「沢田さんはええ手してはります」沢田研二への指導も 「土を喰らう十二ヵ月」土井善晴のコメント&料理写真
2022年11月10日 07:00
本作の原案は1978年に雑誌「ミセス」(文化出版局刊)に連載された料理エッセイ(後に書籍化)。水上勉は、女性編集者のすすめで、約1年間にわたり軽井沢の山荘にこもった。畑を作り、子どもの頃に禅寺で身につけた料理を作り、その様子を執筆するという生活を送った。そのエッセイの豊かな世界観から着想を得て、中江裕司監督が独自に物語を創作した。
映画では沢田が演じる主人公の作家ツトムが、人里離れた長野の山荘でひとり、山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を自ら料理し、季節の移ろいを感じながら、原稿をしたためる様を描く。松たか子が映画オリジナルのヒロインで、ツトムの担当編集者・真知子を演じる。そのほか、西田尚美、尾美としのり、瀧川鯉八、檀ふみ、火野正平、奈良岡朋子らが共演する。
家庭料理の第一人者として知られる料理研究家の土井は、原案エッセイの中に登場する豪快にして繊細な料理を目にも耳にもおいしく再現。食材選びや扱い方、手さばきの指導や器選びに至るまで、深く携わり、この映画における根幹部を共に作り上げた。日本の料理、風土、本当の暮らしとは何なのか、作品を起点として様々な事柄について中江監督やスタッフとともに幾度となく、対話を重ねていったという。
「ちゃんと料理するということです。その季節に、その場所で、自分の思う料理が実現できるコンディションを作ってもらうことです。料理は時間と共に刻々と変化するもの。春が来たら山菜は山で摘む。摘み立てを、きちんと洗って湯がく。それだけで素敵なイメージでしょ。そこを撮りましょ、ってことなんです」
北アルプスの四季を撮るため映画の撮影は1年6カ月に渡り、食材は撮影前に畑を開墾し育て収穫したものを使用するなど、本物への徹底的なこだわりの積み重ねが映画に焼き付けられていった。土井はツトム役・沢田の料理指導も行い、沢田の手つきから、心得を感じとったそう。
「動作の流れを考えて、洗った手はこのおふきんで軽く水気を抑えるとか、『こんな感じに漬物を盛ってください』とか、そんくらいです。あとは沢田さんが日頃から料理されているから、必要最小限のことだけです。最初にぬか床に手を入れるシーンがあって、少しぬか床に触れただけで『固いですね』っておっしゃったんです。それだけで『ああわかってはるな』と思いました。沢田さんはええ手してはりますよ。ええ手いうのは、おばあちゃんの手のように労わるように材料にふれる手のことです」
そんな沢田を指導する土井のメイキング写真と、囲炉裏であぶった小芋、ほうれん草の胡麻和え、若竹煮、天日に干された梅干し、胡麻豆腐など、目も心も満たしてくれる旬の野菜で作る料理の写真の数々。丁寧に作られた料理とそのプロセスもぜひ本編で確認して欲しい。
11月11日から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国で公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【本作は観るべきか、否か?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】こんな映像、観ていいのか…!? 不適切報道では…?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【私が“死ぬとき”を、見届けて】あなたならどうする――? 魂に効く珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
激しく、心を揺さぶる超良作
【開始20分で“涙腺決壊”】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれた
提供:ディズニー