トム・クルーズはワインスタインから救ってくれた恩人 「イン・ザ・ベッドルーム」監督が謝意
2023年1月19日 15:00

新作「TAR ター」が賞レースを賑わせているトッド・フィールド監督が、長編初メガホンをとった「イン・ザ・ベッドルーム」(2001)について、トム・クルーズがアドバイスしてくれたエピソードを明かした。フィールド監督は俳優としてクルーズと「アイズ ワイド シャット」(99)で共演している。
トム・ウィルキンソン、シシー・スペイセク主演「イン・ザ・ベッドルーム」は、息子を殺害された夫婦の苦悩を描いた作品。サンダンス映画祭で高く評価され、ハーベイ・ワインスタインのミラマックスが配給権を獲得したが、ワインスタインは監督の意向をねじ曲げる戦術で知られていたことから、フィールド監督は自分に編集権限が与えられないことを危惧したという。
先ごろ、フィールド監督は米ニューヨーカー誌に「私はトイレですすり泣いていた。トム・クルーズに電話して言ったんだ。『ひどいことが起こった』と。彼が返した言葉は基本的にこうだ。『これからきみがすることを言う。半年かかるけど、きみが勝つ。でも、僕が今から言うその通りに、着実に進めなきゃいけない』」と語り、ワインスタインに一切逆らわず、彼にすべて編集させるようクルーズに言われたと明かした。酷い仕上がりになって観客へのテスト試写で不評を買ったところで、映画祭ではいかに評判がよかったかをワインスタインに思い出させれば、フィールド監督のオリジナルカットに戻すことに賛成するだろうというのがクルーズのアドバイスだったという。実際にその通りになり、「イン・ザ・ベッドルーム」は製作費の25倍のヒットを記録し、アカデミー賞で作品賞を含む5部門にノミネートされた。
フィールド監督、脚本の新作「TAR ター」は、ドイツの有名オーケストラで女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ターの葛藤を描く心理ドラマで、ケイト・ブランシェットがベネチア国際映画祭ポルピ杯(最優秀女優賞)、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)を受賞している。5月日本公開。
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