仏ロングセラー児童書の誕生秘話とは? 親友同士の原作者たちの創作に心あたたまる「プチ・ニコラ パリがくれた幸せ」予告
2023年3月25日 12:00
フランスで50年以上愛される児童書「プチ・ニコラ」の誕生秘話をアニメ映画化した「プチ・ニコラ パリがくれた幸せ」の日本版予告編がお披露目。「プチ・ニコラ」の愛らしいアニメとともに、親友同士の原作者ふたりの楽しい創作過程と、秘められた過去が暗示されている。
いたずら好きの小学生プチ・ニコラとクラスメイトたちの愉快な毎日を描いた原作は、フランスで50年以上愛され続け、世界30カ国で翻訳されているロングセラー。映画はパリを舞台に、「プチ・ニコラ」の物語と、原作者であるジャン=ジャック・サンペとルネ・ゴシニの喪失と創造の人生を交え、ノスタルジーと幸せにあふれた作品に仕上がった。第75回カンヌ国際映画祭のスペシャル部門でプレミア上映されると、「繊細で優しさにあふれた傑作」(Le Monde)、「心があたたまる喜びいっぱいの1本」(Screen Daily)など、高評価を獲得。2022年アヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞し、さまざまな映画祭で好評を博した。
予告編では、1955年にパリの小さなカフェで、イラストレーターのサンペが、作家のゴシニに「君には文才がある。一緒に組まないか」と相談する場面でスタート。意気投合したふたりは、やんちゃな男の子ニコラを主人公に、物語を作り始める。小さなアトリエでの親友ふたりの共同制作は楽しさに満ちていた。しかし映像では、ふたりの辛い過去も語られる。親子関係に悩み、暗い子ども時代を過ごしていたサンペ。第二次世界大戦時、ナチスドイツのフランス侵攻で、母の兄妹が強制収容所に送られたゴシニ。“悲しみ”を知っているから、“幸せ”な物語を紡ぐことができたふたりは、ニコラを通して、楽しい子ども時代を追体験していた。色彩豊かなパリの美しい情景と、映画「アーティスト」のルドビック・ブールスが奏でる楽しい音楽とともに、名作の誕生秘話に心あたたまる仕上がりだ。
「プチ・ニコラ」を初めてアニメ映画化するにあたり、サンペがグラフィッククリエーターとして参加。ドローイングを確認するなど制作過程を見守り、カンヌでのワールドプレミア上映やアヌシーでの最高賞受賞を見届け、22年8月に89歳で死去した。監督は、テレビアニメシリーズのディレクターとして活躍してきたアマンディーヌ・フルドンと、第92回アカデミー賞長編アニメーション賞のノミネート作「失くした体」などに編集として携わったバンジャマン・マスブル。アラン・シャバ(「ナイト ミュージアム2」)がゴシニ、ローラン・ラフィット(「ミモザの島に消えた母」)がサンペの声を担当した。
本作は、3月17日~22日に開催された第1回新潟国際アニメーション映画祭のコンペティション部門に出品され、日本でのプレミア上映を実施。来日したフルドン監督とマスブル監督は、舞台挨拶に登壇し、「映画を通して『人生を楽しもう!』と感じてほしい」と笑顔で挨拶した。
「プチ・ニコラ パリがくれた幸せ」は6月9日から、東京の新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国で順次公開される。なお特典付き前売券(税込1500円)が、劇場窓口で発売中。特典はスペシャルクリアファイル(A5サイズ、数量限定・先着順)で、表面はニコラの学校風景、裏面はパリのエッフェル塔と上空を飛ぶ赤い飛行機のイラストとなっている。
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