生田斗真、役所広司のカンヌ受賞に「憧れます。我々も頑張らないといけない」
2023年6月2日 19:30
生田斗真が主演した映画「渇水」の初日舞台挨拶が6月2日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、生田のほか、門脇麦、磯村勇斗、山崎七海、柚穂、白石和彌プロデューサー、高橋正弥監督(※高は、はしごだか)が登壇した。
故河林満さんが1990年の文學界新人賞を受賞し、第103回芥川賞候補となった同名小説を映画化した本作は、心の渇きにもがく水道局職員の男が幼い姉妹との交流を通して生きる希望を取り戻していく姿を描く。
5月11日に行われた本作の完成披露試写会に続き、この日の初日もやはり雨模様。そんな中、ステージに立った生田は「大変な天候の中、足を運んでくださってありがとうございます。皆さまが映画をご覧になってる間にも、外はものすごく雨が降っております。相当、床も滑りやすくなってると思うんで本当に気をつけて帰ってほしいと思っております」と切り出すと、「ただ天候がどうであれ、やはり初日というものはすごくうれしくて。何度迎えてもいいものだなと思っております。初日に観に来てくださった皆さまのお力をお借りして、この映画をたくさんの方に届けていきたいと思っております」と呼びかけた。
続く高橋監督も「雨というのは災害ももたらしたり、いろいろと大変なこともありますが、今日この映画をご覧になっていただいた方には希望の雨となって、皆さんの心に染みることを願っております」と続けた。
1990年の原作に描かれた貧困や格差社会、児童虐待といった要素は、今でも解消されていないと語る高橋監督は、「我々大人の世代が今を変えていかないといけないという思いがありまして。次の世代にはそういったことがないようにということを提示したく、映画をつくらせていただきました」とコメント。
白石プロデューサーも「河林さんの原作は結構ビターなところがありました。しかし高橋監督がそれを今描くにあたって、この少女たちはきっとどこかで生きていけるだろうというメッセージを込めています。それこそが今、この時代にこの作品をつくる意義があるんじゃないかなと思います」と続けた。
それぞれのお気に入りのシーンについて語った登壇者たちだが、高橋監督は物語の重要な場面に登場する“滝”のシーンを挙げた。「この映画は雨続きのスケジュールだったんですが、撮影の時に、太陽が滝に差し込む瞬間を見て。自分も長いこと経験しているので、おそらくそこから1時間くらいしか撮影はできないだろうなと思って。撮影部さんとワーワー言いながら、“早く! 早く生田さんを呼んでください!”と高ぶりながら撮影をしたのが印象に残っています」という高橋監督に、「本当にスタッフの皆さんが高ぶっていて。ずっと雨続きだったんで」と笑ってみせた生田も、「雨続きだから滝の水量が高かったんです。それでみんな僕を待っている間も、川から出ていればいいのに、滝のところで(スタッフが仁王立ちで)『こちらです!』と言ってて。高ぶっているなと思いましたね」と述懐。「うれしかったですね、あの日は」と満足げな顔を見せた。
本作は今後、台湾での公開、および上海国際映画での上映も決定している。海外の観客に向けて作品を届けることに生田も「我々が一生懸命つくった作品が、国を超えて届くのはうれしいですね。先輩の役所(広司)さんも(カンヌ映画祭)で受賞されましたけど、カッコよかったですね。あこがれます。われわれも頑張らないといけないなと思いました」としみじみ。磯村もその言葉に深くうなずいた。
さらに白石プロデューサーが「貧困とか格差というのは今、世界の映画でもひとつのテーマでもあるし、水のあり方は各国でいろいろだとは思いますが、とはいえ水がないと生きていけないのは、どんな生物でもあっても、人間であっても一緒なので。作品の気持ちは理解していただけるんじゃないか。観てどう感じていただけるのか、楽しみです」と続けると、高橋監督も「非常に光栄です。日本の映画も世界の映画祭で上映され、届けられるような時代になっていて。この前のカンヌ映画祭では、『怪物』の脚本賞や、役所さんも受賞されました。『渇水』がどれだけ受け入れていただけるのか分かりませんが、日本人スタッフ、日本人俳優の力もどんどん世界に発信していけると思うので、応援よろしくお願いします」と会場に呼びかけた。
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