永遠の総理候補、無敗の男初めての敗北、悲惨な交通事故。ニュースの真実に迫るおすすめ映画3選
2022年11月25日 14:00
「TBS DOCS ニュースの真実に迫る映画祭」が11月30日まで、オンライン配信プラットフォーム「シネマ映画.com」で開催されている。配信6作品をピックアップし、映画.comの駒井尚文編集長に加え、編集部&スタッフがそれぞれの視点から配信作品の見どころやポイントなどを紹介する。(全2回)
「TBS DOCS ニュースの真実に迫る映画祭」(https://cinema.eiga.com/tbsdocs/)は、「テレビでは伝えきれない、真実や生き様をドキュメンタリー映画として発信する」というプロジェクトのもと、オンライン開催。「TBS DOCS」とは、1955年の開局以来、日々のニュースやドキュメンタリー番組を放送してきたTBSが立ち上げたドキュメンタリー映画の新ブランドで、DOCSとは“DOCUMENTARY FILMS”のこと。今年3月に開催された「TBSドキュメンタリー映画祭2022」で上映された作品の中から、映画祭でしか公開されなかった貴重なドキュメンタリーを含む6作品を配信している。
「永遠の総理候補」といわれ、過去4度の総裁選には敗れてもなお幾度となく総理大臣への期待を持たれている石破茂はいったいどんな人物なのか。彼を知らないという人はなかなかいないと思いますが、彼の政治信条を知っている人はどれほどいるでしょうか? 36年間議員を続けて今思うことを問われた時、彼はこう答えます。
「長いこと議員をやり、多く役職を重ねて、日本はどれだけよくなったかというとすごく自分の中で疑問符がつく」
29歳で史上最年少議員となった当時の彼の姿も作中出てきますが、その目に宿る強い思い、日本を変えたいという決心は、今もなお彼の目に宿っているというのを強く感じました。まだまだ自分にはやるべきことがある、その強い思いからあふれ出る言葉の数々には嘘偽りなんて何もなく、「嫌われた正論」とともに真っ向から政治に挑む姿に、彼が今後何をしていくのかを期待せずにはいられません。
一方で、正しいことを正しいといえず、間違っていることは間違っているときちんと言えない、そんな病的な組織を治せるのは、その中にいる彼ら政治家であるとともに、日本の主権たる国民としての私たちであるというのを胸に刻まなければと思わされる映画です。
ゼネコン汚職事件で実刑判決を受け、逮捕。その後出所してからも14回の当選を重ね、無敗の議員人生を歩んでいた中村喜四郎氏。しかし、昨年衆議院選小選挙区で立憲民主党から出馬し初めて落選(のちに比例で復活)、「党より人」がスローガンだった。保守王国茨城で根強い支持を得てきた中村氏の人生を振り返るドキュメントだ。
1994年、筆者は当時中学生だった。事件の背景をすべて理解はしていなかったが、ブラウン管のテレビのニュースが映す、検察庁に出頭する中村氏の姿が堂々としていて、悪いことをして逮捕される人のようには見えないな、と子ども心に強く思ったことを今でも覚えており、その理由が今作を見てわかった。
2世議員であるが、スマートさよりも、有権者との信頼関係を大事に、自ら泥臭く動く中村氏の姿には、支持政党や政策とは関係なしに心を動かされる。私人としていられるはずの家庭では、どのようだったのかを赤裸々に語る家族の証言、逮捕後の取り調べで“140日間完全黙秘”を貫き、そして獄中で何をしていたのか――本人が語るそのリアル、波乱万丈の議員人生がフィクションのドラマ以上に面白い。
2019年4月19日、元キャリア官僚が運転する車が暴走し、母と幼い娘の命を奪った池袋母子死亡事故。この悲痛な事故はいまもなお、多くの人々の記憶に、衝撃とともに刻まれています。遺品を整理しながら、堪えきれず嗚咽をもらす遺族の松永拓也さんは、「彼が刑務所に入ったって、謝罪のコメントを出したって、何も変わらない。ふたりが戻ってくるわけじゃない。絶対こういう風に空しくなるのは分かっていましたけど……」と、声をつまらせます。例え裁判が終わっても終わることのない松永さんの苦悩の日々を、カメラは葛藤し、迷いながらも、追いかけていきます。
事故のあと、“上級国民”と呼ばれた飯塚受刑者、その家族への誹謗中傷が多数発生し、社会の在り方は、遺族の願いとはかけ離れていきました。「憎しみで心を満たしてはいけない」と、再発防止に向けて前を向き続けた松永さんの姿を見て、私たちはどう行動するべきなのか。誰もが突然、被害者にも加害者にもなりうる交通事故を防ぐために、誰もがいま一度、自分の心に問いかけなければならないのです。
続きは11月26日配信予定。なお、作品ごとにチケットを購入し、PCやスマートフォンで鑑賞できるが、「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」「完黙 中村喜四郎~逮捕と選挙」「池袋母子死亡事故 『約束』から3年」を特別価格の1500円で3本セット販売(通常料金1650円)している。
また購入者特典として、11月25日から劇場公開の新作「人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版」の特別壁紙を配布。さらに、12月16日公開から劇場公開される新作「戦場記者」の特別映像も公開する。※作品を視聴するには「シネマ映画.com」の会員登録が必要。
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内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
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