過激さを封印したパク・チャヌク「別れる決心」は「ミステリー恋愛映画の王道」 二村ヒトシ&映画.com編集部が語り合う
2023年7月5日 16:00

TOKYO FMほか全国38のFM局のオーディオコンテンツプラットフォームで、スマートフォンアプリとウェブサイトで楽しめるサービス「AuDee(オーディー)」 と映画.comのコラボ新番組「映画と愛とオトナノハナシ at 半蔵門」。作家でAV監督の二村ヒトシと映画.com編集部エビタニが映画トークを繰り広げる。今回はパク・チャヌク監督の6年ぶりの新作「別れる決心」の感想を語り合った。
刑事と容疑者が惹かれ合うさまを描くサスペンスロマンスで、刑事ヘジュン(パク・ヘイル)は、崖から転落死した男の妻ソレ(タン・ウェイ)の調査を開始する。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしかヘジュンは、妻がいる身でありながらソレに惹かれ、夫を亡くした彼女もまたヘジュンに特別な思いを抱き始める……という物語。
タン・ウェイが演じる、被害者の中国人の妻ソン・ソレが習得した韓国語が物語の鍵となっている。「『オールド・ボーイ』『お嬢さん』などのエグイ描写を封印したラブサスペンス。1回見ただけではちょっと難しかった。言語の違いで起こるディスコミュニケーション、男と女が分かり合えないことを象徴しているのかな」と二村。エビタニも「U-NEXTの吹き替え版で見ました。2度見て理解できました」と、複数回鑑賞すると理解度が深まると二人の意見は一致する。
本作で直接的なラブシーンはないが、刑事と容疑者という立場から、恋愛感情を抑えながら様々な態度やしぐさで二人の思いが表現される。夫を殺したという容疑をかけられたソレに対し、二村は「彼女はサイコパスではないか? 刑事ヘジュンにはアンドロイドっぽさも感じる」と独自の感想を語る。それを受けてエビタニが「私はソレは素直な人だと思う。彼に会う前は時代劇を見て韓国語を学んでいたけれど、彼に会ってからメロドラマを見始めたのは、伝える言葉を探したかったんじゃないかな」とソレの気持ちを推し量る。二村は「人が死んだりしているのに何でいちゃいちゃしてるの? って。俺がストレートな恋愛ドラマに不感症になっているのかも」と、本作にややのめり込めなかった理由を「いろんな要素が多くて、理詰めで因果関係を描いていく」からでは、と分析した。
その後シャーロック・ホームズをはじめ、一般的な探偵ものにおける探偵と犯人との関係や、事件が解決できても登場する女性の心はわからない、といった王道の展開について、本作と比較する。「共感というより読み解いていく恋愛映画。私は割と理詰めで考えるのが好きなので、2度目に伏線が見えてきて面白く見られた」とエビタニ。二村は「事件の真相はわかったけど、犯人を本当の意味では捕まえられなかった。というミステリー恋愛映画の王道だった。一人で見てピンとこなかった作品も誰かと話すことはいいこと」と、謎解きのように、劇中の様々な事象の理由や意味を考えながら鑑賞することが楽しい恋愛映画であるとまとめた。
トーク全編はAuDee(https://audee.jp/voice/show/55260)で聞くことができる(無料配信中)。次回は2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうのベストセラー小説を李相日監督が広瀬すずと松坂桃李の主演で映画化した「流浪の月」を取り上げる。
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