群衆の間へトラックで突っ込んだ22歳 チェコスロバキア最後の女性死刑囚の映画が公開
2023年1月9日 11:00

チェコスロバキア最後の女性死刑囚として、23歳で絞首刑に処された実在の人物を描いた映画「私、オルガ・ヘプナロヴァー」が4月29日公開される。併せて日本版ティーザービジュアル、ティーザー予告、メイン写真が披露された。
2016年ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品に選出された本作は、2010年に刊行された原作をもとに、チェコ映画界の新鋭トマーシュ・ヴァインレプとペトル・カズダ両監督が映画化。オルガの人格や行動を擁護することも、伝記映画にありがちな感情的な演出もあえて排除し、ドキュメンタリー的なリアリズムで長編デビューを飾った。
銀行員の父と歯科医の母を持つ経済的にも恵まれたオルガ・ヘプナロバーは、1973年7月10日、チェコの首都であるプラハの中心地で、路面電車を待つ群衆の間へトラックで突っ込む。この事故で8人が死亡、12人が負傷した。犯行前、22歳のオルガは新聞社に犯行声明文を送った。自身の行為は、多くの人々から受けた虐待に対する復讐であり、社会に罰を与えたと示す。両親の無関心と虐待、社会からの疎外やいじめによって心に傷を負った少女は、自らを「性的障害者」と呼び、酒やタバコに溺れ、性的逸脱を重ね、精神状態は悪化していく。複雑な形の「復讐」という名の「自殺」を決行したオルガは、逮捕後も全く反省の色を見せず、75年3月12日にチェコスロバキア最後の女性死刑囚として絞首刑に処された。
撮影監督は、イエジー・スコリモフスキ監督「エッセンシャル・キリング」(10)で名を馳せたポーランドの名手、アダム・スィコラ。チェコ、ポーランド、スロバキア、フランスの資金調達により7年もの歳月をかけて映像化された。2017年にはカルト映画のレジェントであるジョン・ウォーターズ監督が年間ベスト映画の1作品として本作を選出した。

大量殺人犯オルガの変貌を体当たりで演じ切ったのは「ゆれる人魚」(15)、「マチルダ 禁断の恋」(17)で注目されるポーランドの若手実力派女優ミハリナ・オルシャニスカ。人種や性別、性的指向を理由にした「居場所のなさ」「人と違うこと」「いじめ」といった現在も変わらぬ問題の絶望に直面し、その内面性と身体性を生かした演技が高く評価され、本作ではチェコ・アカデミー賞主演女優賞をはじめ多くの賞に輝いた。
端正な容姿でオルガを一瞬で虜にするイトカ役には、チェコのマリカ・ソポスカー。女友達のアレナ役には、「ゆれる人魚」でミハリナと姉妹役で共演したポーランドのマルタ・マズレク。ほかにも、我が子に嫌気が差している母親役にチェコの名優クララ・メリスコバ。そしてオルガの事件前に一緒に過ごすことになる、おしゃべりで酒好きな中年男ミラ役にはチェコ映画界の重鎮マルティン・ペシュラット。4月29日からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
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