「やまぶき」山崎樹一郎監督、第4回大島渚賞を受賞! 3月15日に記念上映会を開催
2023年2月17日 12:00
「大島渚賞」は、映画の未来を拓き、世界へ羽ばたこうとする、若くて新しい才能に対して贈られる賞。かつて、大島監督が高い志を持って世界に挑戦していったように、それに続く次世代の監督を、期待と称賛を込めて顕彰する。選考は、「日本で活躍する映画監督(劇場公開作3本程度)」「原則として前年に発表された作品がある監督」が対象となっている。
第1回は「鉱 ARAGANE」「セノーテ」が世界各国で高い評価を受けた小田香監督、第2回は「該当者なし」、第3回は「海辺の彼女たち」の藤元明緒監督が受賞している。
山崎監督は、1978年の大阪府生まれ。京都文教大学で文化人類学を学ぶ傍ら、京都国際学生映画祭の企画運営や自主映画製作を始める。2006年に岡山県真庭市の山間に移住し、農業に携わりながら映画製作をスタート。初長編作品「ひかりのおと」(2011)は、岡山県内51カ所で巡回上映を行う一方、東京国際映画祭やロッテルダム国際映画祭ブライト・フューチャー部門にも招待される。また、ドイツのニッポンコネクション映画祭にてニッポン・ヴィジョンズ・アワードを受賞。第2作「新しき民」(2014)はニューヨーク・ジャパンカッツ映画祭にてクロージング上映され、ニューヨーク・タイムス紙でも高く評価された。さらに、高崎映画祭新進監督グランプリを受賞。映画制作と並行して、フランスのメソッドをモデルにした映画鑑賞教育を真庭市内の学校などで実践している。
受賞の対象作品となった「やまぶき」は、長編第3作目。日本映画史上初めてカンヌ国際映画祭のACID部門に選出されたほか、14の海外映画祭で話題をさらった注目作だ。出演は、カン・ユンス、祷キララ、川瀬陽太、和田光沙、三浦誠己、青木崇高、桜まゆみ、松浦祐也、黒住尚生。岡山県真庭市を舞台に、日本社会と家族制度の歪みに潜んだ悲劇と希望を描いた群像劇となっている。
「このもやもやした生きづらさに一撃を!」のキャッチフレーズのもと、クラウドファンディングで資金を集め、16ミリフィルムで撮影に挑んだ「やまぶき」。主演に韓国人俳優を起用し、フランスの製作会社と共同製作を行うという国際色豊かな一面をもつ本作に対して「段違いの大きなスケールをもった映画である」と審査員の意見が一致し、授賞が決定した。
3月14日に実施する授賞式はで、審査員の黒沢清監督らから審査講評が発表される。また、15日には、一般向けに記念上映会を開催。「やまぶき」の上映、山崎監督らゲストによるトークショーに加え、今年も大島渚監督作品の上映を行う。上映作品やゲストなどのイベント詳細は、2月末に発表予定。
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