「コーダ あいのうた」トロイ・コッツァー製作総指揮、声を奪われた少女がダンスで再生する「裸足になって」7月21日公開
2023年5月10日 12:00
第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された「パピチャ 未来へのランウェイ」のムニア・メドゥール監督が手がけた「Houria」が、「裸足になって」の邦題で7月21日公開される。本予告とポスタービジュアルが披露された。
身体の自由と言葉を失った主人公が、手話をモチーフにしたコンテンポラリーダンスで、生きる希望を見出し、言語の壁を超えた肉体表現としてその想いを訴えかける。抑圧された社会の中で、手を携えて立ち上がる女性たちとの交流を通じて、尊い慈愛と生きる力強さを瑞々しく描き出す物語。
北アフリカのイスラム国家、アルジェリア。内戦の傷が癒えきらぬ不安定な社会の中でバレエダンサーになることを夢見るフーリアは、貧しくもささやかな生活を送っていた。しかしある夜、男に階段から突き落とされ大怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。すべてを失い、死んだも同然の抜け殻となったフーリア。そんな失意の中、彼女がリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ心に傷を抱えたろう者の女性たちだった。「あなたダンサーなのね。わたしたちにダンスを教えて」その一言から始まったダンス教室で、また再び“生きる”情熱を取り戻していく。
主人公フーリアを体当たりで演じたのは、ウェス・アンダーソン監督「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」で、ティモシー・シャラメらと共演したアルジェリア出身の期待の新星リナ・クードリ。そして、「コーダ あいのうた」でろう者の俳優として初めてのアカデミー助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーが製作総指揮を務める。
本作の脚本も手がけたメドゥール監督は「アルジェリア社会を舞台に、現代の問題や、人間と言語の豊かさをもっと掘り下げたいという気持ちがあった」と言う。北アフリカのイスラム国家であるアルジェリアは1990年代に“暗黒の十年”と呼ばれる内戦が勃発、その治安回復と同時に膨大なテロ事件が起き、20年以上が経った今でも癒えない傷が人々の心に隠されているのだ。「この映画では、事故による変化に苦しむ若いダンサーの物語を語ることで、現在のアルジェリアの歴史に再び踏み込むことにした」「私は元々、ドキュメンタリー映画出身だから、映画でフィクションに書き直すために、自分の記憶の奥や体験に迫るのが好きなのです。私自身、事故でかかとを複雑骨折した後、しばらく動けず、長いリハビリをしたことがあって、孤独や寂しさ、障害、そして何よりも再起について語りたいと思っていた」と明かし「フーリアは再生して、最終的にはもっと強い女性、つまり彼女自身になる。耐えることにより偉大になったフーリアのヒロイン像は、傷つきながらも立ち上がるアルジェリアのイメージを想像して出来上がった」とコメントしている。
予告編は、内戦の傷が残る不安定な社会情勢の中でもバレリーナを夢見るフーリアが、ある夜、階段から突き落とされることで人生が一変。大けがを負うも、手話を使うろう者の女性たちと出会いダンス教室を始めることでもういちど世界が輝きだし、潮風と砂埃を閉じ込めたような美しい映像のなかで、傷つきながらも、力強く成長していこうとする姿を映し出している。そして「手話の美しさ、表現することの素晴らしさ。世界中の人々が観るべき映画です」とトロイ・コッツァーによるコメントで締めくくられる。
フーリアたちの想いを代弁し「心の内に宿る強い意志を感じさせる」声を持つ人物として、「ルパン3世」の峰不二子役や「愛の不時着」ユン・セリ役、「鬼滅の刃」墜姫役などを務める人気実力派声優の沢城みゆきがナレーションに抜てきされた。
7月21日から、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国で公開。
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