「これで最後」の思いで臨んだ映画「東京リベンジャーズ2」 プロデューサーが明かす前作ヒットの要因、キャスティング秘話
2023年4月7日 12:00
北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮。若手トップクラスの俳優たちが全身全霊で挑み、最終興行収入45億円、観客動員335万人を記録し、同年の劇場用実写映画で1位となった「東京リベンジャーズ」。そして、前作キャストが再集結する続編「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」の2部作が、間もなく公開を迎える。前作で、「世代を代表する作品にしたい」と語り、これ以上ない形でその夢を実現させた岡田翔太プロデューサーに、前作ヒットの反響と要因、続編にかける思い、新キャストのキャスティング理由などについて、話を聞いた。
「映画 賭ケグルイ」シリーズ、「映像研には手を出すな!」の英勉監督がメガホンをとり、シリーズ累計発行部数7000万部(3月時点)を突破した和久井健氏の人気コミックを映画化する「東京リベンジャーズ」シリーズ。どん底の生活を送るダメフリーター・タケミチ(北村)はある日、かつての恋人・橘ヒナタ(今田)と弟・ナオト(杉野)が事故に巻きこまれ、命を落としたことを知る。翌日、何者かに命を狙われたタケミチが死を覚悟した瞬間、高校時代にタイムリープ。ヒナタを救い、逃げ続けてきた人生を変えるため、タケミチは事故の原因があると思われる最凶の不良組織「東京卍曾」(東卍)に潜入する。前作では、過去で東卍の総長・マイキー(吉沢)や副総長・ドラケン(山田)ら大切な仲間たちと出会ったタケミチが、未来を変え、ヒナタを取り戻すさまが描かれた。
岡田プロデューサーは、前作の大ヒットの要因が、「物語と時代のリンク」にあったと分析する。
「1はコロナ禍の真っ只中で撮影していて、僕たちがそのなかでも大打撃をくらった組なんです。1カ月で撮り切るつもりが、延期で1年かかってしまった。それでも撮り切れたのは、キャストやスタッフが、僕の『世代の代表作を作る』という思いに同期してくれたから。『絶対に完成させる』という思いだけでやったんです」
「当時、皆がそれぞれ生活しているなかで、同じような理不尽や苦労を感じながら生きていた。そんななかで、本作の『何度でも諦めずに立ち向かう』というストーリーに共感してもらえたことが、ヒットの大きな要因のひとつなんじゃないかと思います。いまだにメイキングを見ると、あのとき頑張ったんだなと思える泥臭さがにじみ出ていて。そんな感情や姿が、あのときに生きていた人のリアルとすごく直結していたんじゃないかなと。作品のテーマや完成するまでの道のりが、時代に寄り添っていたんじゃないかと思っています」
公開前からの“ある不安”も、観客のリアクションを見て払拭されたそう。
「本気で喧嘩のシーンをやっているので、北村匠海くん史上、最もボコボコにされていると思うんですよ。お客さんは、匠海くんがあんなに血を吐いているところ見たことないと思うんです。見ていて痛いシーンが多いし、喧嘩賭博のシーンで、タケミチが髪を掴まれて、手すりにガンガンぶつけられているシーンの編集中に監督が更に効果音を足すから、『ちょっとおさえてください』と言ったぐらい(笑)。大変なシーンはどう受け入れられるんだろうと思って、楽しみ半分、不安半分で、公開を迎えたんです。けれど、その頑張りがすごくポジティブに受け取ってもらえて、その痛々しさで応援したくなる気持ちが生まれるというリアクションをたくさん見て、嬉しかったですね。2も相当本気でやっているので、痛いし辛いし大変ですが、その分皆を応援してあげてほしいです」
続編の中心となるのは、原作の人気エピソード「血のハロウィン編」。タケミチの目の前で再び、東卍によってヒナタが殺される。彼女を救う鍵は、東卍結成メンバー6人を引き裂く“悲しい事件”にあった。かつての親友たちは、なぜ戦わねばならない運命になったのか。「君が助かる未来にたどり着くまで、ぜってぇ折れねぇから!」と誓うタケミチは、再びヒナタと仲間を助けるために奮闘する。
岡田プロデューサーは、前作を企画していた頃から、「血のハロウィン編」映画化という目標を胸に秘めていた。
「最初から『2までは必ずやろう』と決めていたんです。1のヒナタを救うまでの物語を背負った上で、原作でも最も面白い部分と言われているところ『血のハロウィン編』を見てもらうのが、僕が描いていたことでした」
「メインキャストとは、1の撮影時から『2をやりたい』と話していました。1が大ヒットしたので、2をやることになったわけではなく、最初からやろうと思っていたところに、僕らが辿り着いた。『続編をやってもいい』と言ってもらえるところまで持っていくことができた。やりたいことができないことの方が多いなか、やっぱり僕らの思いに、お客さんがついてきてくれたというか。正直、僕らが思っていた何倍ものお客さんが入って、その年の実写邦画No.1になって。そんな高みまで連れて行ってもらえるとは思っていなかったので、そこまで行かせてもらったからには、やらないわけにはいかないなと思いました」
前作と続編2部作の3作品を経て、キャストとはまさに“戦友”ともいえる強い絆と信頼関係で結ばれている。撮影現場では日々、続投キャストの成長を目の当たりにしていた。
「風格というか居ずまいが、1のときと全然違うんです。1のとき、キャストは若々しい炎のような雰囲気で、僕のなかにも『挑戦』というテーマがあったので、目をつぶってフルスイングする感覚だった。今回、続投キャストは、1の成功を目の当たりにしているので、僕以上に『前作を超えなきゃ』というプレッシャーや気迫を持って現場に臨んでいました」
「自分で言うのはおこがましいですが、1はすごく面白かったと思っているんですよ。それでも毎日、キャストの芝居を1番近くで見ていて、『1よりさらにいいな、すごいな』と感じる。1のときは、(コロナ禍などで)『予定通りではない状況のなかで100%やろう』という気持ちだったんですが、きっと心の中に『もっとこうできたのに』という部分もあった。だから2では、キャストもスタッフも皆、自分の能力や環境が原因で1のときにできなかったことを払拭して更なる高みに登ろうと思ってやっています」
続編には新キャストとして、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙が参加。岡田プロデューサーは前作でも、漫画原作の実写映画化における最大の課題――キャスティングに絶対的なこだわりを見せていた。キャスティングがぴったりとはまり、多くの人の心を掴んだからこそ、大ヒットにつながったといえる。本作でも、その強いこだわりは健在だった。
「僕はすごく漫画オタクで、いわゆる“原作厨”と言われるタイプなんです。だからこそ僕が作る実写は、コスプレだと言われたくなくて。キャストの絶対条件は、『現実の世界に原作のキャラクターが存在するような説得力を持たせることができる人』。さらに言うと、1が大ヒットした要因のひとつが、役を飛び越えた絆がキャスト同士にあったことだと思うんです。過去に共演していたり、公私ともに交流があったり。彼ら自身の絆が作品によく反映されたので、そういう部分がうまく出たらいいなと思いました」
岡田プロデューサーは、新キャストの起用に「迷いはなかった」と振り返る。最初に、原作の人気キャラクターである場地圭介を演じた永山について。東卍結成メンバーである壱番隊隊長・場地は、喧嘩がめっぽう強く、長い髪と八重歯が特徴的。本作で東卍を脱退し、敵対組織「芭流覇羅」に加入することで、東卍の面々の心を乱す。
「場地の独立した複雑なキャラクターに、永山さんはぴったりだなと思ったんです。無邪気で子どもみたいに笑っているかと思えば、実は裏で真剣に考えている。原作の場地は、すごく犬歯が尖っていて、『場地といえば八重歯』というイメージがある。犬歯は再現した方がいいと思ったんですが、下手をするとドラキュラみたいになってしまうんですよ」
そこで力を借りたのが、日本映画界最高峰の特殊メイクチーム。装着してもセリフを話せるように前の部分が空いた、特殊な形になっている非常に薄いマウスピースを独自開発した。
「永山さんは撮影が始まるまでの期間、そのマウスピースを付けたまま、ずっと生活してくれたんです。付けていることを忘れられるように撮影と関係のない時間も付けてくれた。人に見えないところで努力する部分が、すごく場地と通じるなと思いますし、キャスティングに答えてくれて本当に良かったなと思います」
村上は、東卍結成メンバーだったが、「芭流覇羅」のナンバー3となった羽宮一虎役。鈴の付いた揺れるピアスと、首元の虎のタトゥーが特徴だ。マイキーに強烈な恨みを抱き、東卍を敵視している。場地と起こしたある事件をきっかけに少年院に収監されていたが、出所後、東卍崩壊を画策して動き始める。
「原作の和久井先生と会話していた時に教えてもらった一虎のイメージは、『全然喧嘩しなさそうで、イケメンで不良っぽくないのに、キレると1番怖いヤツ。さらっとしているのに、めっちゃ怖いという二面性がある人』と聞いて、最初に頭に浮かんだのが虹郎くん。無邪気でかわいらしい方なんですが、現場に入り、カメラが回ると一瞬で一虎になっていく。匠海くんも吉沢くんも皆、虹郎くんへの信頼がすごく厚くて、『一虎は虹郎しかいない』という思いがありますね」
高杉は、壱番隊副隊長・松野千冬に扮した。見た目に反して喧嘩っ早く、高校入学早々、周囲の不良を圧倒。その報復を受けそうになっていたところを、場地に救われ、彼に憧れて東卍入りを果たす。「芭流覇羅」に寝返った場地を奪還するため、タケミチに協力する。
「前作では、タケミチが頻繁に過去と現代を行き来する。現代で物語の流れや、やるべきミッションを説明する相棒として、ナオトがいたんです。でも今回は、過去と、さらに過去の回想、東卍結成話という2軸があるので、現代になかなか戻らない物語になっている。そのなかでタケミチにとって新しい相棒として、千冬は重要なキャラクターになっています」
「だから千冬は、場地のパートナーであることと同じくらい、タケミチの相棒であるという位置づけが大切でした。そこで、謙虚で誠実でひたむきで、匠海くんとも共演しており、公私ともに交流のある真宙くんが思い浮かびました。もともとビジュアル的にもぴったりだったこともあり、彼に声をかけました。最初は、ヤンキーになれるのかなと思うぐらい、ヤンキーの要素がなかったんですが(笑)彼はカメラを向けられると豹変するタイプですね。カメラが回っているうちはずっと千冬で、本来の真宙くんの雰囲気は全く見えない。カメラが止まると、本当に優しい大人しい青年に戻るので、良い意味で恐ろしい男だなと思っています」
また、前作ではキーパーソンとして暗躍していたキサキが、本作では遂に東卍に加わる。いわばタケミチの敵として対峙するキサキ役を、間宮に託した理由についても、教えてもらった。
「タケミチ、ドラケン、マイキーにとっての最大の敵、1番のラスボスはキサキなんです。その強大さ、ただずる賢くて姑息なだけじゃないオーラがほしくて。間宮さんとは『帝一の國』でもご一緒したんですが、彼の独特の存在感、妖しい佇まいは、僕や英監督が求めたキサキ像にぴったりだったので、お願いしました。間宮さんはすごく気さくで優しい方で、キャストの皆とも仲が良いんです」
「1の撮影時から2を見据えていたので、キサキの行動の背景は、既に描かれていた原作とともに決めていきました。彼自身もすごく原作を読みこんで、『こういう理由があるから、こういう行動をとっている』と理解した上で、演じてくれました。かっこいいんですよ、間宮さんって。映画のキサキは、原作とは全く違うかっこよさがあって。間宮さんが演じることで、ただ裏で絵図を描いているだけじゃない怖さや、彼独自の不良のスタイルがすごく出ていると思います」
岡田プロデューサーが話す姿からは、いつも胸の奥にある原作愛、キャスト愛が溢れ出している。そんな愛情を最も強く感じさせてくれたのは、最後に語ってくれたこんな言葉だった。
「今回はキャストやスタッフと、『先のことを考えずにやろう』と話したんです。つまり、この『東京リベンジャーズ』のプロジェクトは、今回で最後になる気持ちでやろうと。うちのキャスト陣は1から2年経って、何段も成長して超一流の俳優になっているし、このチーム全員が、もう一度集まれることはもうないと思うんですよね。それぞれが立派過ぎるくらいに羽ばたいて、世代の代表的な俳優になっている。だからこそ、この2部作は余力を残さずに、毎日『これが最後だ』と思ってやろうと話したんです。皆がそう思っているので、毎日が熱さに満ち溢れていて、二度と戻らない日々の撮影を、悔いのないようにやろうという気持ちで取り組んでいます」
「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」はそれぞれ、4月21日、6月30日に公開。
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