された。オフビートで魅力的なキャラクターたち、名言の多い脚本、ビンテージの名曲を集めた多彩なサウンドトラックなど、いまもなお色褪せない魅力に溢れている。
ツワイゴフ監督は、「ハリウッドのティーン映画のような、ありがちなシチュエーションコメディを作る気もなければ、気取った自己満足的なアート映画も作りたくなかった。エンタテインメントであると同時に、考えさせられる映画を作りたかったんだ」と、コメントを寄せている。
「ゴーストワールド」は、11月23日からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次公開。
フォトギャラリー
関連ニュース





【第78回カンヌ国際映画祭】オフィシャル・セレクション発表、早川千絵監督作など日本映画3本 応募作は過去最高の2909本、現代社会の暴力、愛、寛容など描く作品目立つ
2025年4月10日 23:00
