【「ノック 終末の訪問者」NYプレミア】デイブ・バウティスタらがシャマラン監督との仕事を語る
2023年2月9日 18:00
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「シックス・センス」「サイン」「スプリット」など、数々のヒット作を手がけてきたM・ナイト・シャマラン監督の新作「ノック 終末の訪問者」のニューヨークプレミアが1月30日(現地時間)、ジャズ・アット・リンカーン・センターのフレデリック・P・ローズ・ホールで開催。レッドカーペットに参加した原作者のポール・トレンブレイ、キャストのデイブ・バウティスタ、ジョナサン・グロフらに話を聞いた。(取材・文/細木信宏 Nobuhiro Hosoki)
ゲイのカップル・エリック&アンドリューとその娘・ウェンが、森の中にあるキャビンで休暇を楽しんでいたところ、突如武器を持った4人組が押し入ってきた。抵抗むなしく囚われた3人。4人組のリーダー格とみられる男は、彼らに対して「世界の終末を回避できるか否かは、あなたたちの選択にかかっている」と告げる。
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エリック役をジョナサン・グロフ、アンドリュー役をベン・オルドリッジ、ウェン役をクリステン・キュイが演じ、謎の4人組にデイブ・バウティスタ、ルパート・グリント、ニキ・アムカ=バード、アビー・クインが扮している。
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原作「The Cabin at the end of the World」は、「FilmNation Entertainment」が2017年に映画化権を獲得したものの、製作は叶わず。紆余曲折を経て、脚本を読んだシャマランが監督を務めることになった。トレンブレイに現在の心境を聞いてみると「映画化されるまでずいぶん時間が掛かったから、ようやくこの日が来たという感じ。頭の中もぐるぐる回っていて、とても興奮して、緊張もしている。けれど、良い意味での緊張感だね」と満足げに語ってくれた。
実は、原作と映画では、後半パートがかなり異なる内容となっている。トレンブレイは「(取材時点では)まだ映画を鑑賞していない」と前置きしつつ、「(映画用に改稿された)脚本は読んだし、僕自身はその脚本には何も口出しをしていないんだ」と明かす。
トレンブレイ「もちろん、自分の原作のエンディングの方が好きだと言わなければ嘘になる。でも、M・ナイト・シャマラン監督が手がけるエンディングが、映画のストーリーとしてどのように機能しているのか。スクリーン上ではどのように見えるのかを確かめてみたいとは思っている。僕自身は、常にインスピレーションや、同じストーリーを伝える他の手法に興味を持っているんだ。M・ナイト・シャマラン監督が“何をするのか”。鑑賞できることに興奮している」
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バウティスタは、4人組のリーダー格となる男・レナードという役どころ。「彼はとても矛盾した人物だと思う」と分析していたようだ。
バウティスタ「彼は、思わず怯えてしまうような、脅迫的、威圧的な人物にも見えますが、彼の話を聞いてみると、友人、家族、子どもたちに対しての愛情が深く、思いやりのある人物であることがうかがえる。とても優しく、親切な魂を持っていることがわかるでしょう。人として矛盾している、キャラクターとして矛盾している。そういうことに挑戦するのが大好きなんだ。そして、M・ナイト・シャマランが、何層にもなる感情の起伏を与えていたため、レナードは演じることが難しい役柄でもあった。この役を演じることへの挑戦、それにM・ナイト・シャマランのような熟練した監督に演出してもらうことが魅力だった」
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グロフは、シャマラン監督を高く評価している様子で「僕自身は、彼の作品の大ファン。非常に物腰柔らかで、とても優しく、自分のやりたいことが明確にわかっている人。彼の前で演じることは、ある意味、精密な演技をしている感覚だ」と話しつつ、撮影を振り返った。
グロフ「愛、恐怖、家族……と多くのテーマが盛り込まれていて、強制的に自己を見つめたりする内容だ。今回最も学んだのは、8歳のウェンを演じたクリステン・キュイとともに時間を過ごすことが、自分自身大好きだったとわかったことだ。彼女と特に楽しむことができたことで、なぜ演技で誰かのふりをするのか、ライブでの演技が楽しいかがなんとなくわかった気がするんだ」
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一方、オルドリッジは、シャマラン作品の特徴でもある予想外のエンディングについて言及した。
オルドレッジ「何度かオーディションをした後に脚本が渡された。シャマラン監督から『映画に出演して欲しい』と言われて、脚本を全部読むのに24時間しかなかったんだが、その内容には驚かされた。怖かったし、脅かされたもしたんだ。今作のエンディングは、これまでのシャマラン作品とは違う気がする。観客の反応が楽しみだ」
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ウェンを演じたキュイは、撮影中のほほえましいエピソードを披露してくれた。
キュイ「俳優同士で“誰が最初に湖にたどり着くか”とか“誰が一番早く(水着に)着替えられるか”を勝負したりしていました。グロフは、私たちが泳いでいる時、服を着たまま湖に飛び込んできたことも。その時、海藻みたいなものに引っかかって、みんなが笑っていました。映画の撮影で面白いなと思ったのは、“血の跡”が続いているシーン。これは、人の体ではなく、白いボロボロの人形を使って“血の跡”を作っていたんです」
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「オールド」でシャマラン監督とのタッグを組んでいるアムカ=バードは「今回はシャマラン監督のホームタウンであるフィラデルフィアで撮影したから、彼の家族、彼の自宅にも訪れることができました。『オールド』では、全てロケ撮影だったから、今作とは全く異なるんです。だから、ある意味、彼のルーツに戻ってきた気がするし、共に体験できたのは、とても素敵なことでした。彼は特別な手法で撮影していて、とても詳細に手がけています。全てのショットで自分が何を望んでいるのか正確に知っているので、その技術を試す2度目のチャンスを得たことで、彼のプロセスをより理解し、より信頼できるようになりました。彼とならば(俳優としての)リスクを冒すことも楽しめると思う」と述懐。続いて、自身が演じたサブリナ役について話をしてくれた。
アムカ=バード「多くのことを調べました。本作は、ある意味、聖書に近く、ギリシア悲劇のような古い大作のようなイメージを彷彿させています。私の演じたサブリナは、精神的に病んでいるようにも見えたので、精神病の影響と症状を調べました。サブリナは看護師です。看護師について調べていくと、彼らがいかに無私無欲で仕事をしているのか理解できました。劇中には多くのスタントワークもあったので、身体的にもフィットした状態でいなければならず、(戦うシーンも含めて)他のキャストを信頼していました。これまで語られたことのないストーリーになっていると思います。この物語を伝える瞬間は、お互いを信じなければいけませんでした。我々がお互いを信じれば、観客もそれを信じることができると思います。だから、まずは俳優同士が関係を築いたうえで、(役柄のために)その心地よさから離れなければいけませんでした」
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続けて、アムカ=バードは、シャマラン監督の魅力について語ってくれた。
アムカ=バード「彼が監督として持っている魅力は、むしろ“監督以外のこと”だと思います。彼は人として、アーティストとして、俳優をとても励まし、その成長に興味を持ち、旅路を共にすることにも興味を持ってくれている。俳優にどのような利益をもたらすのか、どのように成長させられるのか、達成したいと願うことを叶えてくれる。だから、最終的に、シャマラン監督とは良い友達になるんです。彼にとって映画が何を意味するのか、映画製作が何を意味するのかについて……とてもオープンに何でも共有してくれています。そんなスクリーンのマスターといえる人物と何事でも共有できるのは、非常に刺激的なこと。彼と仕事をするには、非常にユニークな視点も必要なんです」
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クインが演じた4人組のひとり・エイドリアンは、信念を持って行動してはいるものの、そのやり方が正しいのか疑問を抱いているように見える。
クイン「このバランスを見つけるのは、難しかったと思っています。観客に無理やりにアイデアを押し付けるわけにはいきませんし、脚本全体を通して、いくつか曖昧なポイントや謎があります。だからこそ、そんな役を演じるのは一種の挑戦であり、キャラクターとして何かを隠したまま演じるのはとても楽しかったです」
音楽を担当したハーディス・ステファンスドッティルは、シャマラン監督と仕事ができたことは「とてもクールなこと」と話していた。
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ステファンスドッティル「これまで仕事をしてきた監督であれば、私が監督に対して『どんな音楽を望んでいるのか?』と聞いていました。でも、シャマラン監督は『君はどんな音楽にしたいんだい?』と聞いてくれたんです。彼は、音楽に関わってからも全てのことにオープンでした。(音楽を手掛けるうえでの)参考になるものは与えませんでしたし、私自身で試しながら作っていって欲しかったんだと思います。これは素晴らしい働き方だと思いましたし、これまで以上に多くのものを引き出すことができました」
本作は、ほぼひとつの場所(=小屋)で撮影されている。その点について「普通の映画とは異なり、今作は音楽による比重が大きいと思います」というステファンスドッティル。「ある意味、5次元のようなもので、ひとつの場所での撮影でも、サブストーリー的な要素を加えたり、環境的な要素を与えたりすることができました」と説明してくれた。
「ノック 終末の訪問者」は、4月7日から全国公開。
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