裸足になって

劇場公開日:

裸足になって

解説

「パピチャ 未来へのランウェイ」のムニア・メドゥールが監督・脚本を手がけ、声と夢を理不尽に奪われた少女の再生をみずみずしく描いたヒューマンドラマ。

内戦の傷跡が残る北アフリカのイスラム国家アルジェリア。バレエダンサーを夢見る少女フーリアは、男に階段から突き落とされて大ケガを負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。失意の底にいた彼女がリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ心に傷を抱えるろう者の女性たちだった。フーリアは彼女たちにダンスを教えることで、生きる情熱を取り戻していく。

「オートクチュール」「パピチャ 未来へのランウェイ」のリナ・クードリが主人公フーリアを演じ、「女はみんな生きている」のラシダ・ブラクニが共演。「コーダ あいのうた」でろう者の俳優として初めてオスカー像を手にした俳優トロイ・コッツァーが製作総指揮を務めた。

2022年製作/99分/G/フランス・アルジェリア合作
原題:Houria
配給:ギャガ
劇場公開日:2023年7月21日

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(C)THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA - LES PRODUCTIONS DUCH'TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT

映画レビュー

4.5理不尽の中、表現する喜びを捨てない人

2023年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『パピチャ 未来へのランウェイ』のムニア・メドゥール監督は、表現する人を描きたい人なんだろうと思う。前作はアルジェリアで弾圧の中、ファッションデザイナーを目指す女性たちの戦いを描いていたが、今回はダンサー。彼女は男に階段から突き落とされ踊ることができなくなり、声も出せなくなった。さらに自由を求めた親友は、国からの脱出の時に命を落とす。それでも彼女は生きること、輝くことを諦めない。ろう者の団体との出会いによって踊りを教えることになる彼女は、新たな仲間と新しい人生を築いていく。
アルジェリアの内戦とテロの傷跡が癒えてない社会を背景にしており、不正がはびこり罪を犯した男は罰せられることはない。女性にとってどこまでも理不尽な環境への怒りはあるが、メドゥール監督はそれよりもその理不尽に負けない主人公の気高さを描くことを優先する。
『パピチャ 未来へのランウェイ』に続いてリナ・クードリが素晴らしい演技を披露している。彼女にはこれからも注目していきたい。

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杉本穂高

3.5未来へ向けての希望のたすきのように思える一作

2023年7月29日
PCから投稿

アルジェリアと言われて頭に思い浮かぶのは『アルジェの戦い』くらい。その程度の知識しかなかった私に、メドゥール監督の『パピチャ 未来へのランウェイ』と『裸足になって』は鮮烈な印象を運んでくれた。いずれの作品でもヒロインの夢と希望と仲間たちが描かれるも、しかし彼女の人生は決して順調にはいかない。宗教的抑圧や蔑視がいまだはびこるこの国で、悲しみや苦しみの壁に幾度となく道を阻まれ、もがき続ける。彼女たちには夢見ること、自分らしく生きることが許されないのか?理不尽な社会の中で答えはなかなか見つからない。だが、この映画には葛藤と共に、眩い陽光や青空や樹木や水といったありのままの自然の美が刻印され、そこにヒロインたちのしなやかな身体表現が加わる。この国で躍動するのをやめないこと。それこそがスタートラインであり、力強い生存表明でもあるのだろう。未来へ何かをつなげていく希望の”たすき”のように思える一作だ。

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牛津厚信

4.0進化を続けるイスラム圏の女性映画

2023年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

2019年製作の「パピチャ 未来へのランウェイ」で長編映画デビューを果たしたアルジェリア人の女性監督ムニア・メドゥールが、同作で主演したリナ・クードリと再びタッグを組みオリジナル脚本で完成させた新作。約3年前の前作よりもストーリー運びと編集テンポが格段によくなり、洗練された印象を受ける。イスラム圏のアルジェリアで抑圧された暮らしを強いられながらも自分らしい生き方を模索する女性像は共通するが、ダンスと手話という2つの身体表現を組み合わせたパフォーマンスのおかげもあり、視覚に訴えるより魅力的で力強い映像作品になった。

トルコの「裸足の季節」(2015)、「モロッコ、彼女たちの朝」(2019)、イランの「白い牛のバラッド」(2020)と「聖地には蜘蛛が巣を張る」(2022)など、ジャンルはさまざまだがイスラム社会での女性の生き方を題材にしている点で共通する良作や力作が少しずつ増えてきている。女性の地位向上と多様性の尊重という時流があり日本公開される映画が増えている面もあるだろうが、そうしたテーマを扱う作り手たちが互いに影響し合い、女性映画の進化と洗練につながっているようだ。

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高森 郁哉

3.5トゥーシューズを脱いで、裸足になって

2024年3月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

7月25日(火)新宿ピカデリーでアルジェリア・フランス合作映画「裸足になって」を。
製作総指揮は「Codaあいのうた」でアカデミー助演男優賞のトロイ・コッツアー。

バレエダンサーを目指していたフーリアは、賭けに勝って賞金を手にしたため男に襲われ脚を骨折し声を失ってしまう。
失意の中、リハビリのために入った施設でアルジェリアの歴史の中で癒えない心の傷を負った施設の女性たちにダンスを教える事になる。
トウシューズを脱ぎ、裸足になって、ダンスを教える事、振り付けに手話を取り入れる事で彼女自身も再起し、再生していく。

バレエからダンスへは逆フラッシュダンスのパターンだな。「グロリア」もかかるし。
リナ・クードリの出演作は初めて見たが眼力が強くて仲々良い。アルジェリアはフランス統治下にあったからフランス語なんだね。今でもアルジェリアからスペインへ密航するのには驚いた。
98分なのでダラダラしてないが、描き方が不足の部分がある。

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Mr.C.B.2
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